オッペンハイマーのレビュー・感想・評価
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❇️『⚠️5時間以上鑑賞に要す‼️』 ★彡調べて2時間追加
オッペンハイマー
1939年 🇺🇸ロスアラモス 第二次世界大戦〜
❇️『⚠️5時間以上鑑賞に要す‼️』
★彡人の特徴や歴史を調べるのに2時間以上使いました😅
🔵かーるくあらすじ。
理論物理学などで天才的な発見をしたオッペンハイマー。研究者から政治に携わり、マンハッタン計画(核爆弾開発)の化学部門リーダーとなる。大学助教授〜冷戦辺りの成功と功績、苦悩を描いている。
◉74点。
★彡勉強になった。
あまりオッペンさんに感情移入できなかったのは何故だろうか?しらんけど🙃
🟢感想。
1️⃣🔺『とんでもない登場人物の数に難義!』
★彡前半30分で20人近くの名前が出てきて照合するのに何度もネット検索をする事に‼️😱
2️⃣📝『登場人物をネットで調べていくと楽しい』★彡とにかく時間がかかるがなんとなく観るよりはちゃんと楽しめました。
3️⃣⭕️『白黒とカラーの対比』
★彡オッペン目線とストローズ目線で色分けあってわかりやすい。羅生門アレンジ?
4️⃣⭕️『どの国が核を落としてもおかしくない状況』
★彡結局の所、世界が核開発に目を向けていたのは事実ですね。
5️⃣🤔『ヒトラーがもう少し頑張れば?』
★彡日本には核爆弾は落ちなかったのかとも思えた。
💥💨🏘️🏗️🏞️🌌⚖️🚬💣📝☢️🆚
🌀余談。
ちなみに日本もこの時期、核爆弾を作っていた⁉️★彡映画『太陽の子』で知りました。
日本やソ連、ドイツが落としていた可能性もあったんですね。
『オッペンハイマー』ようやく観た。「原爆についてゼロベースで考えさ...
『オッペンハイマー』ようやく観た。「原爆についてゼロベースで考えさせてくれる良作」というレビューが1番しっくり来た。日本人こそ観るべき作品。
自分はしっかりと予習をしてから観たので、そこまで置いてかれる事なく最後まで観れた。自分が育った環境上、日本人の視点以外からWWⅡや原爆について考える機会が何度かあったのだが、我々が学校やメディアを通じて得た情報や感じた印象は、その事の是非は兎も角、如何に偏っているかが分かる。
事が事なので、感情論に引っ張られて原爆について考えを及ばせる機会が若い世代になるにつれてどんどん少なくなっているように感じる。ただ原爆を広島や長崎に落とした事に対して怒りを向けるのではなく、何故その様な悍ましい行為をせざるを得なかったのか、
時には原爆を落とされた被害者としてではなく、冷静に客観的に
凄まじい真実
この作品そのものが問うている内容は非常にシンプルで根源的なものだが、物語の背景に複雑さを与え、尚且つ原爆というものの開発に対する問題定義をしていることで、非常に難解な物語になっている。
おそらく2度見なければわからないことがたくさんあるが、3時間もある。
冒頭からモノトーンとカラーの映像が入り混じり、その様子も全く違うことから、一つが物語の主軸でもう一つがその後の裁判(聴聞会)となっているのがわかる。
オッペンハイマーがアインシュタインに話したこと、それは「我々が引き起こした」と言葉を途切れさせている。
これはその後に続く新しい戦争の形 核戦争を意味している。
科学者たちが想像した抑止力という概念
それは、原爆の開発が終わったのでロスアラモスの地を原住民に返却すると考えていた。
しかし政府は次期爆弾の開発場所として再利用することを決定する。
これが科学者と政府との考え方の大きな違い。
特に聴聞会でのやり取りはひどいもので、実際の人物であるストローズの人間性には反吐が出るが、これがアメリカ社会の実態であることをこの作品は伝えている。
私的な復讐
そしてほとんどの人間がしている「自分のため」の行動
日本の作品「太陽の子」 アメリカとの開発力の大きさは歴然過ぎるほど違った。
良心の呵責と科学という盲目
太陽の子ではアインシュタインの言葉を用いて、人類はこのまま科学を推進していくというようなことを語っていた。
この作品でアインシュタインは、オッペンハイマーに科学技術の発展を託した。
アインシュタインが最後まで信じなかった量子物理学 「神はサイコロを振らない」
これは光の性質を表す波と粒
さて、
純粋な科学者であったであろうオッペンハイマー
国の命令で開発した原爆
これがあれば水爆など簡単
当初予想した抑止力だったが、「あれば必ず使う」という事実
英雄と悪魔の表裏一体感
私的理由で彼を貶めたストローズ
この彼の策略と原爆開発が交互に流れる。
やがてわかってくる聴聞会の意味
しかし、
ようやく完成した爆弾をトリニティ実験場で成功させた数日に広島に原爆投下がされた驚愕の事実。
トルーマンがどれだけ原爆を使いたかったのかが窺い知れる。
その時脳裏をかすめたのが、この世界すべてが破壊されてしまうのではないかという危惧。
なのにあんなに近くで見守っていて大丈夫なの?
