過去を見つめ、教訓を学ぶ。ベルリンで受賞した「白バラの祈り」
2006年1月24日 12:00
昨年のベルリン映画祭で監督賞、主演女優賞などを受賞した「白バラの祈り/ゾフィー・ショル、最期の日々」が、1月28日よりシャンテシネほかにて公開される。本作は、対ナチスのレジスタンス組織“白バラ”の女性メンバー、ゾフィー・ショルが、反戦のビラをまいて逮捕され、6日後には処刑されたという1943年の事件を映画化した物語。本作のマルク・ローテムント監督に話を聞いた。
これまでも“白バラ”という組織を描いた映画はあったが、本作がそれらの作品と異なるのは、近年新たに発見されたゾフィーに関する裁判や尋問の記録資料をもとに、ゾフィー本人の視点で描かれていることだ。「再び“白バラ”を描くなら、新しい理由が必要だった。そこで目に付いたのがゾフィー・ショルだった」と監督は言う。「彼女は一介の学生であり、観客にとって感情移入しやすいと思った。彼女は剣を持たずにペンで戦っただけなのに、死刑になってしまった。そのことにも焦点を当てたかったし、我々ドイツ人がゾフィーに対して描いている英雄的、殉教者的なイメージより、彼女の人間的な部分を描きたかった」
監督はこうした歴史上の事実を描くことで「現代の人々が学び、成長してほしい」と語る。「私の祖父母もナチスの党員だった。私自身は68年生まれで、ナチスの犯罪に対して責任を感じていないが、逆にこうした事実があったことを次世代に伝えていかなくてはと思っている。同じように、第2次大戦中に日本軍が何をしてきたのかということを、現代の日本の人々が認めていく必要がある。責任問題云々というよりも、過去から教訓を学ぶこと。これが私の込めたかったメッセージなんだ」