斎藤工“不良番長コンビ”内藤誠監督&梅宮辰夫に「うそみたい」
2011年11月14日 19:59
原作は「狂人日記」「麻雀放浪記」などで知られる昭和の無頼派作家・色川武大の短編小説。文芸新人賞を受賞後、小説を一度も書けずに賭け麻雀ばかりの日々をおくる武(斎藤)が、ジャズクラブを経営する高校時代の同級生・キッコ(汐見ゆかり)と再会。次第にひかれあうなか、客足が伸び悩むジャズクラブを救うため、一世一代の勝負に出る。1970年代に一世を風びした「不良番長」シリーズを生んだ内藤誠監督が、86年の「スタア」以来25年ぶりにメガホンをとった。
もともと色川が“阿佐田哲也”名義で発表した「麻雀放浪記」の大ファンだったといい、「色川さんの名前は知っていたが、まさか阿佐田だとは知らず……。撮影が始まる前日、墓前で『お借りします』とご報告した」。斎藤本人はギャンブルを一切やらず「撮影前に、プロの方と一緒に池袋の雀荘に通いました。今はすべて自動なので、(麻雀卓の)電源を切って、牌(ぱい)も象牙の豪華なものに変えて練習した」と役作りを振り返る。
往年の邦画ファンとしても知られる斎藤は、内藤監督と本作に特別出演する梅宮辰夫との“不良番長コンビ”復活に「うそみたい」と興奮気味。「あうんの呼吸を感じ、近寄りがたい空気だった」と現場のふたりに圧倒されたという。また、斎藤の実父がかつて内藤監督の現場で「カチンコを叩いていた」といい、今回の主演起用には思いもひとしおだ。
「SPACE BATTLESHIP ヤマト」「十三人の刺客」と大作への出演が続き、今年はNHK大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」で京極高次を演じるなど大きく飛躍。それでも「僕の本質はここにある」と本作のような小規模作品に主軸を置く気構えだ。「僕自身、いわゆる予算をかけた“ヒット作”とはいえないものに美学を感じてしまう。この作品が一番自分らしい」と胸を張り、「邦画が本来もつ情緒や文学的な部分を感じてほしい。昭和の香りとジャジーな世界観を、ぜひ劇場で体感してもらえれば」とアピールした。
「明日泣く」は11月19日から全国で公開。