中国で上映禁止の「無言歌」日本公開決定 ワン・ビン監督が来日
2011年10月12日 19:32

[映画.com ニュース] 「鉄西区」「鳳鳴 中国の記憶」で山形国際ドキュメンタリー映画祭グランプリを2度受賞したワン・ビン監督が、文化革命前の封印された実話を描き、中国本土では上映禁止となっている「無言歌」の日本公開が決定した。このほど来日したワン監督は10月12日、都内で会見を行い「(本作を)誰も買う人がいないと希望は持っていませんでしたが、ベネチアの後5カ国での配給が決まり、日本が世界で最初の公式上映となります。僕の作品はとてもパーソナルな作品で、あまり観客の好みを考えないで撮っている作品であるにもかかわらず、たくさんの方が見に来て下さったことに心から感謝しています」と挨拶した。
本作は、ワン監督が初めて手掛けた長編劇映画。1956年に「自由な発言を歓迎する」という毛沢東の言葉からわずか数カ月後に始まった、政府による弾圧「反右派闘争」により封印された悲劇を描いた。ワン監督は、1960年のゴビ砂漠の収容所を舞台に、ヤン・シエンホイの小説「告別夾辺溝」と、過酷な経験を経て生き延びた生存者たちの証言に基づいて実話を映画化、2010年にはベネチア国際映画祭でサプライズ上映され、各国の識者から絶賛された。
「反右派闘争」は、労働者や農民を対象としたものではなく、国家機関や企業に所属している人と民主党派と呼ばれる人たちに向けて発動された。右派とされた人たちは、行政罰として農村に送られ労働を強いられたり、罪の程度がひどい人は、収容所に送られ労働強要が行われるほか、監獄に入れられたりもしたという。
映画の製作意図を問われたワン監督は、「反右派闘争については、大量の本が既に出されており、テーマ自体に興味はありませんでした。また、映画で政治的なことを伝えようという意図もありません。原作を読んで感動し、撮るべきだと思ったのです」。さらに、「今日の我々が収容所の人々をどのように思い、どのように歴史をとらえるかが物語の中心です」とテーマについて語った。
また、山形での映画祭出席後に仙台に立ち寄ったと明かし「被災地をこの目で見て、心が痛みました。3月に北京で、病で寝たきりの状態でテレビを見ていましたが、報道と実際の状況はやはり違い、悲しい思いになりました」と振り返っていた。
「無言歌」は12月17日、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国で公開。
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