新星エズミール・フィーリョ、ブラジルの岩井俊二を襲名?
2011年3月25日 11:16

[映画.com ニュース]ブラジル映画界の新星エズミール・フィーリョ監督の長編デビュー作「名前のない少年、脚のない少女」が、間もなく公開を迎える。ブラジル南部の小さな町を舞台に、インターネットの世界に没頭する少年と、その仮想空間に存在する不思議な少女との交流を描いた作品だ。
これまで短編映画で数々の映画賞を獲得してきたフィーリョ監督は、「もちろん短編にも濃いエネルギーを注入するけど、この映画は製作に3年半かかった。短編の10倍くらいの集中力とエネルギーが必要とされたんだ」と長編映画の難しさを実感したそうだ。
ブラジルの青春映画と聞くと、「シティ・オブ・ゴッド」(2002)のような過激でワイルドな作品を想像しがちだが、本作の主人公は自らを“ミスター・タンブリンマン”と名乗る冴えないオタク少年だ。「『シティ・オブ・ゴッド』もリオのスラム街の現実だけど、ブラジルは非常に大きな国だから各地域によって雰囲気がだいぶ異なる。ブラジルの違う一面も見せたかったんだ」と語る。
また、「思春期というのは、色々なことを試しながら自分を発見して、世界に飛び出していく時期。自分を傷つけるものに出合い、自分を防衛する方法を学ぶ時期でもある。誰とも分かち合えない悩みをひとりで抱え込む。だから、現実にジレンマを感じて生活している地元の子どもたちをキャスティングした。彼らが苦悩しているのが目に見えたし、それがリアリティにもつながった」と内面描写にこだわった。
今作の世界観に欠かせない“ネット社会”だが、「主人公がインターネットの世界に潜り込んでいく姿は自分の思春期と重なるんだ。世界にモヤがかかって、何が正しいのか分からない。そんな混沌とした世界で、主人公は何か永遠なものを求めている。バーチャルな世界に入り込むのは非常に危険だし、実際に触れるものを失ってはいけないということを警告してもいるけどね」と自らの姿を投影させた。
岩井俊二監督の「リリイ・シュシュのすべて」(2001)を彷彿(ほうふつ)とさせるような淡い映像美が印象的だ。「その映画を見たことがないんだけど、面白いことに、友人のアルゼンチン人監督に『この映画はリリィ・シュシュに似てる』と言われたことがある。それでいくつかのシーンを見てみたら、自分と心情の表し方が似ているなと思った。何も知らずに遠いブラジルで同じような映画をつくっていたなんて、何だか不思議な感覚。地球の反対側にあるにもかかわらず親近感がわいたよ」
「名前のない少年、脚のない少女」は、3月26日より公開。
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