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樹木希林、河瀬直美監督のオファーに「ギャラもらえると思っていなかった」

2011年8月20日 19:02

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河瀬直美監督らとのトークイベントに出席した樹木希林
河瀬直美監督らとのトークイベントに出席した樹木希林

[映画.com ニュース] 今年のカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品された、河瀬直美監督最新作「朱花(はねづ)の月」の9月3日の公開を前に、8月20日、東京・上野の国立博物館で河瀬監督と女優の樹木希林、染織史家の吉岡幸雄によるトークイベントが開催された。

万葉の時代と変わらぬ姿を残す奈良県・飛鳥地方を舞台に、木工作家と地元のPR紙編集者の2人の男、そして朱花という色に魅せられた染色家の女性の愛が綴られる。主人公の木工作家の母親役を演じる樹木は、出演に際し「最初からギャラをもらえるとは思っていなかった」。身ひとつで奈良の現場を訪れ、息子が両親と会話するワンシーンの撮影に臨んだが「台本を読んでもよく分からなかったんですが、監督からは昔のアルバムを手渡されて『自由にこれを見て話してください』と。しょうがないから人の家の結婚式の写真とか見ながら、夫役の西川のりおさんと話してました(笑)。自分が出たのか出てないのか、セリフ言ったか言わなかったのかもよく分からなかったけど、出来上がったものを見て『あぁ、そういうシーンだったのね』と思った」と述懐。

そんな樹木について監督は「何もないところでこれだけ場の空気を読んでやれるのか、と驚きました。息子役の俳優(こみずとうた)は演技経験がないので、カメラから背を向けてしまったりするんですが、希林さんがうまく会話しながらカメラの方に向かせてくれるんです。息子の背中をさすって『食べてるの?』と聞いた時はグッときました」と大絶賛。当の樹木はキョトンとした表情で「今聞いて、そういうことだったんだ? って思いました(笑)」と漏らし、会場は笑いに包まれた。

吉岡氏は劇中の染織のアドバイザーも務めているが、化学染料全盛の今の時代に手間と時間をかけて染めることについて「古いやり方の方が色彩が美しいというだけ。時代に逆行しているというより、私にとっては普通のことなんです。(作業を)短縮してしまえばそれはすぐわかる。時間をかけて作っていくことが必要なんです」と長く受け継がれてきた職人の心意気を語る。「時間をかける」という点は河瀬監督の映画作りも同じ。「私も効率よく、なるべく早くというのとは対極のやり方で映画を作ってます。映画を観て、面倒なことに意味がある、と感じていただけたら」と作品に込めた思いを明かした。

河瀬直美監督
河瀬直美監督

本作の編集のさなかに東日本大震災に見舞われたが、河瀬監督は「3・11 ア・センス・オブ・ホーム・フィルム・プロジェクト」を企画。3分11秒の短編の製作を各国の著名監督に呼びかけている。すでに監督自身も作品を撮り終え、ビクトル・エリセ(スペイン)や昨年のカンヌでパルムドールを受賞した「ブンミおじさんの森」のアピチャッポン・ウィーラセタクン(タイ)、ジャ・ジャンクー(中国)らも協力し、各国から集められた作品は9月11日に奈良県の吉野山の金峯山寺で奉納上映される。監督は「心の復興に関してはなかなか入っていけない部分もあります。でも、届かないと思いつつも作り手の役割はそこにしかないと思う。ただし『被災地のために』作品を作ってはいけない。作り手はあくまでそれを“自分ごと”にしないといけないと思っています。だから“センス・オブ・ホーム(家、ふるさとという感覚)”で震災についてではなく、それぞれの“ふるさと”の感覚を撮ってもらいました」と言葉に力を込めた。

トーク途中には主演の大島葉子も客席から飛び入り参加。撮影中は監督に追い詰められ「4キロやせて、5回点滴を打ちました」と苦労を明かしたが、樹木は先輩女優として大島に「将来、この作品を超える作品に出会うことは、なかなかないでしょう。すごく幸せなことですし、よくそれに応えていらしたと思います」と河瀬監督との出会いの大きさを説くとともに大島の演技を称えた。

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