オッペンハイマーのレビュー・感想・評価
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プロメテウスの火
原子爆弾とはウランやプルトニウムなどの原子核が起こす核分裂を使用した核爆弾であり、核分裂と同時に平均2.5個の中性子が飛び出し、連続して核分裂が起こることによって、放出されるエネルギーは巨大なものとなる。
というのが原子爆弾の仕組みの簡単な説明なのだが、この理論だけを聞いても具体的なイメージは沸かない。
が、日本人ならば実際に原爆を経験した者でなくても、様々な資料を通してその悲惨さを十分に承知しているだろう。
理論と実践の間には大きな隔たりがある。
この映画が公開される前に、広島・長崎について全く映像で触れられていないことが話題になっていた。
今回この映画を観て、広島・長崎を映さなかったのは完全に意図的であると感じた。
3時間という大長編であるにも関わらず、この映画は描かないところは徹底して描かない。
オッペンハイマーという人物に関しても深く掘り下げられているとは言えない。
だから観客は彼になかなか共感することが出来ない。
最後まで彼の真意は観客の想像に委ねられたままなのだ。
この映画は実践ではなく、かなり理論的な方向に舵が切られていると感じた。
映画の流れとしてはナチス・ドイツよりも先に原爆を完成させ、世界に平和をもたらすという使命を帯びたオッペンハイマーが、救世主から一転して祖国を裏切ったスパイの容疑をかけられ、再び名誉を取り戻すところまでを描いている。
建前としては世界に平和をもたらすことだが、ドイツやソ連よりも先に原爆を完成させることで主導権を握りたいというのがアメリカの本音だろう。
そしてこれも想像なのだが、オッペンハイマー自身にも自分の才能を世界に知らしめたいという野心があったはずだ。
原爆を投下すれば多くの命が失われることは当然彼の頭にもあったはずなのだが、彼はその先を想像することが出来なかった。
広島・長崎の惨事は映し出されないが、初めての原爆実験の様子はかなり生々しく描かれている。
何度もこの映画の中で爆発を連想させる映像が挿入されるが、このシーンはやはり衝撃が強い。
こんなものを投下すればどれだけ悲惨な結果になるかは明らかだ。
そして原爆は投下され、オッペンハイマーにとっては見ず知らずの大勢の命が失われてしまう。
彼は成功者として、救世主として多くの民衆に称えられる。
しかし演説の場で、誇らしい言葉とは真逆に彼が見ている光景は原爆の光によって焼き尽くされた人々の姿だ。
彼は罪悪感に苦しめられ、一刻も早く手を引くことを考える。
しかし劇中のセリフにもあるように、原爆の投下は第二次世界大戦の終わりであると共に、ソ連との新たな冷戦の始まりでもあった。
アメリカ側は何としてもソ連に勝つために原水爆の研究は続けたい。
しかしオッペンハイマーは公に核軍縮を唱え、反対の立場を取る。
彼はいつしか原子力委員会の委員長であるストロースに告発され、ソ連側のスパイとして断罪される立場になってしまう。
この作品を観て感じたのは個人の力ではどうすることも出来ない大きな流れだ。
オッペンハイマー自身がいくら抗ったとしても、別の適任の人材が現れるだけで時代の流れは止められなかっただろう。
なのでこの映画を観てとても無慈悲な印象を受けた。
彼の真意は分からないが、彼もまた一人の弱い人間だった。
最初はとても繊細な印象を受けたが、彼は自分の知能に絶対的な自信を持っていた。
そこが彼の強さでもあるのだが、絶対的な自信は傲慢にも繋がる。
彼が自身を含めてあまり人を幸せにすることが出来なかったのは、その傲慢さ故なのだろう。
全体の流れは分かるが、時系列が前後したり、視点が細かく切り替わるのでかなり理解するのが難しい作品だと感じた。
と同時に3時間の長編にも関わらず、集中力が途切れないのはこの細かいカメラの切り替わりとシーンの繋ぎ目の絶妙さであり、やはりクリストファー・ノーランの才能は凄まじいと感じた。
プロメテウスの炎
まず、完全には映画を理解できなかった。
映画館の内容で、45年に後悔がなくて、49年から後悔があったとなっていたが、理由が分からなかった。そんな主のレビューです。
映画の表現に関しては、いくつかのカットであまり見たことのない表現方法でうぉおとなった。ただ作品の雰囲気には監督らしさをあまり感じなかった。(監督の作品はすべて見たわけではない)
