野沢雅子、たぬきの母親を演じ「大切なものは愛」と実感
2011年10月28日 13:28
[映画.com ニュース] 第24回東京国際映画祭の特別招待作品「ハルのふえ」が10月28日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで公式上映され、声優の野沢雅子、川又浩監督が舞台挨拶に立った。体調不良のため欠席した原作者のやなせたかしは、「ぜひ楽しんでください」と会場に詰めかけたファンにメッセージを送った。
人気アニメ「ドラゴンボール」シリーズや「銀河鉄道999」など数多くの作品に参加してきた野沢は、今作で人間の母親に化けて子育てに励むたぬきのハルを熱演。演じた役どころは、やなせの祖母がモデルだと明かし「演じてみて、人間でも動物でも昆虫でも、生きていく上で大切なものは愛だと感じました」としみじみ。そして、ものが簡単に手に入る現代社会では「子どもがほしがるものを買って与えてしまいがち」と指摘し、「映画の中でパルは葉っぱの笛を吹くことで音楽の才能を養っていきます。映画を見て見直してほしいことがたくさんある」と真しな眼差(まなざ)しで語った。
メガホンをとった川又監督は、物語をふくらませるため原作にはないキャラクター、主人公パルのライバルとしてミロを登場させた。川又監督は、「この作品では“親子愛”と“少年の成長”を描いているのですが、少年が成長するためにはライバルの存在が必要だったんです」と説明。CG技術が発達するなか、手描きのような画風で製作した意図を問われると「CGも使っているけれどわからないようにしました。手描きだから出せる愛情や感情があると思うんです」と笑顔をのぞかせた。
野沢をはじめ「それいけ!アンパンマン」シリーズでタッグを組んできた戸田恵子がパル役、かないみかがマリー役で参加。「(同シリーズは)“シチューおばさん”として年に1回、寒い時期に登場する」という野沢は、「パル役の戸田恵子さんは家族みたいにかわいがっていて、溶け込みやすかった」と役どころさながらの優しい表情を浮かべた。
原作は、長寿アニメ「それいけ!アンパンマン」シリーズで“愛と正義”をテーマに扱っているやなせが、“親子愛”を描いた絵本。音楽を通して、たぬきのハルと人間の子どもパルが情愛を育む。