フリッツ・ラング監督のSF叙事詩「メトロポリス」完全版発見!
2008年7月7日 12:00
[映画.com ニュース] 1920年代のドイツ表現主義を代表する映画監督フリッツ・ラングの無声映画時代の最高傑作と言われる、SF映画の金字塔「メトロポリス」(26)の完全版が、アルゼンチンのブエノスアイレスの映画博物館で発見され、現在修復作業中だという。独の全国紙ディー・ツァイト紙が伝えた。
「メトロポリス」は、21世紀の未来を文明批判的に描いたSF映画の先駆け的作品で、27年にベルリンで初公開されたバージョンは3時間30分もある長尺の大作だったが、ラング監督の手で2時間30分に編集され、さらに興行的理由や政治的検閲のため、世界各地には半分ほどにカットされたさまざまな編集版が出回った。その後、第2次大戦中にオリジナルフィルムが散失し、修復は困難に。02年には新たに発見されたフィルムを編集し直したバージョンが発表されたが、それでも2時間3分に過ぎず、2時間30分の完全版ですら80年もの間、陽の目を見なかった。
だが、ここに来てブエノスアイレスの映画博物館館長が、紛失したとされていた700メートル(25分間)に及ぶ16ミリフィルムのコピーを発見したと、ドイツのディー・ツァイト紙に接触してきたという。同誌では「フィルムの状態がどうであれ、ラング監督の真意が一般観客に公開されるのは素晴らしいことだ。『メトロポリス』の本当のリズムが蘇るのだ」との記事を掲載している。
この発表を受け、独キノ社がその25分の紛失フィルムを加えた2時間30分バージョンをブルーレイディスクとしてリリースすると発表した。「幻の映画」の未発表映像の発見は、世界中の映画ファンにとって胸躍る大発見となった。