感想としては最初の1時間弱はなにがなんだかで、映画のリズムが分からず着いていけず、半ばから盛り上がってくる。オッペンハイマーに感情移入は出来なかったけど、次々に変わる展開に目が離せなかった。
内容は、「プロメテウスの炎」。以上。
観る前は原爆がメインテーマだと思ったが、観た後は「科学とは」「科学者とは」がテーマだったのかなと思った。テレビで見た監督さんのインタビューは、原爆に関して興味を持ってもらいたいという感じだったけど。
この映画は、おそらく制作の意図上、原爆に関する配慮をするつもりは一切なく、淡々とオッペンハイマ—が描かれていた。日本で語られている原爆とはまったく異なる視点で描かれていて新鮮だった。監督の意図的なものはない前提で、映画の内容だけを観て振り返ると、プロメテウスの炎の話やオッペンハイマーの語りは、原爆は世界の脅威だから恐ろしくて、人を殺す兵器だからではないように感じて、最初からそのスケールかよと思った。
オッペンハイマーにはなれないし、なりたくないけど、もじ自分がオッペンハイマ―だったら同じ選択を自分もしただろうなと思う。自分の身と身近な人、遠くにいる知らない人を簡単にてんびんにかけて自分にとって良いものを選ぶ。シンプルでシリアスだと思った。原爆に関しては、恐れるだけでは前に進めないと思う。だからといって存在に慣れることによるコントロールでは、限界があるように思う。使わなければいいという簡単な論理が通用しない難しさを感じた。
原爆ではなく、原子力がプロメテウスの炎であってほしい。原爆はあくまで原子力に関する技術の軍事利用であって、原子力の全てではないと信じたい。
背負っている、コントロールしきれているという幻想が脆い人間を強くさせてくれるのかも
しれない。
乱文失礼しました。
オッピーの気持ちを理解したいか?
長崎広島が描かれてないとかいう意見もあるが
私的に一番気になったのは
オッペンハイマー1人の苦悩より
長崎広島で何十万人も亡くなった人や家族の苦悩と比較していないことへの怒りもある
オッペンハイマーがどういう苦しみを抱えたかは長崎生まれの私には知る必要がない映画に思えた
この描き方で3時間は長尺すぎる
徹底してオッペンハイマーの側に立って、というのがノーラン監督の意図だとはわかるが
その心の揺れ動き方があまりにも脆くて見ているととてもツラい
インターステラーを見た時もそう思えた
いちばん近くにいる家族を思い
引いては地球のことを思う、この壮大な思想はノーラン監督は得意としていない、と。
キューブリックのようにもっと答えを委ねる映画にすべきだと思っている
もちろんアカデミーは獲った、
しかしアメリカの賞である
敗戦し原爆を落とされていまだに米軍基地が乱立する日本がこの映画を評価すべきではないのではないか
いろいろと物議を醸したこの映画が「観ること自体」この映画の存在意義だとしたら観ない方が良かったのかもしれないし
アメリカという国のとても上手なプロパガンダなのかもしれない
・キリアンマーフィーの佇まいは素晴らしい
・マットデイモンはなぜここに出たのか?
・常に「音」が気持ちを誘導している俳優の演技や気持ちを見せたいという思いはあるだろうがその音の存在に頼ったノーラン監督の演出意図が納得できなかった
・アインシュタインは自分でアメリカに提言したのになぜあんなことを言うのか、その答えを自分で見つけようとマンハッタン計画に参加しなかったか。
予備知識なく視聴したらしばらくついていけませんでした
原爆がどのような経緯で開発が進んだのか、漠然とした興味があり、この作品は話題作でもあったので観てみようと思い映画館に足を運んだのですが、作品についてのあらすじなどほとんど下調べなく観たものだから、委員会による聴取から入り、3つのストーリーがころころ変わりながら進んでいく話についていけませんでした。
内容については原爆開発の経緯やその決定について、長年誤解していたことが改められてよかったです。
ただし、3時間の尺もあるのに、その戦果の代償として広島長崎の被爆直後の悲惨な状況についてはほとんど触れられていないことが日本人としては不満と言えば不満ですが、政策サイドとしては不要だったんでしょうかねえ?
3時間の長編でしたが、冒頭の展開になじめなかったのですが、どうにかこうにか退屈することもなく観終えることはできましたので4点としました。
観てられん!
