浅野忠信、立て続けのダメ亭主役に「自分もその通りだった」
2010年10月12日 17:39
[映画.com ニュース] 人気漫画家の西原理恵子の元夫で、2007年に死去した戦場カメラマン・鴨志田穣さんの自伝的小説を映画化した「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」の完成報告会見が10月12日、都内で行われ、東陽一監督、主演の浅野忠信と永作博美が出席した。
戦場カメラマンとして活躍した鴨志田さんは、1996年に西原と結婚するが、アルコール依存症が原因で2003年に離婚。しかし、その後も西原の献身的な支えを受け06年に依存症を克服し、同年、体験を基づいた自伝小説「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」を発表した。浅野は鴨志田さんをモチーフとした主人公・塚原安行を、永作は西原にあたる漫画家・園田由紀を演じた。
浅野は「必ずやりたい役柄だった。こちらのスケジュールを待っていただいたこともあり、非常にありがたいし、僕自身、現代を生きた共感できる役柄に飢えていた」という。99年製作の「地雷を踏んだらサヨウナラ」でも、実在の戦場カメラマン・一ノ瀬泰造を演じた経験をもつ浅野は「不思議な縁を感じる」としながらも、「当時は実在の人物ということに縛られすぎた。今回は大いに伸び伸び演じていいんだなと思った」と述懐。また、「ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ」に続く“ダメ亭主”役には「今回もメチャクチャ迷惑をかける男。まあ、自分もその通りだったし……」と自身の結婚生活を振り返り、自虐的に語った。
一方の永作は、「最初はハードルが高いなと思った」というが、「すでに原作から脚本になった状態なので、あくまで園田由紀という人物を立体化させたいと思った。原作も読まず、西原さんご本人のことも意識せずに演じようと」。劇中に登場する「一度好きになった人はなかなか嫌いになれない」とうセリフを引き合いに、「元夫婦ということは意識せず、どうしようもないけど、嫌いになれない人として接した」と浅野との初共演を振り返った。
メガホンをとった東監督は、「シナリオの段階で、すでに頭の中に浅野さんが住んでいた。結果的にあて書きに近かった。永作さんは『好きだ、』(05)を見て、呆然としてしまうほど頭に刻まれた女優さん。今回、最高のキャストがそろって、監督としてはこんな幸せなことはない」とご満悦だ。生前の鴨志田さんには、2度会ったというが「シナリオが出来上がった段階では、すでに字を読める状態ではなかった。その直後に亡くなったと聞いて」と悔しそうな表情。だからこそ、「よくある難病ものにされちゃたまらない。僕でなきゃダメだなと思った」とメガホンをとるに至った経緯を明かした。
「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」は12月4日から全国で公開。