星つなぎのエリオのレビュー・感想・評価
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宇宙で出会ったもう一人のボク
ピクサーの最大の魅力はオリジナル作品。見た事もない世界、ユニークで魅力的なキャラ、ワクワクと感動のストーリー。
2000年代は最強だった。毎年のように魅せてくれた。
いつの頃からか続編が多くなり、オリジナルと続編が交互。どうしても続編モノに人気とヒットが偏ってしまうが、それでも近年もオリジナルの良作を作り続けている。
そんなピクサーが贈る、新作オリジナルの世界は…
宇宙。
色んな世界を魅せてくれてきたピクサーだが、宇宙は初。まだピクサーにもフロンティアがあったとは…!
…え? 『バズ・ライトイヤー』? まあ、あったね。
メイン舞台となる様々な星の代表が集う“コミュニバース”。
これまでとはまた違う“ピクサー宇宙”。
ユニークとイマジネーションいっぱい。カラフルな映像美。夢もいっぱい。
異星人の造型も固定観念には囚われず。広い広い宇宙には多種多様な種族がいる。彼らから見れば地球人こそ個性的に感じるかもしれない。
言うまでもないさすがのピクサー・クオリティー。未開拓だった宇宙でも本領発揮。
ファミリー向けアニメーションの空想宇宙に過ぎないかもしれない。それに、宇宙=SFのイメージ。
しかし、宇宙はこの空遥か高く実在している。
我々は宇宙の事なんてほんのほんのほんのちょっとだけしか知らない。その果てしない先には何があるのか…?
本作や数々の作品で描かれてきた宇宙も、あながち的外れではない…かもしれない。突飛な世界やそれが宇宙では“普通”だったり…?
誰がそれを否定出来よう。だから我々は永遠に宇宙に魅せられるのだ。
ビジュアルやイマジネーション抱かせる作りは申し分ナシ。
ストーリーもソツが無いと言えよう。
両親を亡くしたばかりの少年エリオ。学校でいじめっことトラブルを起こし、引き取った軍人の叔母オルガとはすれ違いが続く。
ある時から宇宙に憧れるエリオ。宇宙人さん、僕を宇宙に連れてって! エイリアン・アブダクションを望むヘンな子と思わないよーに。
そしたら本当に宇宙から招待が…! 正確に言うと、50年前に打ち上げた観測機ヴォイジャーのメッセージを受け取り地球に興味を抱いていたコミュニバースが、たまたまエリオの宇宙への無線通信をキャッチし、しかも“地球代表”と勘違いしてコミュニバースに招待…という事。まあ、言いたい事やツッコミは多々あるだろうが、そこは寛容に。
コミュニバースは好戦的な異星人グライゴンと揉めていた。コミュニバースの一員になりたくてついついでしゃばったエリオがその交渉役に。
地球の特使でもなくましてや何の取り柄もない内向的な子供がとんだ大役を…。
グライゴンの巨大宇宙船内でエリオが会ったのは…
グロードン。グライゴンの息子。
好戦的な父親と違って、グロードンはおとなしいあどけない性格。
そんな性格故、父親から愛されてないのでは?…と悩む。
グライゴンたちは本当は芋虫のような姿。成人したら特殊強力アーマーを着て戦士になるのがしきたり。
戦士になりたくないグロードンだが、ほぼ強制。グライゴンもグライゴンで息子との向き合い方に悩む。
あれ…? どっかの甥と叔母の関係に似ている…?