【これから観る方へ】
・予備知識あっても理解は難しいです。
・IMAXで無くて良いです。
・コーヒー飲んでても眠くなります。
・音楽で誤魔化してます
・3時間殆どが裁判的な会話
・エンタメ性無くしんどいです。
・映画館のような環境でもない限り観てられないです
色々すっ飛ばし過ぎに思います。
気持ちの話をすると、自分はやっぱり、
オッペンハイマーが後々後悔してようが
広島、長崎の22万人を◯したのは事実で
アメリカ人の反応全部ムカつくわ。
オッペンハイマー、テメェもだ。
ノーラン、あんたも広島、長崎の惨状をちゃんと描けよ。原爆資料館に行ってリアルに伝える勇気を持ってほしい。
「戦争を止めるためだ」
「戦争を止めるためだ」
何回言うねん。
アメリカ人のお前らがやったことは
「罪のない人達を大虐殺した」ってことだ。
正当化すんなクソ野郎ども。
一番恐ろしいのは、人間
アカデミー作品賞を取った作品
皆さんのレビューを見ると、難解で、何度も見なくては理解出来ないので、興業収入にも繋がったとか??
なので、予習、予備知識が必要とかで、レビュー動画を見るも、確かに難解で理解しがたく、今回はパスしようと思ったが…
IMAX 上映されてるとかで、映像と音響が凄いらしく、そちらに興味を持ち、他の映画館なら割引で見れる所、その割引料金の倍の料金で観賞。
いやぁ~、IMAXの迫力にビックリ❗
が、原爆の爆発シーンは、どんだけ凄い爆音と迫力なんだろう?と、歯を食い縛り身構えるが、爆音どころかとても静かで、呼吸の音だけ。
1番の見所なのに?と疑問に思ったが…
以後、多くの方がレビューで説明されてるが…
知って欲しいのは、水爆は原爆の数千倍の威力があり、今でも9ヵ国が所有している事を。
で、見た感想は、一番恐ろしいのは、原爆でも水爆でもなく、人間。
あのオッペンハイマーが追い詰められるシーンは、原爆実験より迫力あるサウンドだった。。
ならば…一番罪深いのは、人間を造った神なのかもしれない。。。
人間が居る以上、争いはいつの時代も起こりうる。
憎しみ、怒り、競争心がある以上、争いは続くのだろう。
そして、また、もっともっとと、大気が引火するような物が出来るかもしれない。。
世を滅ぼすのは兵器じゃなくて、醜い人間なのだ。
そして、この作品が公開される前に、本当に起こってしまったのは、それこそこの作品の言いたい所ではなかろうか?
つか、勇気のフレディマーキュリー(笑)
納得の作品賞でした。
映画としては圧巻、でもモヤモヤはする
原爆の被害を描いていないことへの批判も勿論わかるけど、映画としてこれはこれで完結しているとも感じる。見応えあったし、決して結果を軽んじたものではない。
一瞬だったが顔の皮膚が吹き飛ぶ様子や黒焦げの遺体の脳内映像が出ただけでも、日本人としては最低限表現してくれたのではとは思う。
オッペンハイマーはただ天才科学者なだけだった。
そして科学者としてドイツに核実験の先を越されたことをきっかけに、研究魂が爆発して、抑止力を言い訳として開発に携わることになってしまう。作っただけ、まさか本当に使うとは思わなかったと言えば良い。でも反対署名はしなかった。
そしていざ自分の手で作り上げたものが20万人を殺したとなり、これ以上は、と反対をし始める。
しかしそれを口実に今度は私怨で彼がロシアのスパイであったと嫌疑をかけられ、また胸糞悪い公聴会にかけられる。
トルーマンも落としたのは自分だ、日本人が恨むのは自分だ。とまるで手柄のように言い放つ。腹立つ。
原爆が無事、大気の連鎖爆発を起こさず、世界を焼き払わなかった、狭い都市だけ焼き払えた、成功だ!と大喜びするロスアラモス勢。気分悪い。
トリニティ実験。音と光はすざましかったけど、あんな近くで見ててサングラスひとつで防げたような表現。後から放射能で被害を受けた人たちは本当にいなかったのか。