彼が最後のシーンでアインシュタインに言った言葉こそ、アメリカ政府が言うべき言葉なのではないかと思う。
当時からアメリカ政府はそれが正しかったと国民を洗脳した。
憶えているだろうか、広島か長崎の追悼式に参加したオバマ、彼は原爆投下の式典で拍手したのに対しプーチンは十字を切った。
これがアメリカの常識、正義と正当性だった。
しかしこの作品はそれに意義を唱えているように感じた。
科学はもしかしたら世界を破滅に向かわせるものなのかもしれないと。
オッペンハイマーのこの気づきに対するストローズの思惑とは、いったいどれだけ小さいのだろうか。
しかしストローズの言った「彼らは自分のためにやっている」というのもまた真実だ。
これが「いまだけ、金だけ、自分だけ」なのだろう。
オッペンハイマーの妻が受賞席で聴聞会で裏切ったあの男に唾を吐きかけなかったのは、「価値がない」からだろう。
このほとんどがノンフィクションということだが、監督は非常によくまとめたと思う。
確かに価値基準は時代によって変化し、正邪についても同じかもしれない。
しかし、「それ」はいったい何だったのかということをもう一度問うというのは非常に大切なことかもしれない。
この作品がアメリカから出たということが素晴らしかった。
是非オバマ君にも見てもらいたい。
クリストファーノーランね
テネットとかの人ね、
時間軸をあっちこっちさせたいのね
もう途中で誰が誰かわからないからWikipediaとかで調べながら観てしまった。
核兵器ないし兵器は
世界を滅亡させるっていうメッセージは十分に感じられたからまぁこれは過去の起きてしまった原爆がどうしたとかの映画ではなくて、未来に向けての映画だなと
伝記というか
(オッペンハイマーがむしろかわいそう?このための題材になっただけで、戦争に関わった名の知れた人なら誰でも良かった感がある。インパクトが強い人が題材になっただけ?
アホな支配層の思惑に、保身のためだけの人間に、その時の愚かな行動や思想に、流されただけの人間に、人類はいつでも滅亡する危機にあるっていう警告映画なのかなと思った
エロ要素なければいいのに、
でもこんな下の弱いただの一人の人間が人類を滅亡させるかもしれないっていうのを言いたいのかな。
凡人とは違う世界の天才的な人物が何かを起こすんじゃなくて、わたしたちと変わらないただの人がってね。
わからんけども
国を愛する心が野心に変わるとき人は何を思うのだろうか・・・
地球を覆う無数のキノコ雲。地球の表面が真っ赤に染まっていく。映画の冒頭と終焉で出現するこの映像に人類はボタンを一押しするだけで人類を死滅させうる機械装置を作ってしまったことを実感させられてしまう。科学者だけに限ることはないが存在否認され続けると認めてくれぬ相手を殺したくなってしまう。能力評価が曖昧な狭い世界では起こるべくして起こる現象なのだ。そして、量子力学というまだ未開とされている分野が戦争によって過大に評価されることになってしまった。科学技術の進歩は人間にとって両刃の刃。幸せにもするし不幸にもする。科学者は人間はどこまで賢くなれるかを追求し、政治家は人間はどこまで愚かになれるのかを見極めなくてはならない。アメリカは若い国。とてつもなくバランスが悪いのだ。若すぎるからといってなにをしても良いと言うわけではない。しかしあまりにも幼すぎたようだ。オッペンハイマーは苦悩するわけではなく自ら作り出したこの機械装置をコントロールする術を明快に理解しそれを実行に移そうと苦闘する姿勢を貫こうとしていただけなのだろう。その意思を受け継ぐ者はアメリカという国に存在しうるのだろうか。
僕たちは尋常でない時代を生きている。
そんなにことを痛感させられてしまった。
ドキュメンタリーのほうが役に立つ
正直 展開が早くて人物像にも追いついていけない有り様。
耳で吹替 目で字幕を追ってみても何が言いたかったのか ようわからん。
深く考えず、流れのまま 上っ面だけ鑑賞するぶんにはいいのかも。
しかし 何を 誰が どう描こうが 日本国を物のように扱うのは いたたまれない。
そんな作品。
良作は口に苦し。
SEXシーンの必要性
超駄作でした。星ゼロです。
ロスアラモスに原爆製造の為の街を作ったり、科学者を集めたりする迄に、延々と50分掛かります。
