米アカデミー賞韓国代表、脱北者の悲劇描く「クロッシング」会見
2008年10月27日 12:00
[映画.com ニュース] 10月24日、第21回東京国際映画祭「アジアの風」部門で上映された韓国映画「クロッシング/祈りの大地」のキム・テギュン監督とプロデューサーのホン・ジヨンが、東京・六本木アカデミーヒルズにて記者会見を行った。
映画は、北朝鮮から中国に渡った父子の悲劇を描く物語。北朝鮮に暮らすヨンスは、病気の妻のため薬と食糧を求めて中国へ向かうが追われる身となり、その間に妻は死亡。残された11歳の息子ジュニは父を追って中国行きを決意するが……。
「火山高」「オオカミの誘惑」など、これまで若者向けの娯楽作を多く手がけてきたテギュン監督だが、今回は「こうした現実、事実があることを知り、胸が痛んだ。これは作られるべき作品だと思った」と語り、100人近い脱北者へのインタビューを入念に行った上で、事実に基づいた骨太な本作のストーリーを完成させた。しかし、複雑な国際問題をはらんだテーマなだけに、映画は完成するまで情報を非公開にして製作にのぞんだといい、監督は「撮影は中国やモンゴルで行ったが、脱北者のスタッフも参加していたので、その人たちを守るためにも慎重にならざるを得なかった」と、その理由を説明した。
また、本作は米アカデミー外国語映画賞の韓国代表作品に選出されており、ジヨンプロデューサーは、「今、作られるべき作品であり、このような状況を海外にも知らせる必要があると(選考委員に)判断してもらえたのだと思う」と語った。また、最後に監督が「今この瞬間にも、国境を越えようとしている人、食糧がなく餓死している人、脱北の途上で命を落としている人がたくさんいる。そうした人々に関心を持ってほしい」と訴えた。
「クロッシング/祈りの大地」は09年春公開。