溝端淳平、家族愛あってこその謙虚かつ貪欲な俳優道
2010年9月15日 12:31

[映画.com ニュース] 俳優・溝端淳平が初めて単独主演で臨んだ映画「君が踊る、夏」(香月秀之監督)が、9月11日に全国201スクリーンで公開された。「ダイブ!!」(2008)で銀幕デビューを飾ってから3年。着実に成長を遂げる溝端の根源にあるものが何なのかに迫った。
四国・高知を舞台に、よさこい祭りをテーマにした同作は、治療困難といわれる難病に侵された少女の願いをかなえるため、解散したよさこいチームの仲間が再結集し、祭へ参加するための猛練習を通して友情を再構築していく姿を描く。溝端は、カメラマンとしての夢に挫折しかけながらも、かつての恋人や仲間たちとかかわることで人間的に成長していく主人公・新平に扮した。
今作で映画出演は5作目となるが、デビュー当時を「監督やプロデューサーの評価ばかり気にして、自分が思うことや本当にやりたいことが表現できなかった」と振り返る。それだけに、全幅の信頼を寄せてくれた香月監督には筆舌に尽くしがたい感謝の念を抱いている。「役の気持ちを思い切り自由に出させてもらって、泳がせてくれました。香月監督が本当に信頼してくれているんだと思ったらうれしくて。『おまえが感じたことをそのままやってくれればいい』って言ってくれたんです。貴重な体験ができましたし、お芝居を本当の意味で好きになるきっかけを与えてくれた作品です」
和歌山出身の溝端は、家族思いで有名だ。母と姉は教職に就き、自らも芸能界にいなければ教師を目指していたはずとテレビ番組で語っている。デビューのきっかけを作ったのも、2人の姉が応募した第19回「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」でグランプリを受賞したため。だからこそ、今でも郷里への思いはひとしおで「両親にでかい家を建ててあげたい」と熱く語る。6月に21歳となったが、両親への感謝の気持ちは揺らぐことがない。
(C)堀弥生「生まれてから最初に愛情をくれた人であり、今でも自分に対して愛情を向けてくれる。今、東京で頑張らせてもらっていますが、一番恩返しをしなくちゃいけない存在ですよ。十分すぎるくらい色んなものをもらってきましたから。『何かして』と言わないから、取り立てにこない借金取りって感じでしょうか。だから、こちらが無理矢理にでも返さなければ」
そして、溝端にとって2カ月近くにわたる高知ロケをともにした「君が踊る、夏」の共演陣もまた、“家族”といって過言ではない。ヒロインの香織を演じた木南晴夏の柔軟な姿勢には目からうろこがおちたそうで、「役者としても人間としても未熟な僕のことを、全て理解したうえで引くところは引き、自分が出るときは出てくれる。撮影中も僕に元気がないときは盛り上げてくれるし、人として本当に賢いですよ」と4歳年上の“同級生”(劇中の設定)に最敬礼だ。
良い部分は貪欲に吸収できる点も、溝端の魅力のひとつ。阿部寛と共演した連続ドラマ「新参者」の撮影では、木南の立ち居振る舞いがおおいに役に立ったという。「自分ができることは何か。主演を立てる役回りを演じるうえで、大事なことを木南ちゃんから教わりましたね」。初の単独主演を経て、一本立ちを自認しているかと思いきや「僕も知らなかった自分を出せたというだけです。直すべきところばかりだし、もっと成長しなきゃ。『これが溝端か』くらいに思っていただけたらうれしいですね」とどこまでも謙虚だった。
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