「悲しき虚構」大いなる不在 SHさんの映画レビュー(感想・評価)
悲しき虚構
相当ドラマチックに、しかもカッコ良く作られた作品ですが、その内情には悲しみしかありません。無自覚のうちに進んでいく認知症というものが、いかに悲しくて、その感覚が本人と周りの人ひとりひとりそれぞれにかなり乖離したものがあって、非常に難しいものだと改めて思い知らされました。仮に家族に─あるいは自分が─そうなった場合の備えとか対策なんていうものは、簡単には見つからないかもだし、軽はずみなことは言えないかも─。ただそうなったときの覚悟だけ・・・
藤竜也が素晴らしかったです。見事に様々な虚構を演じきっていて、めちゃくちゃ悲哀に満ちていました。
認知症を題材にした作品にしちゃあちょっと筋道が違っているような印象をもたれかねないし、病としょうめんから向き合っていない気もしますが、その本質を見事についている気がしますし、まさにそれが本質だと言わんばかりの悲しき虚構でございました。
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