壮大な宇宙の中で語られるのは、パーソナル物語。
宇宙で出会ったのはもう一人のボク。家族の絆。
グライゴンとの交渉の切り札として、グロードンと結託。
グロードンのクローンを作ってアーマー装着させようとするが…、グライゴンはちょっとした言動から偽者である事に気付く。
その時のグライゴンの台詞が良かった。「父親だからだ」
嘘がバレ、コミュニバースで大暴れするグライゴン。本作のディズニー・ヴィランだが、不器用な父親でもある。本作でも最も儲け役のキャラだろう。
コミュニバースを危機にしてしまい、エリオは追放。戻りたくなかった地球へ戻る。
叔母と再会。その時の叔母の台詞が良かった。「あなたの全てが恋しかった」
グライゴンの巨大宇宙船内の小型宇宙船に身を隠していたグロードンだが、間違いから宇宙に放り出されてしまう。地球へ。軍に捕まる。
エリオと叔母はその救出。グロードンを父親の元へ。
コミュニバースの危機を救う。コミュニバースとグライゴンの関係緩和。グライゴンとグロードン。エリオと叔母。さらにはエリオといじめっこ。そして勿論、エリオとグロードン…。
エリオ以外の宇宙に憧れている地球各地の“孤独者”の協力も描き、ラストは見事に昇華する。
忘れてならないナイスキャラは、エリオのクローン。オリジナルのエリオとは違う“普通のいい子”。それを怪しんだ叔母に正体がバレ、危うし!…と思いきや、
彼の別れの挨拶は『ターミネーター2』以来最高のグッドサイン!
宇宙×家族で相変わらずの安定ぶりを魅せてくれたピクサーだが、ベストではなかった。難点もあり。
最たるは、エリオのキャラだろう。主人公でありながら共感しづらい。
孤独っこなのか、わがままなのか、トラブルメーカーなのか、ピュアな子供なのか…。キャラ設定の焦点が定まってない気がした。
両親を亡くしたばかりの子供の孤独、子供故の無邪気さ、最後は成長…とも見受けられるが、これまでのピクサーはもっとキャラ描写は巧みだった筈だ。
グロードンも。勿論キュートだけど…、ちょっとリアルさが仇になってさすがに虫嫌いの子供や親には好き嫌い分かれるだろう。ぬいぐるみとかになってこれまでのピクサーキャラのように人気になるかな…?
エリオと叔母もしくはグロードンとグライゴンの当初のぎこちない関係、友情、和解、ハートフルな感動など普遍的だが、既視感あり。“見た事ない宇宙”のビジュアルも。
なので実は最初見る前、ピクサー新作だからとりあえず観ておこうって感じで、特別惹かれるものや秀でたものを感じ得なかった。
だからなのか、全米では批評は概ね好評だが、興行は苦戦。ピクサーワーストになりそうな…。実写『リロ&スティッチ』からの“ヒットつなぎのエリオ”になれなかった。日本でも『鬼滅』『国宝』『TOKYO MER』の強力3本柱に苦戦しそう…。
でも、実際見てみたら…。
当初の期待値低めから思いの外。
ピクサーベストではないが、良作。
宇宙にあった居場所と友達。
宇宙へ向けた視線をもう一度下に向けてみて。
改めて気付く筈だ。
自分の本当の場所、傍にいてくれる存在。
あなたは決して独りじゃないと。
モヤモヤした
話の内容は、
宇宙に惹かれた少年が、その探究心からたった1人の家族である叔母の愛が分かり合えなかったり、友達が1人もできないのもあり、宇宙への永住を希望し、宇宙人の友達ができる。
その宇宙人の危機を救おうとする中で、叔母の愛情や地球の色々な国に友達になってくれるような人を見つけることができ、故郷である地球への愛に目覚め、最後には帰宅することになる。
いじめっ子とその取り巻きとはどうなった??
両親とのエピソードはないの??
日本語への翻訳雑すぎない??
