横浜聡子監督、脚本執筆中に震災発生し「無力さ感じた」
2011年11月1日 17:38

[映画.com ニュース] 「ウルトラミラクルラブストーリー」など個性的な作品で知られる気鋭の女性監督・横浜聡子が10月31日、東京・銀座のignition garallyで劇場未公開作「真夜中からとびうつれ」「おばあちゃん女の子」についてトークショーを行った。
短編作「真夜中からとびうつれ」は、季刊雑誌「真夜中」(リトルモア刊)の映画特集の連動企画としてスタート。“横浜聡子にしか撮れない女の子像”というテーマに挑んだ。東日本大震災発生時に脚本を執筆していたという横浜監督は、「ライフラインにかかわっていない仕事の無力さを感じて、そもそも『なんで映画をつくるんだろう』と自分なりにいろいろ考えるきっかけにもなりました」と語った。
同作は、「近くにいそうでいない感じ。良い意味でのリアリティのなさが気になっていた」という多部未華子をはじめ宇野祥平、鈴木晋介、戌井昭人、渡辺謙作らを起用。リヤカーに積んだ箱型映写機で、子どもたちに映画を見せるインドの男性を追ったテレビ番組からインスピレーションを受けたそうで、箱型映写機を軸に“映画”が生まれる瞬間を捉えた。
一方の「おばあちゃん女の子」は、アパートで暮らす夫婦の1日から“夫婦の愛”を描く。「なぜ結婚するんだろう」という疑問を抱いていたそうで、「自分にはわからないものに挑戦したい」という意識から製作に臨んだ。「他人の男女がずっと一緒にいるってすごい。(相手のことを)想像して過ごすことが人を成長させるのかなあとも思うし、相容れないものを受け入れようとする滑稽さみたいなものが愛らしい」と持論を展開した。
妻役は長編第1弾「ジャーマン+雨」の野嵜好美、夫役は同時上映「真夜中からとびうつれ」の宇野が演じた。「なんでもない夫婦の一日だけど、“日常がはらむ狂気”のようなものが描きたかった」と明かし、“ごく普通の夫婦”に扮した野嵜、宇野の存在感を「良い意味で尋常じゃない感じになる。シナリオを書いているときには想像できないものを見せてくれる。ふたりともふだんとても穏やかだけど、どこかに狂気のようなものを持っているんです」と絶賛した。
「真夜中からとびうつれ」「おばあちゃん女の子」は、11月5~18日に東京・渋谷のユーロスペースで上映。
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