人を大量虐殺したことを考えずに無邪気に喜ぶ人たちを皮肉に描いていることはわかる。戦争を終わらせて、米国軍人を攻撃する日本から、彼らの命を救った英雄なのだ。ただ、今でも一部アメリカ人の考えは変わっていないと思う。実際接していても、アジア人はいつまで経っても格下扱い。戦争起こしたのも日本のせいだし、トランプ派の過激派とかみてると本当に今でも同じことしそう。オッピーがきっとまた二度目の人生でも同じことする、と言われていたように。でもあの時代、立場が逆なら日本軍だって同じことをしたように思うし、成功したら日本国民も手を叩いて喜んだのだろう。誰が悪いという話ではない。未だに続けている国のことは理解し難いけど。
アインシュタインとの会話の真髄がよくわからなかったり、とにかく登場人物像多くて後半証人に呼ばれる人が誰だっけ状態だったけど、いずれもう一度は見た方が良い映画だなと思う。見てよかった。
世界の覇権を握るための道具としての核兵器と″原爆の父″オッペンハイマーの苦悩
ユダヤ系アメリカ人の天才物理学者オッペンハイマーはナチスドイツの原爆製造の動きに憂慮し、世界平和の大義名分のもと、原爆製造に手を染める。結局、ナチスドイツは原爆を完成させることもないままに、またアメリカが原爆を使用することもなく降伏するが、日本の抵抗(すいません、アメリカ目線で)もあり戦争は継続し、原爆製造の研究は続けられる。これには同じ連合国側であったソ連を牽制する意味も含まれていた。そして広島・長崎への2発の原子爆弾を投下する。オッペンハイマーは憎き日本を降伏させ、戦争は終結させた英雄としてアメリカ国民から大変な称賛を受ける。そして原爆を保有するアメリカは絶対的強国として世界に君臨することにもなる。
しかしオッペンハイマーは予想を遥かに上回る原爆の威力を目の当たりにして後悔の念を強くする。また原爆はそれを作り出した科学者達の手を完全に離れ、覇権争いのための政治家達の道具(大量虐殺兵器)になってしまったことを痛感する。
ソ連との覇権争いの中、原爆を遥かに上回る威力を持つ水爆製造へとアメリカは動く。原爆製造の立役者としてオッペンハイマーに水爆製造の中心になるべく白羽の矢が立つが、オッペンハイマーはこれに非協力的な姿勢を明らかにする。そんな中、原爆研究チームの中にソ連のスパイがいたことが発覚し、さらにオッペンハイマーの周囲(妻、恋人、弟、友人)に多くの元共産党員がいたことが問題となる。戦後のアメリカの支配層であった政治家、実業家達の策謀によるあの悪名高い″赤狩り″、そして原子力委員会の委員長でもあった野心家のストローズ(政治家?実業家?軍人?科学者ではない)の策謀も相まってオッペンハイマーはソ連のスパイとの嫌疑がかけられてしまう。
結局、スパイの疑いは晴らされるが要職からは外され、不遇の晩年を過ごすことになる。最終的には名誉は回復することになるが、この地球をも破壊しかねない核兵器の製造に携わったことに彼の人生は虚しいものになる。
一人の天才科学者の人生を辿るなか、核兵器とは何か、また戦後の世界情勢について深く考えさせられる映画でした。また、化学物質や化学反応などを表現する不思議な映像はいかにもクリストファー・ノーランらしく、核兵器の不気味さ恐ろしさを効果的に表していた。
難しい映画でした
コメントで難しいと散々見ていたので
覚悟はしてましたが難しかった
なんか勉強してからみたらみたいなコメントありましたが見終わってから何を勉強したらわかるようになるのか更に分からなくなりました(単に私が理解が悪いだけなんですが)
あとモテ過ぎですね🤣
浮気からの離婚、略奪愛、セフレ、不倫
オンパレードでしたね
何故公開が遅れたのか理解に苦しむ
この作品は原爆の物語では無く、原爆を作り出してしまった科学者の物語である。人類の未来を良くするために発明したものが悪用される事はよくある。近代ではAI技術の発展も目まぐるしいものがあるが、人類の作業効率を上げるものとして期待される一方で軍事利用などの懸念もある。
そうした場合にそれらの開発者は罪に問われるのか。
劇中で「原爆で恨まれるのは開発者では無く、落とした者だ」という台詞がある。
オッペンハイマーは原爆を抑止力として開発をしていたのでは無いのだろうか。
だが残念なことに「原爆」に関するものが全てセンシティブなものとして扱われている様に思う。
被害国として原爆のことを伝えていく為には原爆の事を理解しないといけないし、加害側の心境も理解しておくべきでは無いだろうか。