映像は良かったけど、エピソードにモヤモヤするところが沢山あった。
宇宙へのあこがれというのも、在り来り
家族愛、友人もありきたりで新鮮さが全くない。
映像が綺麗
わかったさんのサイン会まで時間があり、
せっかくなので4dx。
コスモバースの世界はすごい。
綺麗でわくわくする。
無重力の浮遊感は4DXにぴったりだと思う。
子供特有の感じがもう…。
頑固でこだわりが強くて物事の分別ついてない感じ。
あんまり共感できなかったなぁ。
同族嫌悪?笑
ところどころジェットコースターくらい激しく揺れて、こども吹っ飛ばないか心配してしまった。
ひっさしふりにピクサー見たけど、今作は子供により刺さるのではないかな。
20年くらい前に見たら刺さってたかもしれない。
リピは無しかなあ。
25.8.3 映画4DX
孤独な少年の宇宙への憧れと夢と勇気は、宇宙人の武力と知性にも勝る
両親を失い地球に絶望し、宇宙を夢見る孤独な少年エリオ。
毎晩宇宙に向けて発信していたある日、ついに交信に成功!
宇宙の先進的な組織コミュニバースに返信したことで地球のリーダーと誤解され、一人、宇宙の武装集団グライゴンと交渉することになる。
予告を観て、「今度の主人公は片目の少年か!」
なんと攻めた設定か!と思ったらケンカでちょっと怪我しただけだったんですね。
ホントにどきどきしながら観始めました。
本作は、宇宙への夢がいっぱい詰まっていて、ビジュアルもひたすら美しい!
都内で唯一のドルビーシネマ上映(IMAX上映は無し)は、新宿バルト9での鑑賞が超おすすめです!(が、場内ガラガラでした。ざんねん。)
唯一の地球人として一人、宇宙の大冒険!
口では上から目線で偉そうなことばっかり言っている知性的集団コミュニバースも、武力を前にすると、ひたすら逃げ回っているだけだというところがリアルで情けない。
初めての友だちもでき、さまざまな種族の宇宙人と交流、果ては地球のみならず、コミュニバースを代表して武装勢力に単身立ち向かうのが頼もしい。
途中、「パーマン」のコピーロボットみたいなのがでてきて、「T2」オマージュしたりと小ネタもあり。
個人的には一瞬ですが、地球の巨大望遠鏡(パラボラ)が数台同時にゆっくり回転するところとか、わくわくします。
クライマックスは、世界のアマチュア無線グループが活躍するのも面白い。
宇宙への夢と、優しさが詰まっているのがいいです。
ただ言いたいことはわかるのですが、全体的に弱い。
もっと欲しい。
圧倒的に物足りないのが残念。
日本語吹替版で観ましたが、主役2人の声をあててる少年二人が本当に上手い。
特にグロードンのセリフ回しがキュートです。
字幕版、原語では、叔母さん役を「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」「アバター」「エミリア・ペレス」(アカデミー助演ノミネート)のゾーイ・サルダナがあてているのにも注目です。
最近のピクサーのキャラは・・・‼️
とにかく字幕の上映館が少ない。私の地元、佐賀ではもちろん字幕の上映は無く、最寄りの福岡でも一館のみの上映で、22時からの一回のみ。いつから日本人は吹き替えばかり観るようになったんだろう?最近、ピクサーをはじめとする外国のアニメを鑑賞する時、字幕の上映館の心配ばかりしないといけない。
両親を亡くしたばかりで、周囲になじめない孤独な少年エリオは、心優しいエイリアン・グロードンと出会い、遥か彼方の宇宙空間を舞台に大冒険を繰り広げる・・・‼️孤独な少年の成長物語、エリオとグロードンの心温まる友情、宇宙を舞台にしたスペースバトルの興奮、エリオと叔母の家族愛まで、ピクサーが手堅く楽しませてくれるアニメーションの佳作‼️さすがはピクサーと思わせてくれる一方、エイリアンのグロードンの魅力の無さが致命的な欠点‼️やはりピクサーのキャラはぬいぐるみやフィギュアが欲しくなるような可愛さがないと‼️
引き合う孤独が織りなす物語
