アニー賞受賞イラストレーター・上杉忠弘の次なる展開
2010年8月6日 15:13
[映画.com ニュース] ヘンリー・セリック監督によるストップモーション・アニメ「コララインとボタンの魔女 3D」のブルーレイ&DVDが8月6日に発売。同作でキャラクターや建物などのデザインコンセプトを手がけ、アニメ界のアカデミー賞と言われるアニー賞で日本人初の美術賞を受賞したのが、これまで女性誌のイラストや企業広告といった分野で活躍してきたイラストレーターの上杉忠弘だ。
自身にとって初めての映画の仕事で、アニー賞受賞という快挙を成し遂げた上杉だが「出来上がった映画は、今でも客観的に見られないですね(笑)。傑作にかかわったスタッフには、“真っ白な状態で傑作を鑑賞できない”という不幸もあるんだということを発見しました(笑)」と現在の心境を告白する。
上杉は、1950~60年代のアメリカのイラストレーションに影響を受けたタッチを持ち味とし、米アニメ業界でも以前からその存在が話題になっていた。「2005年ごろに、絵描きが集まるアメリカのサイトで、僕のイラストが話題になったようです。変な絵を描く日本人がいるぞ、みたいな(笑)。『コラライン』をやり始めたころには、ピクサー買収前のディズニーのプロデューサーから『2Dアニメーションを復活させたいので協力しないか?』というオファーもありました」
セリック監督も上杉の才能にほれ込み、オファーしたひとり。上杉は、監督の魅力について「アメリカの映画界からすると、かなり異端な人なんじゃないかと思います。なにせ、ヤン・シュバンクマイエルやクエイ兄弟といった、カルトな映像作家好きですしね。そういう趣向が根底にありながら、商業ベースにのっかれる境界線でバランスを取ってやっているのが面白い」と大いに刺激を受けたようだ。
アニー賞受賞も追い風となり、さらに注目度の増す上杉。セリック監督が次回作として準備中の作品にも、初期の構想段階で参加したそうだが「どうなるかは運次第ですね」と笑う。「僕には日本でグラフィックのイラストレーターでやっていくという軸足があるので、映画の仕事は違う畑に足を伸ばしてみたという感覚。違う畑の話は日本からも海外からもいくつかいただいています。今後どうなるかは分かりませんが、畑を行ったり来たりを楽しめたらいいですね」
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トニー・レオンとアンディ・ラウが「インファナル・アフェア」シリーズ以来、およそ20年ぶりに共演した作品で、1980年代の香港バブル経済時代を舞台に巨額の金融詐欺事件を描いた。 イギリスによる植民地支配の終焉が近づいた1980年代の香港。海外でビジネスに失敗し、身ひとつで香港にやってきた野心家のチン・ヤッインは、悪質な違法取引を通じて香港に足場を築く。チンは80年代株式市場ブームの波に乗り、無一文から資産100億ドルの嘉文世紀グループを立ち上げ、一躍時代の寵児となる。そんなチンの陰謀に狙いを定めた汚職対策独立委員会(ICAC)のエリート捜査官ラウ・カイユンは、15年間の時間をかけ、粘り強くチンの捜査を進めていた。 凄腕詐欺師チン・ヤッイン役をトニー・レオンが、執念の捜査官ラウ・カイユン役をアンディ・ラウがそれぞれ演じる。監督、脚本を「インファナル・アフェア」3部作の脚本を手がけたフェリックス・チョンが務めた。香港で興行ランキング5週連続1位となるなど大ヒットを記録し、香港のアカデミー賞と言われる第42回香港電影金像奨で12部門にノミネートされ、トニー・レオンの主演男優賞など6部門を受賞した。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
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奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
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