コリン・ファース「英国王のスピーチ」で受賞ラッシュも慢心なし
2011年3月3日 06:18

[映画.com ニュース] 第83回アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演男優賞、オリジナル脚本賞の4冠を達成した「英国王のスピーチ」。きつ音障害に悩むジョージ六世に扮した主演のコリン・ファースが、その貴重な体験をベルリン国際映画祭期間中に語った。
「僕は以前にもきつ音の役を演じたことがあるけれど、だからといって今回の役づくりが簡単になるわけではなかったね(笑)。症状はその人の顔つきや筋肉、ボキャブラリーなどに左右されるし、なにより性格や内面と深く結びついたものだと思うから」
そのため、ファースはジョージ六世のバックグラウンドを学び、育ってきた環境を知ることも重要視した。「特に彼と兄エドワード八世との関係は興味深い。エドワードは優等生で、そんな兄に対して常に劣等感を持っていたのに、兄が王位を辞退することでやむなく継承することになった。その重圧は計り知れないものがあったと思う。もともと彼は人前に出ることが苦手で、自分の特権にも興味がなかったのにね。監督と僕が重視したのは、ジョージ六世の内面の苦しみを表現することだった」という。
とはいえ、リサーチをするのは困難を極めたらしい。相手は最もガードの固い王室で、さらにジョージ六世がスピーチ矯正を受ける前の音声資料はまったく存在しなかったのだという。「だから映画の冒頭のウェンブリー・スタジアムでのスピーチも、想像でやるしかなかった。文字資料には『とても長い沈黙が続いた』と記されていたよ。あとは手に入る伝記を片っ端から読んだ。スピーチ矯正の専門家ライオネル(ジェフリー・ラッシュ)のレッスンを受けるようになってからは、ライオネルがつけた日記があったので、その様子を知ることができた。ロンドンにいる彼の孫が持っていたんだ。それを読むと王が人格的にはとても人間的で寛大だったことがわかり、役づくりの助けになった」
トム・フーパー監督は、これまで主にテレビ畑で活躍してきた若手だが、ファースはその才能を高く評価する。「ディテールへの配慮と、映画の全体像の両方に気配りのできる才能にあふれた監督だと思う。特にどの時点でどれぐらいジョージ六世が変わっていくかということに、的確なアイディアを持っていた。セットへのこだわりも飛び抜けていたしね」
賞レースで数え切れないほどの栄冠に輝いたことについては、「ただ素晴らしいとしか言えない。まだこれからのことを考える余裕もないよ」とニッコリ。それでも、「この仕事は一生懸命やったことが必ずしも認められるとは限らない。だからみんながポジティブなことを語ってくれるのは、とても光栄だ」と真摯(しんし)に語った。
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