次元大介 : インタビュー
玉山鉄二×真木よう子が語る“早撃ち0.3秒の天才ガンマン”が主役の実写映画化 次元大介は「無駄がなくシンプル」
「ルパン三世」シリーズの中でも随一の人気を誇る“早撃ち0.3秒の天才ガンマン”次元大介。クールで哀愁に満ち、冷静で義理堅く、渋くてニヒル、言い尽くせぬダンディズムをまとった男が、令和の時代に“実写”として描かれることになった。
映画「次元大介」(10月13日配信)は、Amazonスタジオと「ルパン三世」をプロデュースし続けてきたトムス・エンタテインメントが“次元大介のスタンドアローン作品”としてオリジナルストーリーを創出している。
長年連れ添って来た愛銃コンバット・マグナムに違和感を感じた次元が、世界一のガンスミス(銃職人)を探して、数年ぶりに日本へ。そこで過去のトラウマで声を出せなくなってしまった少女・オト(真木ことか)を巡る争いに巻き込まれていく……。
次元を演じるのは、2014年の実写映画「ルパン三世」でも同役を演じた玉山鉄二。情報解禁時には「また次元を演じられる!とはしゃぐ自分をいかに押さえつけられるかと頑張っていました。純粋にこの作品の世界観と、アニメ版のルパン三世シリーズとは一味違った大人のエンターテインメントを皆様にお届けできるのが楽しみです」と胸の内を明かしていた。
次元と敵対するのは、真木よう子が演じる伝説の元殺し屋アデル。「今までやったことがない難しい役どころでしたが、こういう役をやってみたかったので、ぜひチャレンジしてみたいなと思いました」と語っており、劇中では次元と双璧をなす凄まじい存在感を放っている。
●次元大介は「無駄なものがなく、不必要なものを排除していった“シンプルな男”」
――映画「ルパン三世」で次元大介役を演じたという経験は、玉山さんの役者人生にどのような影響を及ぼしましたか?
玉山:次元大介は、無駄なものがなく、不必要なものを排除していった“シンプルな男”というイメージがあります。「ルパン三世」の頃の自分は、まだ30代でした。その時に次元を演じ、やがて自分が40代を迎えたことで、無駄なものをそぎ落として、より“シンプルな男”に近づこうとしている。タイミング的に、自分のためになったのではないかなと感じています。
――9年ぶりに次元大介役を演じることになりましたが、OVA「LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標」も鑑賞されたそうですね。鑑賞のきっかけ、作品の感想、そこから“何を得た”のかを教えてください。
玉山:「LUPIN the Third ~峰不二子という女~」をたまたま深夜に見る機会があったんです。(同作は)これまでの「ルパン三世」シリーズとは、少し“におい”が違っていた。大人向けであり、エグみも出して、コミカルな部分も排除されていたんです。そこから「次元大介の墓標」も気になって見てみることにしたんです。
「次元大介の墓標」は、かなり話題にもなりましたよね。「ルパン三世=直球のエンターテインメント」ではなくても、ファンの方々は受け入れてくださる。だからこそ、「次元大介の墓標」のノスタルジーな雰囲気が「次元大介」にも出るといいなと思いました。
●オリジナルキャラクター・アデル 役を構築するうえで考えたことは?
――真木さんは、次元の敵・元殺し屋のアデル役としての参加となりました。
真木:「ルパン三世」は、子どもの頃にアニメを観ていたという程度なのですが、アデルはオリジナルのキャラクター。いろいろ遊べる部分もあるかなと思っていたので、とても楽しみにしていた役柄でした。
――アデルは、国籍・年齢不詳、片足と声を失っており、哀しい過去を持っている……というミステリアスなキャラクターです。役を構築する上で考えたこと、感じたことを教えてください。
真木:アデルには悲惨な過去がありますが……大人を許せなかったんでしょうね。だからこそ、あんな風に妙に賢くなってしまい、さらには子どもを利用するようになった。けれども、出会ったオトに対して、自身の幼少期と重なり合うところを見出したんです。そのことによって、それまでは止まっていた心臓が少しだけ動き出したのではないかと考えていました。
――玉山さんは、真木さんが演じたアデルについてどう思いましたか?
玉山:アデルの“得体の知れなさ”というものが大きければ大きいほど、次元から見た際には“偉大なボス”というイメージが強まっていく。次元のキャラクターを存分に引き立てていただいたと思っています。
――真木さんは、玉山さんが演じた次元をどう見ていましたか?
真木:普通に考えて、煙草をくわえながら演技し続けるのは大変だろうなと……(笑)。
玉山:(笑)
真木:でも、煙草を吸っていてこその次元だと思います。
●次元の感情が揺らぐ「“スタンドアローン作品”だからこそ出来ている部分」
――次元大介を演じるにあたり、その他にこだわった点はありますか?
玉山:ベースは“無駄がなくシンプルな男”というイメージですが、そんななかにも男らしさや揺るがないもの、哲学があります。銃の扱い方やしまい方に関しては、所作がスマートに見えるようには意識していました。
――クールな次元が“感情をあらわにする”という姿が印象に残っています。
玉山:これは“スタンドアローン作品”だからこそ出来ている部分ですよね。ルパン三世シリーズにおいて、他のキャラクターがいるなかであのようなことをやってしまうと、少し違和感が生まれるはず。反対に、本作のような単独作品において、ルパン三世シリーズのような“感情が揺らがない”というテイストを貫いてしまうと、鑑賞する方々がついてこれないと思うんです。この辺のバランスが、今回難しかった部分です。あくまで次元を中心に物語が進んでいきますが、主役のベースがフラットすぎると、視聴者がストーリーにのっかるのが難しくなってしまう。ギリギリのレベルを探りながらやっていた感じがありました。
●“実写化”についての思い
――次元大介を演じる際に気をつけていることはありますか?
玉山:役へのアプローチとして「(実際のキャラに)寄せていこう」と考えることはあまりなかったんです。“実写化”に関しては、無理に(キャラへと)寄せていくと違和感が出てきてしまう。そして、その意識というのは、すぐに見透かされてしまうもの。上辺だけのような感じになってしまうのは、作品のためにはならないと思います。
玉山鉄二が持っている“無駄な部分”をそぎ落としていく……つまり、何かの要素を付け加えていくという感覚はありませんでした。これは、いくつかの実写化作品に参加してきたことで辿り着いたものです。全体を通して“思ったよりもハマっていた”くらいで見られるのがベストです。そこで重要になってくるのが、空気感や些細な所作だと思っています。
――真木さんは“漫画好き”としても知られていますが、玉山さんの“実写化”へのアプローチをどう思いますか?。
真木:私は、基本的に自分が大好きな漫画の実写化は、絶対にしてほしくないタイプなんです。たとえ実写化したとしても、それは別物としてみてしまうかもしれません。でも、玉山さんが演じた次元大介は、本来のキャラクターからかけ離れていないですし、裏切ってもいないんです。(本作には)オリジナルキャラクターが出てきますから、そういう点も含めて、より面白い作品になっていると思っています。