「万有引力とは 引き合う孤独の力である」(「20億光年の孤独」から)
谷川俊太郎さんの著名な詩にあるように、孤独は引き合うのだ。両親を亡くし叔母さんに引き取られたエリオにとって、言葉にはしないが、自分が叔母さんのキャリア(宇宙飛行士の夢)の妨げになっているという意識がある。
ぼくを連れてってというエリオのメッセージが宇宙人に届き、彼は地球のリーダーという勘違いではるか宇宙の彼方コミュニバース(いろんな生命体がいる多様性の象徴)に招かれる。
彼はそこでやはり孤独なグロードンと知り合うのだが・・・。
スピルバーグのSF映画でも孤独な少年が度々登場していたが(スピルバーグ自身の子供時代を反映している)、そのような孤独な少年のもとに宇宙人は必ず来る。宇宙人も宇宙のなかで一人ぼっちだったのだ。そうして孤独と孤独が引き合い、出会いが生まれる。
映画でボイジャー1号の名が登場し、冒頭で宇宙人に捕獲されているが、ボイジャー1号は実在し、昭和世代の私には熱いものがある。
ボイジャー1号は1977年に宇宙に向けて放れた。そこには地球上のあらゆる言語の挨拶や音楽等を収録したゴールデンレコード(これも映画で言及される)が搭載され、やがて未知なる知的生命体に届くとされた。太陽圏をすでに脱出し、現在も宇宙空間を飛行しているという。
なお、ゴールデンレコードの音声収録部分は「VOYAGER GOLDEN RECORD」というタイトルで発売され、配信もされている。
ボイジャーは今も孤独に宇宙空間を漂っているが、それが捕獲という形で宇宙人と遭遇し、さらにそのことが孤独な少年エリオとの出会いにつながる。やはり孤独は強い万有引力を持っていたということだ。
私たちに必要なのは政治家ではなく、詩人だと思う時がある。政治家は半径1メートルのことしか考えられないが、詩人は宇宙の果てに思いを馳せることができるからだ。
エリオは孤独ゆえに宇宙の果てを想像出来た。孤独とは否定するものではなく、なにかを始めるスタート地点ではなかろうか。
映画の序盤でトーキング・ヘッズの「once in a lifetime」が流れる。もうこれだけでこの映画を予感できる。
カーラジオから流れる音楽、主人公が部屋でかけるレコード、それらの音楽の良さでその映画の出来が予想出来るというのが私なりの映画経験だ。既成曲の選びかたにセンスの良し悪しが出るのだ。
音楽センスのない映画監督にまともなやつはいないとまで断言していい。
本作では既成曲は殆どない(2曲のみ?)ので、トーキング・ヘッズの採用は意図的だろう。制作陣の年齢からすると、トーキング・ヘッズの解散以後に成長した世代だと思うので、後追い世代だろうか。
ちなみにトーキング・ヘッズのドキュメンタリー映画「ストップ・メイキング・センス」(1984年作 2024年に4K版再公開 配信視聴可)は音楽映画の大傑作と言ってよい。必見なり。監督のジョナサン・デミが後に「羊たちの沈黙」「フィラデルフィア」のような大作名作を撮ることになるとは、初公開時に観た者としては予想もしなかった。
後半は家族の物語になってる?
両親を亡くし叔母を暮らしているが
宇宙のことしか興味がない行動で孤独だったエリオが
宇宙人との交信音声を録音したことで「地球人代表」と思われた
そこでコミュニバースの一員となるはずだったが
しかし、激怒したグライゴンと交渉することになって
そこでグライゴンの息子のグロードンと出会う
無線や衛星とかの設定は
宇宙とかに詳しくないとわかりにくいかな?
エリオは親を亡くして
孤独だが客観的に見ると自分勝手に見えるので
共感を序盤では得にくいかもしれないと思った
あと、一人でグライゴンに交渉に挑もうとしたことも共感を得にくいかもしれない
コミュニバースの宇宙人は宇宙の知性の集まりらしいのに
グライゴンをまったく止めようとしないで
エリオに全部押し付けたように見えるのは無責任なように思えた。
クローンの倫理観は壊れている?
