市子のレビュー・感想・評価
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映画.COM 等での評価が高いので鑑賞しました。
市子は「ただ幸せになりたい」だけなのに、
日本の!"戸籍制度" から、産まれた闇の中で、彼女は生きる為に もがき、苦しむ。
年齢を感じさせない 杉咲花さんの演技力と存在感が素晴らしく
本作は彼女の良さを最大限に引き出せた映画となった。 <主演賞>
撮影、脚本も素晴らしく、鑑賞者を 素直に推理させず、翻弄させる小ワザも多く埋め込んでいる脚本は傑作だ。
その脚本で、映画の最後は「ありがとう」と、結んだ。<脚本賞>
観客に臨場感を与える為に、撮影は ほぼ全部 三脚を使わずにハンド撮影 演出された微妙さは絶妙だった。<撮影賞>
印象的なのは序盤にある"トンネルのシーン"だ。
このカットこそが この映画を投影する 全てだった。
また、学生時の雨のシーンでのことば「みんな、流れてしまえ」と、彼女が口付ざさむ“虹になる曲(題名わからず)”は、彼女の中の深層心理を うまく表現できていると、思います。
この映画を観たら、「ある男(2022)」を観るといいでしょう。
結局は何も話せない自分を観ている
結婚しようとしたら突然失踪する彼女
映画は彼女の過去を追っていく
戸籍のこと、障害者の介護、性暴力
こういうことが存在するにしても、盛り上げすぎるように感じる
主演女優は素晴らしいし、終盤彼女を探し求める男との暮らしに辿り着く構成も納得できる
しかしもどかしさが拭えない
こう生きるしかない今の肯定に、絶望しかないからか
微妙な人間関係
市子の出生の秘密と、彼女の人生に関わってきた人間との微妙な人間関係のうえに生きてきた市子。そうせざるを得ない状況とは言え、彼女の犯した事を認められない部分もあります。全体的には、展開や人物設定などは良かったですが、最後はどうかと思います。市子に最後の展開が何かあっても良かったのでは?
思ったほどでもなかった
考えさせる白夜行?
新作映画選択の参考としている日経新聞電子版のレビュー評価が以外に普通だったが、キャストと内容から期待を持って映画館へ。
本作のストーリーもそうだが、主人公を好きになってくれる人達は登場してくるが、逆に彼女の孤独を感じる作品となっており、人の他者との関わりについて考えさせるものになった思う。主人公の過去が行きつ戻りつするので、少し分かりにくいところもあるが(パンフにある年表が確認には便利)、ラストも含め観客に委ねるところもあり、いやミスとも違う味わいが残る。「考えさせる『白夜行』」というところか。細かいツッコミどころはあるだろうが、主人公には、どこかで焼きそばと味噌汁を味わっていて欲しいと思わせる作品でした。
悪魔のような女?
「長谷川さんこれ誰なんですか?」「市子です。」「そりゃどうも。存在せえへんのですよ。」
訳あって、なりすます物語。最近だと「ある男」とかと同類の物語。共通するのは、なりすました人間が悲しいサガを抱えていること。自分自身では抗えない人生を生きてきたこと。そして、そんななかでも幸いなのは、わずかでも味方になってくれる人間がいたこと。そして、残念なことに、なりすました人間は結局幸せをつかむことができないこと。
「みそ汁の匂い。幸せそうな匂い。憧れの匂い。」
「うちな、花火好き。」
「嫌いな人おらんで。」
「でもな、みんなが上見てるとき、うち安心すんねん。」
「最高や。全部流れてしまえ。」
なりすましと分かったうえで頭から見ていれば、市子のひとつひとつのセリフが全部フラグになっている。初めから人生を諦めてる市子のテンションは終始低く、ときに夢を見る気持ちが芽生えたときに見せる笑顔が反動で切なく見える。その絶妙な熱量を杉咲花が好演している。長谷川役の若葉竜也もよい。二人ツーショットの写真が飾られている本棚には、サニーデイのCD。そのセンスがまた、いい。
ただ、北君と自殺志願(?)の女はなぜああいうことに?市子がそうしたのか?もしくは、市子を守るために二人がその行為を選んだのか?それによっては市子に対するこちらの気持ちはずいぶんと変わってくるな。
ふと思う。世の中、これだけの人が生きている。例えば年間自殺者の数はかつては3万人といわれた(近年は若干減少したようだが)。そこに意識が行きそうだが、じつは失踪者の数においては8万人ちかい。その8万人がすべて自分の意思で消えたわけではないだろう。何人か、いや何割かはこれと似た状況での失踪(市子だけでなく、北君や自殺志願者含めて)であると思えなくもないな。
23-145
自分としては生きられない
時系列が行き来する中で、“市子”という存在が朧気に象られる。
市子は何故、プロポーズの翌日に姿を消したのか。
長谷川ならすべてを話しても一緒にいてくれたように思うが、そこまで信じられなかったのか。
あるいは、無戸籍による負担や過去の罪を背負わせたくなかったのか。
本作は、市子の“外”からしか描かれないため、彼女の真意は分からない。
キキの元を去ったことや、北のところに身を寄せることになった経緯など空白も多い。
それにしても、相変わらずこういう映画に出てくる男は漏れなくクズですね。
宗介は逃げずに受け止めろ、北は押し付けがましい。
逆だったら、ヒーロー気取りの北は受け止めただろうし、チキンの宗介ならストーカー化しなかったと思うと皮肉。