それまでは共産党の党集会とか、SEXシーンとか、真面目に原爆目的で見ている大半の視聴者にとって、どうでも良いであろう無駄なシーンや極めてつまらない内容が続きます。
グダグダ長いだけならまだしも、本作ではノーランの欠点が全開になっており、3つの時間軸が超断片的にごちゃ混ぜで進行するので、見るに耐えないレベルの自己満足的編集の酷さに見ていてストレスが溜まります。
更に、その3つの時間軸の描き分けが下手で、どの時間軸でも役者の見た目がほぼ同じで老けメイクの質が低く、白髪位しか差が無いので、白黒/カラー映像と毛髪の色しか差が無く、シーンの切替の度にどの時代に飛んだのか、一瞬どれがどれか分かり辛くて混乱してきます。
アイソトープとかの用語も説明無しで当たり前に出て来る為、ある程度、関連用語やオッペンハイマーの生涯を知った上で見ないと意味が分からない可能性が高いです。
女性をヌードにする必要性の無い映画でわざわざSEXシーンを入れている時点で、監督にとって被爆した側の気持ちなど理解したり寄り添ったりする気はさらさら無く、所詮、原爆が結果的により多くの命をを救ったという、いつもの自国正当化プロパガンダ兼娯楽映画だなという悪い印象しかありません。
衝撃の瞬間とかのドキュメンタリーの方が、遥かに分かり易く公平に原爆製造の歴史を描いていて、短時間でなお且つ内容が濃いです。
物語の軸
1954年、原爆の父オッペンハイマーは、共産主義者と疑われる。理論物理学で若くして著名な研究者となった彼は、ナチスドイツより先に原爆を開発するためのリーダーに抜擢される。ドイツ降伏後も開発は続行され、ついに完成した原爆は日本に二度投下される。
日本での公開に、物議が醸し出され遅れて公開されました。確かに、広島長崎の地獄の描写が無いことに違和感があります。そして原爆開発後にひどく苦悩する姿が、物語のクライマックスや主軸になるのかと思いました。しかしそれは、戦後に彼は共産主義者かどうか、という聴聞会の様子でした。日本人からの視点では、つまらないと言えるかもしれません。
ところで、物語は時系列が前後して把握するのがちょっと大変。共産よりのところもある女たらしのオッペンハイマーは、アインシュタインら先人が持っていた慧眼を持っていなかったということか。
出演陣が豪華で、しかも誰だかわからないそうだったのかという人も。
量子力学をずっと描いてきての集大成。
ようやく…
AmazonPrimeで吹替版で観れました!
12月28日から観れるとワクワクしてたら、英語字幕のみという展開から…スピード対応で、先日ようやく鑑賞しました。
まず、家でゆっくり観れて良かった。
そして…
賛否両論で、なんだか不安な感じでの鑑賞スタート。
『インセプション』『インターステラー』『テネット』と『バットマン』とSF作品が多かった大好きなノーラン監督。
ここにきて、伝記??という不安。
『ダンケルク』もあるので…
史実でも大丈夫だと思いながら
挑む気持ちでした。
広島にも長く住んでたので
『核兵器』への思いもそれなりにある方ではあるんですが…
まず…感想として
クリストファーノーランの集大成な作品だと思いました。
ノーラン監督は、ずっーーと
『量子力学』について描いてきたんではないかと思います。
どの映画にも根底には量子のもつれのようなものが感じられ。
テネットでの量子力学の語り口などから、集大成かと思いきや
この角度で、オッペンハイマーという人物を解体して再構築するという、映画そのものがオッペンハイマーとなるような、凄い映画でした。
ホントに、核融合、核分裂は
間違うと世界を燃やし続けてしまうような事態になってしまう。
そのギリギリを、計算式と実験でここまできてるが…
すでに
あれから、数十年後の今
アインシュタインもオッペンハイマーもいないが
量子力学や、量子のもつれは研究され続けてる。
セルンの量子加速器は稼働してる。
反物質も作られる。
でも…
科学者がたどり着きたいのは、さらにその先の宇宙の仕組み。
そこがわかるからこその
この映画の奥深さは、どれほどのヒトが理解できるのだろう。
まさに、脳がフル稼働する
心地よい脳疲労を感じられる映画だっただけに、アカデミー賞受賞も納得の作品でした。
