J・オルーク、映画監督になりたかったと告白 「海炭市叙景」トークイベント
2011年11月12日 19:41
[映画.com ニュース] 北海道・函館出身の作家、佐藤泰志さんの遺作を映画化し2010年12月に公開された「海炭市叙景」のDVD&ブルーレイ発売を記念し、熊切和嘉監督と音楽を担当したジム・オルークによるトークイベントが、11月12日に東京・オーディトリウム渋谷で行われた。
18編で構成された小説のなかから5つの物語を抽出し、バブル崩壊後の不況に苦しむ北国の地方都市で、ささやかながらも必死に生きる人々の姿を描く。加瀬亮、谷村美月、竹原ピストル、南果歩、小林薫ら実力派が、市井の人々を丁寧に演じている。多くの函館市民が、製作費捻出のために大規模な募金活動を行ったほか、劇中にもオーディションで選ばれた市民が数多く参加している。
「ソニック・ユース」などのバンドに在籍経験があり、実験的な作風の音楽家として世界的に多くのファンを持つオルークは、映画通としても知られており、若松孝二監督の作品に影響を受けたことなどの経緯から、現在日本で暮らしている。映画への情熱は「6歳のクリスマスに8ミリカメラが欲しかったけれど、家が貧しかったので3000円くらいのアコースティックギターをもらったんです。それで音楽家になったのです。もし映画監督になれるチャンスがあったら楽器を捨てます(笑)」と話すほどだ。
これまでも数々の映画音楽を担当しているが「悲しいシーンに悲しい音楽を付けたりするのはつまらない。映画そのものが大事で、映画の音楽には興味がない」と持論を述べる。本作でも、主張しすぎることのない、本編に寄り添った美しい楽曲を提供している。
熊切監督は、作品後半に路面電車で登場人物たちが会する印象的なシーンの音楽に、「チェロを使ってほしいとリクエストしたら、『チェロを使うことは哲学的な問題があります』と、メールの返事がきたんです」というエピソードを披露。オルークは「チェロをつかうと高尚なイメージを避けられないので、自分で演奏しました」と音へのこだわりを明かし、観客を驚かせた。
そんなオルークの楽曲を、編集時に映像に乗せた時の感想を熊切監督は「勝手にYouTubeに上げたいくらいいいシーンだった」と絶賛。「ぜひ次回作でもお願いしたいと思っています」とラブコールを送ると、オルークは「それではディスコ音楽を準備しておきます(笑)」と冗談めかして答えていた。
「海炭市叙景」特典映像付きDVDボックス(6090円)、ブルーレイボックス(7140円)、本編のみのDVD(3990円)、ブルーレイ(5040円)通常版ともに発売中。
フォトギャラリー
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド
【本作は観るべきか、否か?】独自調査で判明、新「アベンジャーズ」と関係するかもしれない6の事件
提供:ディズニー
セプテンバー5
【“史上最悪”の事件を、全世界に生放送】こんな映像、観ていいのか…!? 不適切報道では…?衝撃実話
提供:東和ピクチャーズ
ザ・ルーム・ネクスト・ドア
【私が“死ぬとき”を、見届けて】あなたならどうする――? 魂に効く珠玉の衝撃作
提供:ワーナー・ブラザース映画
君の忘れ方
【結婚間近の恋人が、事故で死んだ】大切な人を失った悲しみと、どう向き合えばいいのか?
提供:ラビットハウス
海の沈黙
【命を燃やす“狂気めいた演技”に、言葉を失う】鬼気迫る、直視できない壮絶さに、我を忘れる
提供:JCOM株式会社
サンセット・サンライズ
【面白さハンパねえ!】菅田将暉×岸善幸監督×宮藤官九郎! 抱腹絶倒、空腹爆裂の激推し作!
提供:ワーナー・ブラザース映画
激しく、心を揺さぶる超良作
【開始20分で“涙腺決壊”】脳がバグる映像美、極限の臨場感にド肝を抜かれた
提供:ディズニー