「私もこの星でがんばってみるよ」星つなぎのエリオ AZUさんの映画レビュー(感想・評価)
私もこの星でがんばってみるよ
11歳の少年が、もう一度この地球で頑張ってみると、空ではなく、目の前を見つめて踏み出せるようになるまでの話。
自分は周りと馴染めない、邪魔な存在だと思っている主人公エリオが、地球ではない違う星に行きたいと、そればかりを願うようになってしまう過程が切ない。
子供は思っている以上に大人の言葉を聞いているし、その意味を理解している。つくづく何気ない発言も気をつけないといけないと思った。
でもこういう、誰かの何気ない一言で傷ついたり、ネガティブになったりすることは、誰にでも経験があると思う。周りの目が気になって、周りは敵だと決めつけて、どんどん殻に閉じこもる。
けれど世界は広い。宇宙なんてもっと広い。
エリオのように、気の合わない人や環境に孤独を感じ”逃げる”という選択肢で、自分自身を守ろうとすることは悪いこととは思わない。
けれど逃げる前に1歩勇気を出してお互いの心の内を話したり、違うコミュニティに飛び込むことで、分かり合えたり、仲間ができたりすることも大いにある。
エリオがグロードンと出会えたように、きっと一人一人にそういう存在はいるんだと思う。
吹き替えで見る際の不安要素、俳優や芸人さんが多いので下手だったら嫌だなという不安は杞憂だった。みなさん上手だった。
特に吹替で良かったのが、松山ケンイチさん!第一声を聞いた時は、思わずえ、本当に松ケン!?と疑ってしまった。
そして、グロードンの吹替をした、ドラマ『ライオンの隠れ家』でライオン役をした佐藤大空くんもすごく良かった!とにかくひたすらに可愛い。キャラクターのビジュアルは決して可愛くないのに、放たれる舌ったらずな話し方にメロメロだった。6歳であれができるのすごすぎる。グロードンの無邪気な性格と相まってハマりまくっていた。
孤独を感じる人にそっと寄り添ってくれる、優しくあたたかな作品でした。