幸い、この映画での日本描写はそれほど悪く無い。
直接的な描写は無いにしろ、関連する台詞は多く、事後の当人達の苦悩も描かれている。
映画を観終わった時に原爆に対する興味を持ち、各々で調べて理解する事に意義がある。
表現の自由だのを謳っている国で扱っている内容次第で公開すらされない様な事態になる事が理解に苦しむ。
多くの人に知ってもらうという機会を自ら無くしている事にいい加減気づいて欲しい。
原子爆弾の父は…
映画に求めるものが違うので、評価基準は低いです。
オッペンハイマーの史実に基づいて原子爆弾を作り、その後英雄からの転落なんて別に日本人は観たくないって配給会社はアカデミー賞取るまでは考えていた。私もその一人。
とにかく原子力委員会の聴聞会でナチスのスパイ疑惑と愛人との密会の下りは辟易させられた。長い。もっと映画にはアクションやスペクタクルや素敵な恋愛なんかが絡んで欲しい。
ストローズ委員長のちょっとくらい公聴会の聴衆の前で笑いのネタにされたことへのねちねち仕返しともいえる聴聞会でのやりとりは観ていて苦痛。
エブエブもそうだが、アカデミー賞取るまで?で取ったら拍手は辟易。エブエブはアクションあってもそれ必然?マルチバース?流行り?
オッペンハイマーは原爆を落とされた国としては観ていて感動することがある?苦悩しても大量殺人兵器開発研究をしたからって同情しないし(愛人作っているやん。)どこまで脚色した話にしたか知らないけど、知りたくない。
ある程度、事前知識が無いと難しい
明らかに反戦、反原爆がテーマ。日本公開が遅くなった理由がわからない。
原爆の父の栄光と苦悩がちゃんと現されていて、日本人こそ見るべき映画だと。寧ろ原爆投下を必然だと考える米国人は、ショックを受けると思う。
ドキュメンタリーではなく、どこまでフィクションか判らないけど、登場人物の裏表やしがらみが複雑で、凄いスピードで話が進むので、ある程度事前に調べていかないと置いてかれる。
パンドラの箱を作ってしまった科学者の心情
・エキスポIMAX鑑賞、IMAXカメラなので視界一杯の画面で迫力が凄い。
・原爆を作るまでの優秀な科学者たちの熱いストーリーが素晴らしい。
・原爆最終実験時の臨場感が凄い、期待、緊張、不安、そして達成感。(人を殺すものだが・・・)
・と同時に人類滅亡級である原爆というパンドラの箱を作ってしまったオッペンハイマーの苦悩が上手く描かれている。
・被爆国の日本としては、自国の被害ばかりに焦点をあててしまうが、各国ごとにそれぞれ苦悩があり、もっと歴史を勉強したいと思いました。
反戦映画になっていることは評価できる
観たくない気もしましたが、観ないと後悔すると思い、通常版を鑑賞しました。勝った側の論理で描かれますが、方向性としては悪くないと思いました。国の為に働いた結果、人類に制御しきれない力(原爆)を与えてしまったオッペンハイマーをプロメテウス、彼を利用した米国は神の力を得た傲慢で愚かな人類、という形で描いているのは評価できます。
中心となるのはやはり原子爆弾の成功ですから、日本人としては原爆投下後の日本のシーンも入れてほしかったです。ただ、何年か前に、アメリカで原爆展を企画したら、反対運動が起こって開催できなくなったという事がありました。だから、本作に広島・長崎を入れると、上映しない映画館が出て来たかもしれません。
それを考慮しても、やはり私の評価は少し下がります。
本作は、共産党員との関係、原爆作りにまい進する様子、トリニティ実験、その後の栄光からの転落が描かれますが、時系列が行き来して複雑です。実験の成功に最初は満足し、後に後悔する心の動きの表現はもっとストレートで良かったのにと思います。
映画というものは耳よりも目から入ってくる情報が圧倒的に印象に残ります。
本作の中でも、「実際にやって(経験して)みないと分からない」という趣旨のセリフが2回ほどあります。
本作では会話の中で原爆の影響に触れてくれていますが、死者が何万人とか、一度に多くの人が火傷したとか言うだけでは、アメリカでは字幕も出ないのだし、残念ながら実感がわかない人がいたでしょう。つい最近、アメリカの議員が、「ガザも広島・長崎みたいにすればいい」と発言しています。
