小日向文世、父親のジレンマを熱演「男は寂しがり」
2011年6月24日 13:16
[映画.com ニュース] 2011年1~3月にテレビ放送されたドラマの劇場版「犬飼さんちの犬」が、6月25日から全国で公開される。ドラマ版に続き亀井亨監督がメガホンをとり、10年12月中旬からドラマと同時進行で撮影が敢行された。動物を中心に扱った映画に初出演し、主人公の犬飼保を演じた小日向文世に話を聞いた。
犬嫌いの犬飼保とサモエド犬「サモン」の交流を通して、家族のきずなを描く。「怖がる芝居が大変だった」という撮影は、「(サモンを演じたサモエド犬のカメコとチリは)すごくおとなしい子たちだから、僕がフッと拒絶する空気を出してビビった芝居をすると逃げるんです」と振り返る。しかし「サモンがかわいくてしょうがなかった」と顔をほころばせ、「本当に大変だったんだけど、この子たちを見ると癒されましたね。睡眠不足だったんだけど全部吹っ飛びました」と、その存在の大きさを語った。
トイプードルの愛犬きなこときずなを深めるまでには、主人公の犬飼同様に「いがみ合った時期もあった」というくらい悪戦苦闘した。「犬飼保という役どころはぼくと重なる部分があったので、とても楽に演じることができた」と明かし、「家族と離れて単身赴任している寂しさや、家族のために試練を乗り越えようとする必死さをうまく出せたらと思いました。家族のもとに帰ってきたときに苦手な犬がいるジレンマ、孤立感をうまく表現できると思ったんです」と述懐した。
木南晴夏扮する鳥飼カエデに「なぜいつも笑顔なのか」と問われるシーンについて、小日向は「仕事でも家庭でも自分は明るくしていなきゃっていう思いがあって、犬飼さんもしんどかったと思うんです」と分析。「でも、唯一本音を出せるのがサモンの前。サモンに『なんでお前、笑っているんだよ』とやつあたりする犬飼自身が、しょっちゅう笑ってごまかしていて。切ないお父さんの必死さですね。男は寂しがりなんですよ」と話す。
家族を思う父親を熱演した小日向は、「家族はぼくにとって1番大切な場所。切り離すことのできないものですね。女房と長男、次男がいて、そこにきなこもいて。僕にとっては生きる糧(かて)」と“サモエドスマイル”ならぬ“小日向スマイル”を見せた。
「犬飼さんちの犬」は、6月25日から全国公開。