市子のレビュー・感想・評価
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3.6なかなか難役を杉咲花が良かった
戸籍問題にヤングケアラー問題にそんな状態でまともな精神状態では無くなってしまうだろう可哀想過ぎる境遇。。。幸せになりたくも求めてはいけない贖罪的な思い。。。最後はなんだか報われない感じで、救ってあげて下さい😢
傑作というよりは問題作、杉咲花に脱帽
タイトル通りです。
技術面で細かく気になる点はあれど、圧巻な作品の内容とそれを見事に演じ切った杉咲花に言葉もありません。
ラストの汗と鼻歌が示す結果と、それでも前に進む彼女の足取りはしばらく頭から離れないでしょう。
自分を生きる
闇を抱えた女性の話である。
福祉が介入しなくてはならない家庭は沢山あるが、これはとてもきつい。
自分の存在が無いことになるなんて。
ケーキ屋を友達と開きたいという話になった時、本当に自由で、自分の人生を生きられると嬉しかったのだろうな。長谷川と出会った時も、プロポーズされた瞬間も。
警察が市子に接触する場面はなかったが、時間の問題か。その後が気になる。
杉咲花ちゃん、ムコ…無辜ゲームの次は無戸籍の話か…などとつまらない事を思いつつ、難しい役どころでしたが演技が素晴らしかった。
若葉さんも、この役がよくあってて良かったと思う。
今日は「天外者」の特別上映も見てきたので、森永悠希君二本立てでした。
杉咲花さんの素のような表情が好き
切ないというよりただただ哀しい。生まれや環境は選べないし、安全圏にいる人間がこうすれば良かったとか、なぜそうしなかったのかなど、外野から口を出すのは容易い。その中で与えられている選択肢があまりにも少なくて過酷で、より現実みがあった。恋人の誠実さに救われていた市子、大雨に打たれて歓喜する市子、そして夢を語る市子の顔が美しかった。だからこそやるせない。杉咲花さんの素のような自然な表情がとても良かったです。
市子と義則の出会いのシーンが一番好きです。何かが始まる予感、互いにピタッとハマるような感覚っていいですよね。
引き込まれたが、ラストがよくわからなかった
けっこうはまりました。
2時間の作品でしたが、丁寧にストーリー展開されていて、観ご耐えありました。
杉咲さんはじめ、素敵なお芝居でした。
もっとこういった秀作を上映してくれる映画館が増えて欲しいと思いました。繰り返し観たい作品でした。
仮定法過去完了
辛くて衝撃的な作品だった。 暗いしスッキリするような話ではないけど...
おちょやん
杉咲花の陰キャ芝居。
ここにはいない
主題歌の無い映画は怖い。落ち込むほど食らってしまう。作品のテイストによるだろうけど、邦画はこうあるべきだと思う。エンドロールに何かある訳でもないのに、誰一人として席を立たない。このたった3分間の暗幕が身震いするほど恐ろしい。「福田村事件」以来初めて、もどかしくやるせない感情が全身を襲った。
テーマとしては昨年度日本アカデミーの作品賞を受賞した「ある男」と似たものを感じるが、それ以外は他のどの作品にも当てはまらない唯一無二の独創性があった。映画を熟知している人が撮ったんだと見て取れる。登場人物に迫るカメラワーク、無機質で静かな演出、そして他人目線で描かれる市子という存在。どれもこれも秀逸。パンフレットによると、大好評により2度も再演した人気舞台が原作で、映画化にあたり黒澤明監督の「羅生門」をベースにして作品を構成したらしく、おかげで非常に厚みのある物語に仕上がっている。とても舞台が原作だとは思えない、小説らしくもあり映画的でもある作品。魔法にかけられたように惹きつけられた。
市子というタイトルでありながら、市子目線で描かれることは決してない。常に第三者目線で市子という人間が語られるため、彼女がどんな気持ちだったのか、何を考えていたのかは全く分からない作りとなっている。当人の目線で描いていれば、他人からは見えない部分が見えてくるため、より一層感情移入し共感出来たりするのだけど、本作ではあえてその手法をとっていない。それがすごく辛い。他人から見た市子はどれも本当の市子ではなく、真の姿は母親ですら知り得ない。当然、観客である我々にも分かるわけもない。だが、1人だけ彼女を知る人間がいる。それは是非とも劇場でご覧頂きたいが、とにかくその人物との関係性が悲しく辛いのだ。
人を理解すること、そして逃げること。失踪事件から始まった市子探しは、いつの間にか市子本人ではなく、市子の気持ちを探す物語へと変貌。サスペンス、ミステリーのような序盤から、胸にグサッと刺さる人間ドラマに持っていく展開の上手さ。時系列を見事にバラし、観客を困惑させながらも作品の渦へと巻き込んでいく。ストーリーから演出まで、映画のあるべき姿を徹底して練り込まれた、杉咲花の代表作とも語られるだろう大傑作。言語化するのは難しいが、少しでも興味を持ったら見て頂きたい。今週、いや、今月のベストムービー。ぜひ。
北くんはどうなったの?