月子と小泉の件は同情も擁護もするが、最後の(冬子はまだしも)北のことはサスガに非難したい。
そこまで追い詰められ、タガが外れたのか。
高校卒業後から“市子”を名乗り続けていた彼女が、自分として生きるのを諦めたことも辛い。
聴き込みに同行させるなど有り得ないので、市子を追うのは刑事だけでよかったとは思う。
あるいは長谷川の職業を記者にするとか。
他にもツッコミどころはあるが、杉咲花の圧巻の演技がある程度相殺してくれた。
最初に逃げ出す時、荷物は先に落とせばええやん…とか言ってはダメですかね。笑
市子の子役が、見た目も声もミニ前田敦子に見えた。
戯曲を映画化 演劇を見たかった…
きっと明日はいい天気
NHKの朝ドラ「おちょやん」で主演を務めた杉咲花が主演ということでしたが、個人的に彼女は初見。それで驚いたのですが、演技が抜群で、彼女が演じた「川辺市子」という人物が、本当に実在の人物のように感じられました。
内容的には、いずれも昨年公開された「さがす」や「ある男」と同じ系統と言えば同じ系統で、突然失踪した家族(本作の場合は同棲相手だけど)の行方を捜す物語であり、戸籍制度のエアポケットに関わる物語でした。本作では、父親のDVから逃れてようやく離婚した母親がその後市子を出産したものの、民法の規定のために出生届を出せなかったが故に無戸籍になってしまい、結果的に公的公的医療保険は勿論、「市子」としては学校にすら行けないなど、一切の基本的人権がない状況のまま大人になって行くという痛ましい物語を突き付けられるというとても重たいお話でした。
そんな痛ましい状況下で生きる市子ですが、生きて行くために文字通り何でもして来たことが描かれています。生まれは1987年、本作の舞台は2015年だったので、齢28歳の女性な訳ですが、この間辿った彼女の数奇な運命は、想像を絶する苦難の連続。そんな彼女の半生に、リアリティというか立体性を持たせ、物語を重層的なものにした戸田監督に拍手を送るとともに、繰り返しになりますが、市子に魂を吹き込んだ杉咲花の演技には最大の賛辞を送りたいと思います。
因みに本作のテーマとなる「戸籍制度」ですが、世界的に見渡すと日本以外では中国と台湾にしかないそうです。以前は韓国にもあったようですが、男系血統中心の家父長的家族制度を土台にしている戸籍制度は、男女同権などに反するということで最高裁で違憲と判断され、2008年に廃止されたそうです。
ただ本作の魅力と言うか、いいところ(奥ゆかしいところ?)は、世界的にも稀で、韓国同様に明治以来の家父長制に端を発する戸籍制度に対して、「断固反対!廃止せよ!」というメッセージを声高に主張している訳ではないところでした。むしろ、戸籍制度からこぼれ落ちてしまった人に光を当て、そうした人を社会として如何に包摂していくかということを考えさせてくれる優しい視点こそが、本作の肝だったように感じました。
本作の中盤で、市子が戸籍を作りたいと支援者に相談したことが語られます。制度的にも「就籍」という手続きをすることで、戸籍を作ることが出来るとのことですが、そのためには指紋採取や親の認知証明が必要と分かった市子は、支援者の前から姿を消してしまったそうです。支援者の話では、こうしたことを伝えると、半数の人は就籍を諦めてしまうとのこと。勿論戸籍を作るという事の重要性を考えれば、一定の審査や手続きが必要なのは充分に理解できますが、そのハードルが高いと感じて戸籍取得を諦めてしまう人を放置しておいていいのかという議論もあって然るべきでしょう。
なお、法務省が把握している無戸籍者は3千人余りということですが、「無戸籍の日本人(井戸まさえ著)」 という本によれば、実際は1万人以上いるようです。その原因としては、本作でも問題になった民法772条2項の「法的離婚後300日以内に生まれた子どもは前夫の子と推定される」という規定にある場合が多いとのこと。本作のように、DV夫と離婚した後でも、300日以内に生まれてしまった場合は、DV夫の子として出生届を出さなければいけないことが障害となり、結果として無戸籍になってしまうケースが多いようです。
話を物語に戻すと、本作は殆ど音楽が掛からない作品でしたが、唯一市子が口ずさむ「にじ」という曲が印象的でした。何処かで聞いたことがあるようなないような曲でしたが、子供向けに作られた曲のようで、以下のサビの歌詞が繰り返されるものでした。市子はメロディーを口ずさむだけで、この歌詞自体は本作で登場しないのですが、これを読むとまさに市子の気持ちを代弁した歌詞であり、結構泣けるものでした。これを敢えて表に出さず、メロディーだけ口ずさむシナリオにしたところも、実に奥ゆかしくて素晴らしい創りでした。
「にじが にじが 空に向かって
君の 君の 気分も晴れて
きっと明日はいい天気 きっと明日はいい天気」
またパンフレットを読むと、戸田監督は黒澤明監督の「羅生門」を参考にしたとのこと。確かに市子の子供の頃からの友人や同僚などの証言をオムニバス形式にして市子の行方を捜していく流れは、まさに「羅生門」形式。ただ論理的整合性の観点から、誰かが嘘を言っていることになる「羅生門」と違って、一見矛盾することも実は全て整合しているというのが本作の特徴であり、名作に触発されて自分流を築き上げた本作の構成は、中々見事だったと感じました。
そんな訳で、本作の評価は★5とします。
市子の明日に幸あれ!
