中国最大の映画祭で日本人子役が最優秀男優賞「宮城の人に感謝」

2011年10月24日 18:20


トロフィーを掲げる吉井一肇
トロフィーを掲げる吉井一肇

[映画.com ニュース] 被災地・石巻が舞台の映画「エクレール・お菓子放浪記」(近藤明男監督)の主演の子役・吉井一肇(はじめ)が、10月21日に中国最大の映画祭「第20回金鶏百花映画祭」の外国映画部門で最優秀男優賞を受賞。24日に都内で会見を開き、「最初は自分だと信じられませんでしたが、今はとてもうれしいです。どれほど大きな賞かわからなかったのですが、いろいろな方からお祝いの言葉をいただいてわかってきました」と喜びを語り、「僕を助けてくださった監督とスタッフと宮城の人に感謝をしたい」と笑顔で話した。

原作は西村滋の自伝的小説「お菓子放浪記」。吉井演じる戦争孤児のアキオが、お菓子へのあこがれを抱きながら、さまざまな人々との出会いを経て、光を見出していく姿を描く。吉井は、確かな演技力や歌唱力で、力強く生き抜く少年アキオを全身全霊で演じている。宮城県を中心とした地方企業14社が共同製作した“宮城発の映画”で、東日本大震災前の宮城・石巻で2010年10月から撮影された。共演はいしだあゆみ林隆三ら。

この日、中国からトロフィーを持ち帰り、凱旋帰国した近藤監督は吉井の起用理由を「いろいろな経験があって、彼の歌声を聞いて間違いない、と文句なく決めました」と述懐。そして、「この少年の前向きな生き方と輝かしい瞳が見る人の心を打った」という理由での受賞だったと報告した。

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吉井は、トロフィーをマイク代わりに持って劇中歌を披露。石巻市を中心とするロケについて「地域の方々が温かい炊き出しをごちそうしてくださったり、エキストラの皆さんに元気をいただいていたので恩返しをしたいと思っていました。この映画をもっとたくさんの人に見ていただいたら、東北の人、宮城の人への恩返しになるのではないかと思いました」と感慨深げに話す。震災後の石巻には9月に訪れ、「皆さんつらいはずなのに、僕にがんばってねと励ましてくれてうれしかったです」と明かした。

金鶏百花映画祭は、今年で第20回を迎える参加者約4万人の規模の中国本土最大の映画祭で、中国におけるアカデミー賞として知られている。同映画祭での日本人の受賞は、08年「おくりびと」で男優賞を受賞した本木雅弘以来で、10年には「孤高のメス」が外国映画部門最優秀賞を受賞。12歳の子役の受賞は同映画祭史上初となる。それだけに、吉井は「舞台も映画もどちらのお芝居もできる、なんでもできる役者になりたい」と力強く語った。

宮城県では4月から全国に先駆けての先行上映を予定していたが、震災の影響で見送りとなり、7月にようやく公開が実現。また、ロケ地・石巻での上映は、10月1日に始まったばかりで、今回の受賞は、1日も早い復興を目指す市民にとっても喜ばしい出来事となった。

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