「わんわん忠臣蔵」DOGMAN ドッグマン 梨剥く侍さんの映画レビュー(感想・評価)
わんわん忠臣蔵
クリックして本文を読む
何のかんの言ってもリュック・ベッソンは気になる監督だ。かつて「サブウェイ」の冒頭いきなりのカーチェイス、さらに列車が地下に突入するタイミングでタイトル、というカッコよさに心をつかまれて以来ということになる。
ベッソン監督に私が期待するのは、スタイリッシュで切れのいい映像とクールなアクション。前作の「ANNA」は久々に溜飲の下がる思いだった。そこへ行くと、今回は全体が精神分析医と接見中の回想というカギカッコでくくられているので、アクションがリアルタイムで躍動せず、弁証的に進行していく。ファンは(わがままではあるが)とかくスタイルの継続を求めてしまうのだ。
アナの出自も底辺の境遇だったが、この主人公はそれに輪をかけて悲惨な生い立ちだ。この部分が実話からヒントを得たというから、暗然とする。映画は時に様々な現実から題材を得て構想されるが、実際に虐げられた人々のことを思うと、深い淵に沈みこむような気持ちになる。人間はどこまで残酷になれるのだろうか(ウクライナやガザで今起きていることも然り)。
精神分析医のDV夫のエピソードは、後半で犬を使って制裁を加える展開を予想していたのだが、そこは肩透かしだった。
“IN THE NAME OF GOD”のからくりには、やられた!と思った。
コメントする