チェコの巨匠イジー・メンツェル監督が「英国王給仕人に乾杯!」を語る
2008年12月22日 12:00

[映画.com ニュース] 「スイート・スイート・ビレッジ」「つながれたヒバリ」で知られるチェコの巨匠、イジー・メンツェル監督の最新作「英国王給仕人に乾杯!」(07)が、12月20日についに日本で公開された。
原作は、米アカデミー外国語映画賞受賞作「厳重に監視された列車」(67)と同じ原作者であるチェコの国民的作家ボフミル・フラバル(1914~97)。大国に翻弄された小国チェコに生まれ、ジョッキにビールを注ぐ給仕人人生からスタートし、ホテル王を夢見る小柄な主人公ヤン・ジーチェが運を味方に出世していく人生を「現代チェコ史」に見立て、軽妙なタッチでつむぎ出されたコメディだ。
まずは原作者フラバルの魅力について。「チェコ・ビールをこよなく愛した作家だった(笑)。それは冗談として、フラバル氏の小説を初めて知ったのは60年代前半で、彼の短編を雑誌で読んだ。絶妙なユーモア感覚を感じ、『探していたチェコ文学が現れた』と思った。それから彼の原作『海底の真珠』(65)を映画化して、ビールを飲む仲になったんだよ(笑)」
原作小説に出会ったのは、発表された71年の直後のこと。68年のチェコ事件以後のチェコスロバキアはソ連支配下にあった。「当時はチェコ共産党が強くて、反体制のレッテルを貼られたフラバル氏は断筆していた。その小説も地下出版されたものだったんだが、筋を追ってもヤンの人生を楽しめた。“モラルを持つ”という原作の精神を伝えることができればかなり面白い映画になると思った。ドイツやソ連がとった全体主義に対してどういう距離をとるか? ヤンの人生はもの悲しいが、本人は無頓着で、そんな悲しみを笑い飛ばすから救いがある(笑)」
フラバルの原作である「つながれたヒバリ」(69)も20年間の上映禁止の末に、90年に公開されてベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞。今回の映画化の経緯も「映画1本ができるぐらいの長い紆余曲折がある」と語るメンツェル監督は、フラバルが亡くなった97年頃に映画化権を得たが、さらに完成まで10年の歳月を要した。前作から14年ぶりに長編映画のメガホンを取った同監督にとって厄介だったのが、資金集めだったそうだ。「チェコのビールメーカーのタイアップを取ったおかげで、劇中のセリフに『ピルスナー』という言葉が8回もある」とも。
だが、チェコで映画を撮り続けてきた人生について「後悔はない」と断言したメンツェル監督は、同世代でアメリカへ亡命したミロシュ・フォアマン監督(「カッコーの巣の上で」「アマデウス」)から、本作を誉め称える手紙を受け取ったそうだ。「『イジー、お前は素晴らしい映画を作った』と文面にあった。アカデミー賞などどんな映画賞のトロフィーより誇りに思う」
「英国王給仕人に乾杯!」はシャンテシネほか全国公開中。
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