E・ベアールが、キェシロフスキ監督の遺稿に挑戦
2006年3月7日 12:00
「トリコロール」3部作、「デカローグ」などで知られるポーランドの巨匠クシュシュトフ・キェシロフスキの遺稿を、異色作「ノー・マンズ・ランド」のダニス・タノビッチ監督が映画化した3姉妹のドラマ「美しき運命の傷痕」。3姉妹の長女を演じた主演のエマニュエル・ベアールとタノビッチ監督が来日し、3月3日、東京・渋谷のセルリアンタワー東急ホテルにて来日記者会見を開いた。
2年ぶりの来日となるベアールは「これまでに10数回、日本に来ています。日本人の方は好奇心旺盛な上、様々なことで喜び、悲しみを表現できる感性を持っているようで、大変嬉しく思います。日本人全員がフランスに引っ越してくれないかしら」と挨拶。会見途中ジャーナリストから、映画「キング・コング」の160億円かけたCGのコングより、エマニュエル・ベアールの肉体そのものの方がパワフルだったと言われたベアールは「私の出るシーンには特殊効果はありません。私は自分の出来ることをしているだけです。作品ごとに2、3カ月間、カバンに荷物を詰め込み、監督たちと同じところにいる、それが(女優の)仕事です」と語り、感謝の気持ちを述べるとともに映画女優としての姿勢を示した。
一方、キェシロフスキの遺稿ということで、プレッシャーはあったのか?と聞かれたタノビッチ監督は「私は内戦中だった94年のサラエボ以降、プレッシャーというものを感じたことはありませんが、遺稿を読んで、つくづくキェシロフスキは天才だと思いました。彼はかなり深いところまで、女性の世界に入っていたんですね」と改めてキェシロフスキに敬意を表した。
会見の最後、ベアールは「世界がマクドナルド化してしまっている中で、フランス映画や他の国の映画が観られることは素晴らしいことです」と配給元を褒め称え、会見を締めくくった。「美しき運命の傷痕」は4月8日公開。