仏映画界期待のハニカミ王子、新作「明るい瞳」を語る
2007年8月29日 12:00

[映画.com ニュース] 社会になじめないフランス人女性が、言葉の通じないドイツ人青年と交流する姿を綴った「明るい瞳」が間もなく公開。弱冠28歳(今年で30歳)で長編第2作となる本作を手掛け、フランス映画界の優れた若手監督に贈られるジャン・ビゴ賞を受賞したジェローム・ボネル監督に話を聞いた。
物語の前半、社会に適合できない主人公ファニー(ナタリー・ブトゥフ)は兄夫婦の家に厄介になっているが、彼らとも反りがあわずに家を飛び出してしまう。出奔して父の墓があるドイツにたどり着いたファニーは、森の中でひっそりと暮らす青年オスカー(ラルス・ルドルフ)と出会うが、言葉の通じない2人の間には不思議な絆が生まれていく。その様子は、言葉は通じるのに全くちぐはぐだった兄夫婦との関係と対照的で面白い。
監督は「コミュニケーションに大切なのは、言葉ではなく身体。言葉は嘘をつくけど、肉体はどんな状況においても絶対に嘘をつかないからね」と語り、会話のほとんどないファニーとオスカーのシーンは「撮っているのが気持ち良かった」と言う。「セリフがあると、俳優はそれを少し隠れ蓑にしまう。セリフがないと、カメラの前で演技している自分を全てさらけ出さなければならないけど、僕たちの間には互いに信頼があったから、彼らも勇気をもって素晴らしい演技をしてくれたんだ」
ところで、しぐさには幼さが残り、どこか神経症気味な主人公ファニーについて、監督は「自分とかけ離れた人物を描こうとしたつもりが、出来上がってみると少し似ていた。僕は彼女のように病的ではないけどね(笑)」と語る。「僕はシャイではにかみ屋だから、映画という他人の身体を使った映像を通して、自分を表現しているんだ」。そう語る細面のボネル監督は、さしずめ仏映画監督界のハニカミ王子といったところか。
「明るい瞳」は9月1日ロードショー。
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