なんとなく、グロードンとの友情物語かと思ったけど
途中まで出てこないし、後半は家族の絆が中心になっていたように感じたので
少し予告とは違った印象があるかも?
グライゴンが最後は家族を想う父親に唐突になったのは
ちょっとご都合主義な感じがした
バンプオブチキンの主題歌が流れるところは
エンドロールの後半なので忘れてたころに流れ出す
孤独とは、状況に対する感受性の違いによって生まれてしまうものだと思った
2025.8.2 字幕 MOVIX京都 Dolby Cinema
2025年のアメリカのフルCGアニメーション映画(98分、G)
孤独を感じている少年が地球の代表に間違えられる様子を描いたSF映画
監督はマデリーン・シャラフィアン&ドミー・シー&エイドリアン・モリーナ
脚本はジュリア・チョウ&マーク・ハマー&マイク・ジョーンズ
物語は、アメリカの航空宇宙局にて、叔母オルガ(ゾーイ・サルダナ)の目を盗んで「ボイジャーの展示室」に入る少年エリオ(ヨナス・キブレアブ)が描かれてはじまる
両親が他界して以来、心を閉ざしていたエリオだったが、ボイジャーが地球を離れてメッセージを発信し続けるのを知り、自分も宇宙人にメッセージを送りたいと考えるようになった
砂浜に「僕をさらって」と書いて、無線機で信号を送り続けるエリオだったが、それで何かが変わることはなかった
ある日のこと、オルガの職場に来ることになったエリオは、そこで通信士のメルマック(ブレンダン・ハント)が宇宙からの通信を傍受したと力説している様子を見てしまう
オルガは呆れて彼を通信室から追い出すものの、エリオはその隙をついて部屋に入り、スピーカーに向かってメッセージを発信してしまう
基地は送信電力によって停電となってしまい、オルガは定職寸前にまで追い込まれてしまうのである
物語は、その後に特に必要と思われないエピソードがいくつか重なったのちに、光に包まれて宇宙の彼方に連れて行かれるエリオが描かれていく
そこはコミュニバースと呼ばれる各星の大使が集う場所で、彼らはエリオを地球(ア地球)の代表だと思い込んでいた
エリオも居場所探しのために嘘を重ねるものの、コミュニバースでは新たな問題を抱えつつあった
それは、コミュニバース入りを望むハイラーグ人の皇帝グライゴン(ブラッド・ギャレット)の存在で、彼は審査に落とされると「実力行使で奪う」と宣言し、大軍を引き連れて、コミュニバースを征服しようと動き出してしまう
これによって、大使候補選別の会議は中止されてしまうのだが、こともあろうにエリオは「自分が交渉する」と言い出し、大使たちはエリオが問題を解決したら大使にする、と明言するのである
映画は、エリオがグライゴンとの交渉に入るものの、役に立たずに投獄されてしまう様子を描いていく
そこで、グライゴンの息子グロードン(レミー・エジャリー)と出会うのだが、実はここら辺が映画の中盤に差し掛かったあたりだったりする
なので、いつになったら出てくるんだろうという感じになっていて、話がなかなか進まないように思えた
さらに、当初の設定は母親だったオルガが叔母になっているところで、本来なら描かなければならない部分がおざなりになっていた
それは、エリオと叔母がどれくらいの期間を過ごしてきたのか、というところで、それは両親がどうやっていつ頃亡くなったのか(おそらく両方宇宙飛行士で事故死)という背景についても関係している
オルガはエリオのために自分の夢を諦めているところがあるのだが、それがエリオに伝わってしまっているところで軋轢が生まれていた
だが、映画の中盤では「まるで育ての親」のようにエリオへの愛情を示すことになっていて、この一連の感動的に思えるセリフに説得力がなくなってしまっている
同僚たちにグチるくらいには重荷になっていることを考えると、ラストのエリオがコミュニバースに残りそうになる時にあんな表情にはならないだろう
