ラファエロの絵画に影響を受けたホラー「ぼくのエリ 200歳の少女」
2010年7月9日 16:48

[映画.com ニュース] 2008~09年にかけて、世界各地で開催された映画祭で60冠に輝いた話題のスウェーデン映画「ぼくのエリ 200歳の少女」が7月10日、いよいよ日本公開を迎える。ヨン・アイビデ・リンドクビストによるホラー小説「MORSE モールス」(早川文庫NV刊)を原作に、いじめられっ子の少年オスカーと、12歳の体のまま現世を永遠にさすらうバンパイアの少女エリの交流を描いた本作。メガホンをとったトーマス・アルフレッドソン監督は、世界各地での絶賛を受けて「出来うる限り良い作品にするということ以外に野心はなかった」と振り返る。
「ヒットを経験するのは、大失敗を経験するのと同じくらいの驚きなんだ。ただ、これほどまでに受け入れられた理由は、とてもスウェーデンっぽいテイストでありながら、誰でも感情移入しやすい普遍的な物語だったからだと思う。社会の外にいて誰にも受け入れられず、人と一緒にいたいのに、もしくは一緒にいるにもかかわらず、受け入れられていない、ありのままの自分を理解されていない、と思う感情は、世界中どこでも誰でも感情移入できる事柄だからね」
多くのバラエティ番組を演出したTVディレクター時代から、主にコメディ畑を歩んできたアルフレッドソン監督。バンパイア映画の演出は全く異なるジャンルへの挑戦だったが、原作を読んで即座に「自分に合っている」と感じたそうだ。
「自分の作品選びは原作や台本を読んで興奮するかどうかが基準。これまで台本をジャンルで括って評価したことはないので、コメディでも、ドラマでも、ホラーでも、ロマンスでも『技術』は同じだから問題ない。大事なことは、いい作品を作りたい、という気持ちなんだ。僕自身、バンパイア映画そのものには興味がなかったが、この物語はバンパイアのセクシャリティではなく、イノセントさ、ノンジェンダーな部分、そしてサバイバルを描いているという点で、ほかの作品とは一線を画すると思ったんだ」
95年の監督デビュー以来、これまでに4本の長編映画を手掛けているが、映画製作においては、映画よりも絵画を参考にすることが多いという。
「学生のころは、当時人気のあったスコセッシやコッポラ、クローネンバーグといった監督の映画を多く見たけど、監督になった今は画家に強い影響を受けているんだ。映画作家にとって、色彩は最強の材料のひとつだからね。今回は、ラファエロが古代ギリシアの哲学者たちを描いたフレスコ画『アテナイの学堂』を参考にしたんだ」
この一作で世界中の映画関係者に名が知れ渡った。本作のハリウッドリメイク「Let Me In」(マット・リーブス監督/今秋全米公開予定)にも注目が集まっているが、現在は巨匠ジョン・ル・カレによるスパイ小説の名作「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」の映画版をイギリスで準備中だという。
「キャスティングに関してはまだ準備中なので明かせないけど、有名俳優が出演するとだけ、言っておくよ。この『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』は70年代の冷戦時代が舞台だから、今回とはテイストが全く違うけど、この題材に僕自身とても興奮したんだ」
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