世界を破壊する
正直映画館で観なくて良かった。
特に原爆実験が行われる前の前半は情報量が多く
スピード感ももの凄く早いので、
一度休憩して見る事にしました。
映画ではあるけど文系と言うより理系の頭がいると
思うのはクリストファーノーランの作品を観ていつも
思う事だけど、今作はその最たるもので
分からない人は置いて行きます感が半端なかった。
正直オッペンハイマーと言う名前もこの映画で知ったくらいで原爆の父が賞賛からどんな晩年を過ごしたかも知らないので、
後半の聴聞シーンなんかは何を見せようとしてれのかも
分からなかった。
ラストのアインシュタインの言葉でなんとなく分かった
のだけど、それでもこの3時間の映画を最後まで集中力を
途切らせずに見せる演出は流石としか言いようがない。
日本人として、いや地球人として原爆投下は断固反対、
どんな理由があったとしても受け入れられる物ではないが、原爆の父でありその主導者だった人物が、人間を大量に殺す兵器として開発したわけではなかった事は安心した。
自分の信じた学問の先に原爆があり、それが人を殺し
その先にはその数1000倍の水爆というものがある
と言うオッペンハイマーの苦しみが分かって観て良かったと思いました。
そして戦後の地球は凄いギリギリのバランスで保ってるのだなとゾッとしました。
「我は死なり、世界の破壊者なり」
監督脚本はクリストファー・ノーラン。
原爆開発者のオッペンハイマーの、フィクションをおり混ぜた伝記映画。
【ストーリー】
1954年。
アメリカを揺るがしたオッペンハイマー事件。
優秀な理論物理学者ロバート・オッペンハイマーによるソ連への情報提供疑惑。
そこで行われた聴聞会を軸に、オッペンハイマーの原爆開発にいたる半生を追う。
ユダヤ人として生まれた彼は、アインシュタインが発表した相対性理論を用いた新型爆弾の開発に、頭抜けたリーダーシップを発揮し、その優れた数学物理学能力すべてを注ぎこむ。
「我は死なり、世界の破壊者なり」
有名なトリニティ実験成功時の、オッペンハイマーが青白い顔でつぶやいたとされる、ヒンドゥー叙事詩『バガヴァッド・ギーター』の一節と言われています。
ヒンドゥー語の原書で読んでたって言語力がまずすごすぎなんですが。
この映画を理解するためには、まずアメリカ核開発事業だった"マンハッタン計画"について、知っておいた方がよいかと思います。
マンハッタン計画は、1942年に発足した、新型爆弾の開発計画です。
アインシュタインが提唱した『相対性理論』は、原子核の質量が膨大なエネルギーに変換される可能性を示唆した、現代科学文明の基礎にもなった非常に重要な理論でした。
「相対性理論を応用すれば、人類の兵器最大の超破壊力を生みだせる」
核兵器とか熱核爆弾とか称される、現在においても最大の破壊力をもつ兵器群であることは、日本人なら誰でも知っているでしょう。
理論実践でドイツがリードしていた核開発を逆転すべく、ルーズベルト大統領が莫大な金を投じて国内の優秀な物理学者を片っぱしから集めて、ニューメキシコ州のロスアラモスってなーんにもない場所に開発関係者タウンを丸ごと建設した、超巨大プロジェクトです。
どれぐらい超巨大かっていうと、最終的な合計金額が、アメリカの年間国家予算を大幅に超えたというから、あぜんとしますね。
集められたメンバーも超豪華で、この作品の主人公となったオッペンハイマーをはじめ、化学準備室の気になるギミックNo. 1・ボーア模型のニールス・ボーア、フェルミ推定のエンリコ・フェルミ、今ぼくらが使っているノイマン型コンピュータのフォン・ノイマン(この方、超天才)、スペースシャトル・チャレンジャー爆発事故の調査にも加わった"ファインマン物理学"のリチャード・ファインマンなどなど、その後のスター科学者がずらりと顔をそろえています。
天才たちの頭脳をフル回転させて遂行された、人類初の核爆発・トリニティ実験が成功、その後ガンバレル型と爆縮型、二つの原爆がわが日本国内の民間人生活地域に投下されたのは、みなさんもご存じのとおりです。
戦後、マンハッタン計画にお金使いすぎたのが発覚して、他のなんやかや逆風もあってトルーマン失脚しかけたとか。
