辻仁成、ミポリンと二人三脚で「ACACIA」脚本完成
2009年10月22日 17:06

[映画.com ニュース] 辻仁成監督、アントニオ猪木主演の「ACACIA」が10月22日、第22回東京国際映画祭のコンペティション部門で公式上映された。猪木は腰椎すべり症の治療で入院・手術したばかりとあって欠席したが、辻監督は会場の六本木ヒルズで行われた舞台挨拶、公式会見に出席した。
辻監督にとっては、「目下の恋人」(02)以来7年ぶり6作目のメガホン。同映画祭コンペ部門で日本映画としては唯一の選出となるが、「グランプリなんてどうでもいい」と明かした。「ACACIA」は、息子を失った元プロレスラーと家族の愛情を失った少年の交流を描く、希望と絆がテーマの感動作だ。離れて暮らす前妻(南果歩)との間に授かった息子への愛を映画として届けたかったという思いが製作のきっかけだけに、「僕にとってのグランプリって、息子の評価だけなんです。いつか彼が映画を見たときに、僕を偽善者といえばそこまでの作品ということなのでしょう」と話した。
脚本執筆に際しては、妻である中山美穂の協力もあったそうで「離れて暮らす息子に捧げる作品の脚本なのだから、今の家族がどう思うか?を考えなくてはいけなかった。だから、第1稿を書き上げたときに、嫁さんに見せました」と回想した辻監督。翌日にはメッセージが書き込まれて真っ赤になった脚本が戻ってきたといい、「『こんなセリフ、聞きたくないんじゃない?』とかね。相手の立場を考えなよ、ということを伝えてくれたのだと思う。完成稿まで、赤ペンチェックは続きましたね。今の家族のバックアップがなければ、この作品は完成できなかった」と感謝した。
また、辻監督は猪木からの「元気ですか! 元気があれば何でもできる。元気があれば映画祭にも出品できる」というメッセージに真摯に聞き入った。そして、「つまり今、猪木さんは元気がないわけです。本人が一番ここにいたかったはずですから。とにかく早く元気になってもらいたい」と痛切な表情で回復を願った。
「ACACIA」は、配給先がビターズ・エンドに決定。2010年春に全国で公開予定だという。
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