「贅沢は敵だ」。ドイツからやってきた革命児
2005年4月26日 12:00
昨年日本でも大ヒットした「グッバイ、レーニン!」で一躍人気が高まっているドイツの若手俳優ダニエル・ブリュールが、新作「ベルリン、僕らの革命」で監督のハンス・ワインガルトナーとともに来日し、インタビューに応じた。
本作は、金持ちの留守宅に侵入し、盗みは働かずに家の中をかき回して「贅沢は敵だ」と書き置きを残して去る“エデュケーターズ”と名乗る若者たちが、理想と現実の狭間で揺れ動く様を描く。理想に燃える青年ヤンを演じたブリュールは、「ヤンは主人公だから観客の共感を呼ばなくちゃいけないけど、彼は非常にモラリストで攻撃的なんだ。ただ、物語が進むと、親友を裏切って恋人を取ってしまい、三角関係に悩む普通の青年の面をみせる。そこに共感してもらえると思うよ。そうした多面性は、演じていてやりがいもあった」と語る。
革命というと一見堅苦しいが、物語はそうした主人公たちの恋愛模様も描くことで、普通の若者にも共感しやすい青春劇になっている。ブリュールも「ヤンのように親友の恋人を取ってしまったことはないけど、三角関係で悩んだことがある」とのことで、その経験を役作りにいかしたそうだ。
一方、監督のハンス・ワインガルトナーは90年代、取り壊しの決まった建物を仲間とともに不法占拠して芸術的活動を行い、最後は警官隊に排除されたという経験を持つ根っからの“反逆児”。「若者は社会を変えたいと思っており、大人は現状維持を望む。その両者の対話によって社会が変えられていくべきだと思う」と本作に寄せる思いを語り、「次回作は決まってないけど、その次は近未来が舞台で、世界を崩壊から救った革命家のグループの物語を撮るつもり」と、“革命”に対するこだわりを見せていた。4月29日より、Bunkamuraル・シネマほかにてロードショー。