どうにか復活すると、マッカーシーって上院議員の、ウソ大げさ紛らわしい言説で政敵や気に入らない人をアカ認定しては排除する"マッカーシズム"を利用して「赤狩り(レッドパージ)」を推進、オッペンハイマーへの聴聞会に発展するって本編のストーリーにつながります。
その質疑応答からオッペンハイマーの半生をふり返るというストーリー構成。
物理学や量子力学よりも、他の研究者との関係構築を撮ったものなので、特段物理の知識は必要ないかなーと。
「法廷劇が撮りたかった」
というノーランの言葉どおり、オッペンハイマーと原子力委員会の長ルイス・ストローズの対立を軸にストーリーはサスペンスフルに進みます。
クライマックスにさしかかると、耳が痛いほどの音圧をかけてくるノーラン演出に、手に汗握らずにはいられません。
その後科学開発のポジションから失脚したオッペンハイマーと、フーバーの腹心として国務長官にまで上りつめたストローズ、二人の表情は事実やそれ以後の経緯とは真逆の印象です。
自死した元恋人・ジーン・タトロックにまつわる疑惑も、特に根拠があるわけではない模様。
対立役をできるだけダーティに、主人公をなるべく無垢に作るのは、感情移入しやすくするための作劇テクニックでしょう。
原爆被害者の映像が無いことについては、ごく個人的には、核開発に主眼をおいたこの映画には、無用に思えます。
その後核兵器開発は加熱しますが、実際には使われないまま、80年が経ちました。
その80年をどう捉えるかはそれぞれ一家言あると思います。
核に限らず、殺傷兵器に対する議論は今後もつづけられるべきだ、とも。
↓マンハッタン計画こぼれ話↓
さてさて、若手研究者として計画に参加したファインマン、1965年にノーベル物理学賞を受賞。
この方多才で、その後『ご冗談をファインマンさん』などなど科学エッセイ本を発売してはベストセラーにかがやく、物理学者らしからぬ文才を発揮してます。
マンハッタン計画の話も書かれていて、映画では道化役だったファインマン、実生活でも本当にイタズラばっかりする人だったようで、当時の研究仲間たちの書斎のデスクのナンバーキーを、勝手に突破してたそう。
ある夜お酒の席で得意満面、
「あのカギはカンタンに開けられるから変えた方がいい。ぼかぁチミたちのダイヤル番号全部知ってる」
なんてポロッと話しちゃったそうです。
以降同僚たちから
「ファインマンをデスクに近づけるな」
という対策を取られちゃった。
そりゃそうなるよね。
原爆開発については、作中のとおりお互いに話すなっていう指令が出ていたものの、優秀な頭脳集団だから、みんな解ってたそうです。
そりゃそうだよね。
メンツで判るよ。
量子力学と核物理学の専門家多すぎだよね。
原爆の破滅的なイメージには、ファインマンも悩まされていて、車を運転しながら今この瞬間ソ連の核がアメリカに撃ちこまれて、目の前すべてが蒸発して無くなるんじゃないかという幻視で動けなくなったりしてたようです。
軍人や政治家は研究者をナイーブと非難しがち。
でもその威力を正確に理解できるからこそ、自分たちが「世界の破壊者」となってしまう恐怖に怯えるのです。
理解しようよ。
特に政治家のみなさんは、戦争を語る場面においては、兵器の威力についてきちんと勉強してほしいです。
オッペンハイマーに「泣き虫科学者め!」と吐きすてたトルーマンですが、朝鮮戦争のさいには、国連軍司令官となったマッカーサー(日本人におなじみで、マッカーシーじゃないほう)が「核使おうよ。使って敵をやっつけちゃおうよ」と核使用を強硬に推してきたのを却下、解任しています。
水爆の開発も進めてはいますが、公民権運動を推し進めたのもこの人。
そこそこいい政治家なんですよ、内政の面では。赤狩りとかやらかしてますけど。
日本への核投下を許す気持ちにはなりませんが、守備一貫して核使用の決断を正当化しつづけたのは、政治家としては正しいんでしょう。
色々脱線しましたが、科学者を主人公にした伝記としても、法廷を舞台にしたサスペンスとしても、非常によくできた映画です。
日本人として、そして映画ファンとして、みんなに見てもらいたい3時間のフィルムでした。
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