在仏中国人監督が描く禁断のレズビアン「中国の植物学者の娘たち」
2007年12月12日 12:00

[映画.com ニュース] 80年代の中国。湖に浮かぶ小島の植物園を舞台に、孤独な2人の女性が出会い、強く惹かれあっていく姿を描いた「中国の植物学者の娘たち」。来日したダイ・シージエ監督が、インタビューに応じてくれた。
前作「小さな中国のお針子」でゴールデン・グローブ賞外国語映画賞にもノミネートされたシージエ監督は、17年前に処女作「中国、わがいたみ」の製作中、中国政府の検閲から撮影禁止に追い込まれ、同作をフランスで撮影して以来、現在もフランスで暮らしている。
長編第2作「小さな中国のお針子」はフランス資本で製作され、3作目となる本作もまた、同性愛を扱っているという点で中国での撮影許可は得られず、フランスとカナダの製作会社やTV会社から出資を得てベトナムで撮影された。監督はそうした状況について「外国で作っているのは、中国で要らないと言われたから。中国政府が認めるような映画を作るなら、わざわざ中国を離れる必要はなかった」と中国政府への憤りを感じさせるコメント。しかし、外国資本であっても中国を舞台にした物語を作り続ける裏には、「外国で映画を作っていても、私は中国人であって、その国の文化の王道ではない」という祖国を追われて海外で生活していることで生じる、自身のルーツと現状とのジレンマもあるようだ。
映画は、中国人とロシア人のハーフで孤児の主人公リー・ミン(ミレーヌ・ジャンパノワ)と、高名な植物学者でもある厳格な父の元で育ったアン(リー・シャオラン)が、互いを求め、惹かれていく様子を美しい映像で綴るが、80年代当時はご法度だった2人の“同性愛”の行く末には、厳しい現実が待ち受けている。
主演のミレーヌは、実際に中国人とフランス人のハーフ。緑色の瞳が神秘的な雰囲気を醸し出している。「中国を離れて長いため、完璧に中国人を描くことに自信がなかったが、私も文化的には既に混血児といっていい。だから、実際に主人公をハーフにすることで、自信を持って描けると思ったのです」
「中国の植物学者の娘たち」は12月15日ロードショー。
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