「2:37」弱冠19歳の新鋭監督が実体験を基に描く“自殺”
2006年10月27日 12:00
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「2:37」弱冠19歳の新鋭監督が実体験を基に描く“自殺”
友人の自殺、そして自らの自殺未遂という壮絶な実体験を基に、撮影当時弱冠19歳だったムラーリ・K・タルリ監督が手掛ける「2:37」が、第19回東京国際映画祭のコンペティション部門に出品された。10月25日、東京・渋谷のBunkamuraオーチャード・ホールにて、来日したタルリ監督が記者会見を行った。
誰にも打ち明けられない悩みを抱える6人の高校生、それぞれのエピソードを巧みに交差させて描くドラマ「2:37」。「03年に、友人のケリーが自殺するいう衝撃的な事件があった。その半年後、僕自身にも持病の悪化、右目の失明、彼女との別れなど辛い要素が重なり、自殺を考えるようになってしまったんだ」と静かに語り出した監督。「自宅でジンと薬を飲んで自殺を図ったんだけど、段々意識がなくなっていくとき、すごく怖くなった。自分はなんてことをしてしまったんだと後悔した。幸いにも翌朝目を覚ますことが出来て、その後36時間で『2:37』の脚本を書き上げたんだ」と自らの過去と本作の誕生秘話を告白。
本国オーストラリアでは、自殺を誘因してしまうのではないかという批判も受けたそうだ。しかし監督は「映画では自殺を美化して描くことが多いけど、僕は責任を持って自殺がどれだけ怖くて苦しいものかを伝えなけばならないと思ったんだ。実際、ある青年から“この映画を観ることで自殺を思いとどまった”というメールを貰ったんだけど、自分の映画が命を救うなんて、今思い返しても身震いする出来事だった」と熱く語る。