なので、当初の設定の通り、母親のままで、父親が亡くなったことで険悪になっている、という設定の方がマシに思えるし、ラストのオルガの表情を生かしたいのなら、物心ついた頃に両親が事故死し、かなりの年月をエリオに費やしてきた、という歴史を描く必要があったように思えるのである
いずれにせよ、ベッタベタな王道展開で、サプライズというものはないのだが、ラストで語られる「個性的な人は孤独を感じることもあるが、ひとりじゃない」という言葉は秀逸だと思った
孤独とは、共感性の低さと関連すると思うし、その能力が別の方向に全振りしている、もしくは優先順位が下がっているから起こってしまう
エリオは自分の気持ちは誰にもわからないと感じていて、それはグロードンも同じだった
そこには「両親を亡くした子ども」と「外界から閉ざされた王子」という絶望的な背景の差があるものの、親と接する時間の欠如、思いを分かち合う友人がいないことという心が感じる根幹は同種のものがあった
本当に全てが重なることはないのだが、相手の心のうちが想像できるというのは、状況が同じということではなく、起きていることに対する感受性が同じ、というところにつながっている
それゆえにエリオはグロードンと分かり合えるし、オルガの孤独は癒やされないまま終わってしまう
ハッピーエンドに見えるものの、オルガの本当の孤独というものは埋められていない部分があるので、それで物語を終わらせてしまっているのは勿体無いなあと感じた
近くの親戚より遠くの他人。
主人公の冒険であり大人に一歩近づく儀式的な出来事。
“孤独”って特殊なんだよね。
埋まったり埋まらなかったり見えなかったり物足りなかったりほんの少し欲しかったり………。
なかなか近い人には本音が言えなかったりするから顔も知らない遠くの人にメッセージしたり出来るよね。
悩むけど答えなんて簡単に見つからないしベストアンサーを求めがちになるから迷宮入りして病んでしまうよね。
この作品はR-8.9.10……どの辺?微妙なネタの様に思えるな。
今の子は無線クラブ的な古風な表現伝わるんかな?
なにはともあれ色んな異星人もいるし考え方もあるし何もかも違ったりするけど、あなたは独りじゃない。何処かで支え合えたり見守ったり応援してくれている人がいるんだよって教えてくれる作品でした。
登場人物の誰にも、共感も感情移入もできない
主人公のエリオが、どうして、それほど、宇宙人にさらわれることに執着するのか、あるいは、親身に世話をしてくれる叔母さんや好意的に接してくれる友達と打ち解けようとしないのか、その理由がよく分からない。
両親を亡くしたことが影響しているのかもしれないが、数々の惑星のリーダーが集まる宇宙船を自分の居場所と思ったり、エイリアンの子供とすぐに仲良くなったりする様子を見るにつけ、単に地球や地球人を毛嫌いしているだけとしか思えない。
その惑星のリーダーたちも、高度に発達した科学力を備えている割には、武力の前には無防備で、ただ逃げようとするだけというのは間が抜けているし、よくぞ今まで無事でいられたものだと呆れてしまった。
地球に追い返されたくないエリオが、これといった策もなく、敵の宇宙船に乗り込んでいくのも無謀としか思えないし、そこで、たまたま敵のリーダーの息子と知り合って、仲良くなるのも、行き当たりばったりで、ご都合主義としか言いようがない。
エリオと叔母さんの乗った宇宙船が、地球上の多くの協力者の力を借りながら、数々の宇宙デブリを回避していく場面にしても、こんな状況では、とてもロケットの打ち上げなどできないだろうと突っ込みたくなるし、結局、これが最大の見せ場だったことには、物足りなさを感じざるを得なかった。
ラストで、「力の信奉者」だと思われた敵のリーダーが、単なる子煩悩の父親で、きちんと約束を守る「良い人」だったというオチには、思わず拍子抜けしてしまったし、戦争や平和に関するメッセージがないのであれば、武力による侵攻というシチュエーションを、中途半端に描くべきではなかったと思えてならない。
