「めちゃくちゃ良かった」DOGMAN ドッグマン 稲浦悠馬 いなうらゆうまさんの映画レビュー(感想・評価)
めちゃくちゃ良かった
とにかく良かった。映画館まで観に行って良かった。
# バイオレンス映画の皮をかぶったヒューマンドラマ
この映画のビジュアルを見たら、絶対バイオレンス力血しぶき系だと思うだろう。
だから僕も敬遠していた。だか観てみると違った。良い意味で。
主人公が初登場した時は絶対にこいつはやばいやつだと思わされるのだが、バックグラウンドを知っていくとむしろ好感さえ抱くようになる。
珍しいタイプの逆転の仕掛けだ。もちろん監督は狙ってやっているだろう。こんな逆張りっていいね。
# PG12
PG12なのに暴力的表現はほとんどなかった。全年齢対応なんじゃないかと思えるぐらいだった。
同じPG12の映画でも目を覆いたくなるような残酷な作品もあるし、この映画みたいにどこがPG12か分からないような作品もある。同じPG12でも表現の振れ幅は幅はかなり広いようだ。
# 逮捕勾留
女装をした血まみれの男が逮捕されており、尋問を受けるシーンから物語は始まる。
絶対こいつはやばいやつだと思わざるを得ない。
尋問官的な女性と彼の独白で話は進んで行く。そして意外な彼の生い立ち、人間性が明らかになって行くのだ。
# DOGMANとは?
GOD NAMEのEを消して文字を逆にするとDOG MAN になるだろう。そういうことだ!
彼は無数の犬たちを操れる。それでギャングを襲撃したりさえする。101匹わんちゃんだろうか。
# エディットピアフ
劇中にエディットピアフの曲が登場する。
この映画を観てエディットピアフは素晴らしい歌手だったんだと再認識した。
主人公がエディットピアフを歌うシーンでは往年の彼女の録音が使われている。しかしなぜ口パクなのだろう。そこが残念だ。これが再録再演ならもっと感動的な良いシーンになっだろうに。
もしくは劇中でも口パクがされている設定だったのだろうか。それにしては観客たちは異様に感動しているし腑に落ちない。
# 常秀
ジョジョの奇妙な冒険の常秀みたいな髪型の兄が出てくる。
# 生と死
生と死は本作品とテーマのひとつだと思う。
僕も映画館で映画を観ながらたまに思う。「こうして映画を観ている瞬間も、取り戻せない人生の一瞬であり、人はいつか死ぬ」的なことを考えてしまう。
できれば永遠に生きて無限に映画を観ながら過ごしたいものだけれど。神はそれを許してはくれない。
ダグラスに“共鳴”してくれたのは、母親以外では、サルマとキャバレーのみんな、それとエブリン医師だけだった。孤独だけど、他人に憎しみや恨みを無軌道にぶつけたりはしない彼には魅力が有りましたね。