リリー・フランキーが語る理想の夫婦とは?「ぐるりのこと。」
2008年6月10日 12:00
ある夫婦の10年間の軌跡をたどる本作は、リリー・フランキー扮する法廷画家の夫・カナオの視点で90年代初頭から21世紀にかけて実際に起こった事件を見つめながら、どんな困難に直面しても決して離れない2人の姿を照らし出す。子供を亡くし精神を病んでいく妻・翔子役には木村多江が扮している。
「この夫婦の良いところは、何にも振り回されていないこと」と話すリリー・フランキーは、「今の人は相手の悪い部分を見るとすぐに別れてしまうから、女性誌の特集は“古い恋をリセットする方法”しかない訳で、“1人とずっと付き合う方法”なんて誰も思いつきもしない。そうやってスカスカな恋愛を繰り返しているんです」と若い世代の恋愛観を鋭く指摘。「この夫婦が素敵に見えるのは皮肉な話。ごく普通の夫婦のことなのに、当たり前のことをやらないのが当たり前になっている世の中なんです」
演技を感じさせないカナオと翔子の自然な姿は、撮影前の綿密なリハーサルの賜物だったという。「最初にカナオと翔子がセックスするしないと言い合う場面は、僕と木村さんのファーストシーンだったんですが、撮影の10日ぐらい前から毎日あの会話のリハーサルだけをやっていました」
それにしても、橋口監督の徹底したこだわりには舌を巻く。「映画では30歳ぐらいからの話が描かれていますが、実は2人が出会った大学生の頃からの芝居の稽古もしています。彼らがどういう風に出会い、付き合い始めたのかを延々演じていたので、僕と木村さんはずっと昔から一緒にいるような擬似記憶がすり込まれているんです」
そういった橋口監督の丁寧なモノ作りに参加して、「映画作りについて何よりも良い学校に通わせてもらった」と言うリリー・フランキーだが、監督に挑戦したいかという問いには「基本的に大勢の人と仕事するのが苦手なんですよね。ただ、監督するなら脚本も自分で書くと思います」とあくまでマイペースな返答。ちなみにどんなジャンルを撮りたいのか聞くと、次のような答えが返ってきた。「恋愛映画ではないでしょうね。ヒュー・グラントが怠けている女をさらに甘やかすような映画だけは嫌なんです。そういう女に仕返しする映画がいいですね(笑)」
「ぐるりのこと。」は現在公開中。
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