変なポリコレへの配慮が感じられないのは良かったのだが、登場人物の誰にも、共感も感情移入もできなかったため、最後まで物語の中に入り込めなかったのは残念だった。
リボン
先行試写会にて鑑賞。
ビジュアル面はどうしても引っかかるものがありそれがどうかなーと思いましたが、日本版主題歌がバンプ!愛しのバンプ!しかも「リボン」!これで期待値がグッと上がりました。
ビジュアル面で判断してはいけないなと改めて思いました。
ど直球の成長ものに宇宙という未知の空間の冒険を組み合わせてきたらそりゃ面白いよな!という抜群の手応えを見せてくれて素晴らしかったです。
両親を亡くして心の拠り所を失って呆けてしまっているエリオは宇宙に行く事を夢見ており、ふとしたきっかけで宇宙人との交信に成功し、地球とは別の星に向かい、そちらで多くの宇宙人たちと会話したりする中で、エリオと同じような境遇のグロードンと出会い…といった感じで、悩める少年エリオが徐々に世界と打ち解けていくという流れから、宇宙での新体験もあったりとで色彩豊かな映像とともに楽しめました。
今作の素晴らしいところはグロードンですね。
キモカワな見た目ですが、テクテク歩くフォームが可愛いですし、自分の弱いところも分かりつつも無邪気に生活していて、何より吹き替え版では子役の子の声がベストマッチしていてより愛らしさが増していました。
戦士になりたくはないけれどお父さんには認められたい、エリオも似たような気持ちだからこそ2人が仲良くなるまではあっという間で、2人で惑星を駆け回る姿なんかとても良かったです。
宇宙人たちのデザインもよりどりみどりで個性的で面白いですし、ロボットなんかも登場してくるもんですから色々融合していての面白さもあったりします。
ヴィランの描き方もここ最近のディズニー関係の作品としては上手い描き方になっており、己の大切なものを守るために悪として立ちはだかるといった、完全な悪では無い立ち位置のキャラがいたのも良かったですし、それに向かって武力行使ではなく、しっかりと己の言葉で立ち向かっていくというのもある種のぶつかり合いなのも今作にはピッタリだったなと観終わった後に思えました。
地球と宇宙が繋がってからの攻防は見応えたっぷりでしたし、エリオが出したアンサーもとても前向きなものだったりとでよく決断したなぁ誇らしく思えました。
その後も繋がっている世界も素敵で良い終わり方でした。
惜しむらくは序盤のエリオのクソガキっぷりはここ最近の映画と比べても中々のもので、塞ぎ込んでいるだけならともかく、落ち着きが無く迷惑をかけ、自分が悪いと思っていない身勝手ぷりにはイラッとさせられました。
後半の成長でまだイーブンにできたかなとは思いましたが、それでも序盤の悪印象は拭えず、その眼帯もお前のせいかい!となったりしたのがもったいなかったです。
しっかり楽しんでからエンドロールに突入し、聞き覚えのあるイントロが流れてきてからまたテンションが上がりました。
一応8年前の曲のはずなのに、歌詞もメロディもエリオにドンピシャ、しかもフルでやってくれてもう感謝しかないです。
"意地や恥ずかしさに 負けないで心で正面から向き合えるよ"なんてエリオの心情、グロードンとの出会い、叔母のオルガとの関係性などなどギュッと詰め込まれており、曲との親和性も感じられたりで何よりでした。
大スクリーンで聴くバンプは沁みる〜。
やっぱいつになっても宇宙に夢を見るのは楽しいもんです。
少しでもヒットに繋がってくれればなと思います。
鑑賞日 7/10
鑑賞時間 19:00〜20:40
鑑賞方法 先行試写会にて
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