「CUBE」の監督が消したいのは、ハリウッドの大作映画?
2005年9月13日 12:00
立方体に閉じ込められた人々の恐怖を、斬新な映像とアイデアで見せた「CUBE」のビンチェンゾ・ナタリ監督が、今度は何もない真っ白な世界を描いた。世の中に嫌気がさした主人公たちが、「何もかもなくなってしまえばいい」と思った途端、周囲からあらゆるものが消えていくというサスペンス映画「NOTHING/ナッシング」だ。
“何もない世界”という、またも奇抜なアイデアを生んだナタリ監督は、製作のきっかけについて「主演のデビッド・ヒューレット、アンドリュー・ミラーと仕事がしたかったから」と、自作の常連俳優の名を挙げる。「彼ら以外の人物が登場せず、周囲を全て消してしまうとどうなるかやってみたかった。彼らとは友人同士だし、彼らありきの映画だ。あの2人が90分の映画の中で“やり合う”様を撮りたかったんだ」
製作費は低予算だが、複雑な技術を使い、ほとんどのシーンがホワイトスクリーンとCGで描かれている。「特殊効果が多くて苦労したけど、ラストの2人の対決シーンが描きたかったし、一番好きだからね。どんなシーンかは観てのお楽しみ」
これまでも常に斬新なアイデアで映画を撮ってきたが、自身を「保守的だから」と語り、それ故に「アニメとかにも挑戦したいけど、今後も実写を撮り続けていくだろう」と言う。映画のように世界から消してみたいものは?との質問には「『スター・ウォーズ』の新3部作、『マトリックス・リローデッド』と『~レボリューションズ』……といった感じかな(笑)」と、ハリウッド映画を批判するかのような、意味深なコメントを残していった。9月17日より、シネセゾン渋谷にてロードショー。