「半端な余韻が尾を引く」悪は存在しない トロル261さんの映画レビュー(感想・評価)
半端な余韻が尾を引く
個人的に余り好きになれない作品が多い濱口作品ですが、、、
やはり映画好きとしては押さえておきたい映画として鑑賞しました。
観終わった率直な感想は、「中途半端で投げ出された感が凄い」です。
始まりは、ヒーリング映画っか、ってほど映像と音楽をゆっくり、ひたすら自然鑑賞させる展開。
ようやくグランピング開発の地元説明会で、目が覚めたように話が緊張感を持って動いていく!
ところが、前後脈絡も無く?突然の、娘と鹿との対峙及び気絶?死?、それを見て、巧がハッと表情を変えて、先程まで良い関係になりつつあった高橋への首絞め。
驚きと共にこれから、ストーリーがいかに進むのか、固唾を飲んで観ていると、何と、スタッフロールが流れて呆気なく終了。
その突然の終わり方。何か問題提起だけして、解決策や対処を途中で投げ捨てた感を強く感じた。
そう言えば、主人公の巧も地元出身者ではなく移住者で、どこそとなく都会よりと嘯く、そして、グランピング施設に対しても立ち位置が中途半端な印象にみえた。全体的に俯瞰して観ている。主人公も作風も傍観者のような、どこまでも中途半端、ニュートラル、受け身な作品。
さすがに、こんな説明も付かないラストを見せられたら色々考えた。例えば、鹿が怪我をして手負状態となり、罪の無い娘に襲い掛かり怪我をする→それを観て、グランピング施設ができた将来の姿の暗示と受け、その将来を阻止する為に首をしめたのか?とか。
巧と娘の花は、鹿の化身で、グランピング施設なんかやっぱり駄目だとか?笑笑。うーんメルヘン!
どう考えても、わからない映画でまぁ、消化不良な印象をひたすら尾を引きずる映画でした。
余韻が残る映画は、大好きですが、この映画で受ける余韻は、少し嫌な感じで困りました。この感じ方は、濱口監督の狙いなのかな?だとすると、やはり、濱口作品は相性が悪いです。