プロポーズした彼女市子が翌日失踪した。 彼女と関わってきた人たちの...
過去に別れを告げる再生物語とその葛藤
プロポーズされた翌日に失踪した市子。恋人は、失踪届けを出し、警察と調べていく内に、市子の戸籍自体がないことがわかる。市子とは誰なのか?というセンタークエスションがこの映画のひとつのテーマ。
市子の小学時代、高校時代、ここ数年間等、過去のフラッシュバックして過去シーンを織りなす中で、次第に「市子」は誰かがわかってくる。難病の妹?(姉?)をもつ過去。さらには父親がわからず、継父と暮らしていた過去。この継父がだらしない酒浸りの男だったらしく。。さらには、高校時代に「市子」が一途に好きだった男子高生が居て。。
込み入った糸がさらに絡み合い、なかなかほぐれないもどかしさも感じながらすすむ。映画終盤になって、次第に頭が整理しようとすると、「市子」は母親が妊娠中に父親が失踪して戸籍がないまま育ったこと、難病の妹の延命医療器具を外したこと、そうしてその妹に成り代わって生きていたこと、さらにはその男子高生と継父を殺害したこと、一人の少女が背負うには重すぎる過去を背負いながらさまよっていた。
それが過去を忘れ、いまを生きようとしてケーキ屋を開店する夢に向かって再生していたとき、好きな男性と暮らして結婚という幸せが怖くなってしまったのだろうか、失踪してしまう。過去を背負いながらも、いまを生きようとする物語ととらえたい。一方で、幸せをいざつかもうとするとそれが怖くなってしまう(=自分は幸せになっていい人間だろうか?)、幸せが怖い、そんなジレンマも感じる、複雑な映画だ。
PS1.
市子は退廃的な感じながら奔放で笑顔も可愛く、そのツボにハマった男を虜にする女の子。いまの恋人も、高校時代の2人の男子高生も。こんな子の背景にこれほどの重い過去とだらしない母、継父の存在があるということか。確かに真面目な父母に恵まれた子はこんな退廃さを身にまとわないだろう。
PS2.
映画館の携帯のマナーモードはバイブレーションはNGです。ほんのときおりでも、ブブーって成る音は微かでも気になります。映画館でいうマナーモードは、飛行機モードか電源を切るという電波を受信しないモードであることを忘れずに!
今日はそんなハズレな観客が近くにいました。どうかハズれを引かないようにって祈りながら、映画始まるまで近隣の観客の動作みてます。ハズれそうなひとはだいたい雰囲気でわかるようになりました。予め注意したいくらいですが、「お客様同士のトラブル」になりかねないのでやめてます。
いったいどちらなんだ⁉️
どうしても『ある男』との違いを考えてしまう。
かなり大雑把に言うと、
①『ある男』は、過去の自分を無かったことにするために別の男の過去ごと手に入れた。
②『市子』は、法律上、無の存在である自分に未来をもたらすために別の女の過去を塗り替えて引き継いだ。
①は不当な手段を用いており、〝違法〟
②はもちろん法律違反であるが、反社会的行為(ここでは暴力団等に限定した意味ではなく社会に不安を招くという広義の意味)である殺人まで犯しているので〝不法〟
たぶん、辞書的には違法と不法とで、それほど明確な相違はないが、敢えて自分なりの感覚で①と②の違いを表すとすれば、そういうことになる。
法律を違える(たがえる)ことと法律を無いものとして否定することはやはり違う。
ある男へは一定の共感性が生じるのに、市子には不運や不幸への憐憫の情は強いものの、共感性は湧かない。
杉咲花さんの鬼気迫る演技に気を取られていると、重いけれどどこか深くまで沁みてくる映画のように勘違いしてしまいそうになるが、冷静に眺めてみるとなんとも不可解で捉えどころがないだけの凡作にも見えてくる。
いったいどちらなんだ⁉️
がっつりミステリーな本作
