「キャラクターが好きになれない」星つなぎのエリオ キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)
キャラクターが好きになれない
信頼のピクサー作品。
予告編もかなり前から観てて、宇宙がテーマなんて男の子の心がくすぐられちゃうじゃないの。
ということで劇場にLet's Go。
同時上映の短編もなく、20分以上のCMを耐えて本編スタート。
ふむ。
ふむふむ。
ふん。
…ふむ。
これはどうなんだろう。
端的にいうと「面白くない」。
まず、キャラクターに全然感情移入できない。
それぞれの登場人物に関して、経緯や根拠が示されないまま感情が変化していく。
「○○だったらこう思うはず」という一般論が説明なしに行動の前提になっているので、起きることが全部「はい、当然こうなりますよね?」という押し付けに感じられてしまう。
「コミュニバース」のキャラクター達も宇宙の叡知を集めて…みたいな感じだったけど、みんな無責任だし、とても頭が良いとは思えなかった。
吹替版だと、冒頭に野口さんのナレーションで「(他の星との関係がないから)地球は孤独」みたいな植え付けがあって、それがラストに回収されるんだけど、いや、地球の人は地球上でのコミュニケーションしか視野にないから、そもそも孤独だと思ってないし、世界の仲間が助けてくれるクダリ(これもどういう理屈でデブリを避ける指示を出してるんだか…)を見せられて「ボクたち孤独じゃないんだね!」って言われても、それはそうてしょ。
こういう、解釈の押し付けがすごく多かった印象。
敵役のキャラクターも、最後に鎧を脱いだら実はやっぱりイモムシタイプで心も優しいってのも…どうなの?
そこまで敵味方構わず散々パワハラかましておいて、実は息子には…って、これっていい話なのかな。
どのキャラクターを最後まで好きになれなかった。
特に主人公。
「悲しい境遇である」ということが、いろいろな身勝手の免罪符みたいに扱われてるし、別に内向的な子では決してないし、自分の判断でいろいろ勝手をやった末に大事になって、急に「ボクって不要なのかな」って不安になるとか、映画のラストもコミュニバースに残れてヤッターってはしゃぐとか。
ずっと短絡的でわがままで、特に成長した風にも見えない。
せめて、最後に地球に戻ることを決めるのは、叔母さんの顔色を見てからじゃなくて、自分の意思でそう決めていたってことでないと、結局場当たり的にうまくやり過ごす子という印象しか残らない。
これが最近苦戦が目立つディズニーの中で、それでもクオリティには絶大な信頼のあるピクサーが放った最新作だと思うと、正直かなりショックだなあ。