かなり複雑・・・
極めて高レベルの問題作
思ったほど、映画に引き込まれなかった😞
後半ジワジワくる
難しい話をうまく描けている。
難しい役をすばらしい演技をしている。
私はハッピーエンドだと思った。
なぜなら自分の境遇の中で多少なりとも幸せがあり、若い(綺麗なうちに)複数の男性に愛されて散っていったから。
年老いて誰からも相手されず迷惑がられて居なくなるほうが悲惨だと思う。
難点は、不幸が重なるレアな境遇が共感できないこと、髪の毛ボサボサで幸薄そうな市子が男性に執着される(モテる)ところが理解できないところ、プロポーズされたときに「私、戸籍が無いから結婚できへんねん。内縁の妻でええやろ?」で済む話しをなぜ失踪するかなぁ。
市子
存在のない人生
三年間の同棲生活を経て、義則は恋人の市子にプロポーズをする。
彼の差し出した婚姻届に思わず感極まって涙を流す市子。
しかしその翌日、市子は義則の前から姿を消した。
義則は刑事の後藤から市子という人物など存在しないと衝撃の事実を告げられる。
そして市子は山中で発見された白骨死体と何らかの関わりがあるのではないかと示唆される。
物語は市子の小学生時代に遡り、やがて様々な人間の証言を通して謎に包まれた彼女の人物像が浮かび上がってくる。
市子の境遇が明らかになるにつれて、彼女が背負わされた人生の重荷が観ているこちら側にもずしりとのしかかってくるようだ。
まず彼女が背負わされた重荷は彼女自身にはどうすることも出来ない。
複雑な事情から市子は、難病で寝たきりの妹の月子として生きることを余儀なくされる。
幼くして彼女は偽りの人生を歩まされてしまったのだ。
彼女の母親は男関係にもだらしがなく、市子は家庭でも辛い思いをさせられてきた。
そんな彼女が二つの大きな罪を犯してしまうのだが、人生を捻じ曲げられた彼女に他に選択肢はあったのだろうかと思わず考えさせられてしまった。
幸せを望むことも、夢を見ることも憚られるような壮絶な彼女の人生に胸が痛くなる。
そんな彼女を助けたいと願った男が二人いる。
まずは彼女にプロポーズをした義則、そして彼女の罪を消そうとした秀和だ。
しかし彼らの市子を助けたいという想いは本当に市子のためになっているのだろうか。
ただの彼らのエゴなのではないか。
その答えは物語が進むに連れてはっきりしてきたように思う。
彼女の罪を受け入れ、彼女を守りたいと願った秀和。
一方で義則はほとんど彼女の過去を知らずに生きてきた。
最初は秀和の想いの方が強いと思ったが、彼はずっと市子に見返りを求めていたように思う。
だから市子は共に罪を背負った彼の側を離れてしまったのだろう。
一方、義則は純粋に彼女を助けたいという想いだけで彼女の人生を追いかける旅に出る。
市子が彼の側を離れたのは、真実が明らかになることで二人の幸せが壊れることを恐れたからだろう。
市子に重荷を背負わせた母親のなつみが全ての元凶なのだが、彼女の人生もまた幸せからは程遠かったことが分かり、とてもやるせない気持ちになった。
なつみが市子を助けたいと船に乗り込む義則に頭を下げる場面がとても印象的だった。
この映画は観る者に想像する余地は与えるが、最後に明確な答えを出さない。
果たして市子と義則の人生が再び交わることはあるのだろうか。
二人が初めて出会う祭りの夜店の場面が微笑ましいだけに、悲しい余韻が残る作品だった。
全392件中、301~320件目を表示