今ではすっかり死語と化した「親の七光り」という言葉。尤も、芸能界と言われる「業界」にも多くのカテゴリーが存在するし、変に印象をつけられないために芸名を変えたり、プロフィールをぼかして紹介する事務所も多いようです。そして、今作の主演である杉咲花さんも私の世代なら知る人の多いギタリスト木暮"shake"武彦氏の娘さんですが、私自身がそのことを知ったのは彼女が活躍し始めてしばらく経ってのことでした。勿論、それを知ったところで特に印象は変わらないだけの実力とパーソナリティのある女優さんです。子役の頃の活躍こそ知らないものの、最初に目に留まったのはTV CMの「Cook Do(11-17)」、そしてテレ東ドラマ『なぞの転校生(14)』、さらに映画『トイレのピエタ(15)』『湯を沸かすほどの熱い愛(16)』など、タイプの違う役柄を次々とこなし、そのクオリティが高いことから私にとって気にならざるを得ない、存在感の大きい俳優さんの一人です。
いつもの如く「前置き」が長くなっておりすいません。
まだ今年観た映画をきちんと振り返ってはいないのですが、本作における杉咲花さん、おそらく年末年始の賞レースで最優秀賞主演女優賞を多く受賞すると感じさせるだけの名演だと思います。個人的に、彼女の「感情高ぶった演技」が好きなのですが、本作においても「突然の雷雨」のシーンなど最高でした。惜しむらくは、彼女が演じる主人公「市子」はアバンタイトルで失踪、その後しばらくは「過去」を回想するシーンが続くため案外前半は出演シーンが少ないこと。まぁ、それを補って余りある「市子」の想像だにしない人生を知りながら観る杉咲さんの演技に、「それだから…」と説得力を感じさせる表情や雰囲気に唸るものがあります。
それにしても、近頃にしては案外珍しいくらいがっつりミステリーな本作ですが、きちんと現代における「社会問題」をベースにして作られており、ストーリーとして大いに見応えがあります。監督自らが原作した戯曲だそうですが、どれだけ映画としてのオリジナリティがあるのか。舞台と映画における題名の変化は、トータルにおいて「バランス」の変化が影響したのかなど気になります。そして、映画の終わらせ方はそっちで来たか、と思いつつ、エンドクレジットの後ろで聞こえてくるのはもしや「幸せだったあの頃?」と思える家族の声にまたザワッとします。
助演の皆さんも総じて素晴らしいわけですが、特に宇野祥平の配役は大当たりかな、と。と言うのも劇中、宇野さんが演じる後藤刑事は「刑事がそんなことする?」という、物語の展開に大きく影響することをしでかしつつ、その後のフォローもしないという暴挙(笑)なのですが、宇野さんの醸し出す人間味あふれる雰囲気で何となく許せるから不思議です。
とまぁ、ツッコミどころがないわけではないながらも、昨今の邦画に多い「伏線回収」的なギミックで胡麻化さず、堂々たるミステリーとなっており、「人はなぜそれを犯すのか」を考えさせてくれる良作です。観る価値あり。
忘れることが出来ない存在感
はたして市子は悪魔だったのだろうか
お断りしておくが、これは連続殺人の容疑者の市子が行方をくらまして逃亡を続ける話だ。
現に映像は、犯人を追う刑事が、容疑者の関係者といつ会って事情聴取したか、といった捜査メモの記録の体で流れていく。
見方によっては、男心を巧みに操る悪魔が、壮絶な運命に抗い、すべては生き抜くために(映画の広告コピー)、やったことと捉えられてもしかたがない。
ところが、そんな固定観念を見事に覆す、市子演じる杉咲花の快演がそこにはあった。
彼女は守られるべきだ。幸せになってほしい。
若葉と森永扮する恋人たちのフイルターを通して、誰もがそう懇願することになる。
連続殺人の容疑者が、普通の生活を手に入れるラブストーリーと錯覚して画面に釘付けになる。
よく言えばほっておけないタイプ、悪く言えば人たらし。そんな見方も入り込んでくる。
はたして市子は悪魔だったのだろうか。
そんな議論も、杉咲の乾いた熱量の前にあっては、いともたやすく宙に浮く。
市子がどうであろうと、杉咲の魔法にかけられて、ただなすがままにじっとしていよう。
ベストな鑑賞はそれに限る。そう実感した。
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