トリニティ実験も迫力が足りません。私が受けた衝撃は、昔、「バックドラフト」を観て火事の炎の凄まじさに圧倒された時とさほど変わりません。あの無音状態から数秒後の爆音と振動で、日本の観客は恐怖を感じますが、それだけでは分かりにくいのです。幻覚のシーンにCGを使っていれば、拍手する聴衆が瞬く間に塵のように崩れ去るような表現が出来たのにな、とちょっと残念です。
黒い雨
密度の高い3時間だった。ノーラン監督特有の時間軸の交差はあったものの、3つの軸がカラー、モノクロなどで分かれており比較的わかりやすかった。下から突き上げるような振動と一定に刻まれるリズム、視覚を刺激する映像は劇場で体感すべき。
非常に優れた頭脳を持ちプライドが高く時に不遜とも取れる態度をとるオッペンハイマー。正直好感は持てなかったが、頭の中で構築した兵器の爆発を目の当たりにしてからの変化は人間らしいものだった。
被爆国日本の惨状が全く描かれないことに物足りなさを感じたし、オッペンハイマーの負った精神的ダメージの説得材料に欠ける。が、戦争に利用された一科学者の悲劇を知り、我々は今もまだ最悪の兵器と共存していることを改めて思い知らされた映画だった。
キャストはノーチェックだったので、すごい役者陣で驚いた。ゲイリー・オールドマン!
ノーランはオッペンハイマーに好意的だった
クリストファー・ノーランが描く「原爆の父」ロバート・オッペンハイマー。
今年のベストの一本であり、映画史にも深く刻まれる作品となった。
ドイツ🇩🇪より早く原爆を開発せんとマンハッタン計画の責任者になったオッペンハイマー。そこに迷いはなかった。強い使命感があった。
原爆実験が成功した1945年7月、ドイツ🇩🇪はすでに降伏しており、日本🇯🇵がターゲットとなった。実戦で使用され倫理観が揺らいだ。
共産党員との親交に加え水爆の開発に反対したことが冷戦、赤狩りの時代に立場を悪くした。
そう、ここにあるのは誠実な天才物理学者の半生。ノーランはオッペンハイマーに好意的だった。赤狩りを揶揄した。
迂闊だったのは自分が日本有数のチキンであることを忘れIMAXに臨んだこと。爆発音と振動で気分が悪くなり途中退場を決意したけど、戦後は展開が変わり何とか最後まで観ることができた。
まあ、尋常でない緊張感を持って観れたということで結果オーライとしたい。IMAXをお勧めする。
それにしてもフローレンス・ピュー💕ずんぐりむっちりボディと溢れ出る強い意志に萌える。200%好きだ。
鑑賞前にある程度予習は必要
緊迫感はまるでホラー、映画館での鑑賞がおすすめです。
歴史的背景や人物など、全く予習なしで鑑賞したので(時系列も巧みな映画ということもあいまり)理解でない部分も多い難しい映画ではあった。
『ガリレイの生涯』よりも深い悔悟を感じ、『ジョーンの秘密』の方が罪が重い
序盤はよくわからないまま進み、女性関係を描く必要性に疑問を抱いたりしたが、共産党との関係が深く、軍の依頼を受けるうえで、重要な問題であったことがわかってきた。そんな危険人物であるにもかかわらず、軍にとって重大な計画の責任を任せざるをえず、そして主人公もチームリーダーとして、様々な曲者をまとめあげた手腕は見事だった。開発のために町をつくり上げて、家族包みで生活を楽しむなんて、桁外れである。
当時、ドイツも日本も原爆開発に取り組んでいたことを考えれば、アメリカ政府だけでなく、主人公たちも、愛国心のままに開発に先陣を切ろうとした熱意や、ぎりぎりのタイミングで賭けに成功した幸運も理解できる。そして惨状を映像でみて、悔悟し、それ以上の開発に反対の論陣を切り始める。アインシュタイン氏だけではなかったのだ。『ガリレイの生涯』で語られる科学のもたらす害と希望よりも深い悔悟を感じ、『ジョーンの秘密』での選択の方が罪が重いと思われる。
政府だけでなく、私怨で主人公を貶めようという動きが出てくる。どんどん追い詰められていくが、権力と距離を置いた同志の科学者たちが、主人公を庇い、讒者を明らかにするところが快感である。
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