劇場公開日 2023年10月20日

  • 予告編を見る

「バビーは「ローマの休日」を「ローマの平日」にしました。そして死ぬまで幸せに暮らしました」悪い子バビー talismanさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5バビーは「ローマの休日」を「ローマの平日」にしました。そして死ぬまで幸せに暮らしました

2023年10月27日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

悲しい

幸せ

最初の30分位、樋口毅宏(パンフレットでも文章寄せてます)の小説世界をグイグイ見せられているようでどうしようかと思った。樋口さんの小説は大好きだけれどあくまで文字だからOKなのであって、いきなり映像を突きつけられると、大変辛くて苦しい。逃げようかと思った。

バビーは35年たって逃げることに成功した。外の世界に出てありとあらゆる職業、立場、外見、年齢の人達と出会う。彼らの全てが不思議で新鮮で真似したくなるバビー。嫌な経験も漏れなくついてくるが、家の外に出られただけで興奮!自由!生まれて初めての体験ばかりなのだ。禿げて汚らしい格好だけど中身はバビーの「ローマの休日」!

バビーは結構ハンサムでいい顔してる。アップに十分耐える。ただ頭頂が薄いのだ。これがポイント!修道士!その修道士男バビーが何でも面白がってくれるロックバンド仲間とシャウト!かっこいい。

ことばもそうだけれど、バビーは姿形や趣味も繰り返す。牧師姿は胡散臭い父親から。ふくよかな女性が好きなのは母親がそうだから。女性の豊満体型のほめ方はママに言わせられたからと父親の真似。施設ではママのようにふくよかなエンジェルと出会う。エンジェルの親は娘の外見をこっぴどくけなす最低の人間。

子どもやハンディキャップのある人と心が通じるバビー。他人と出会い、バビーは路上で教会でライブハウスでベッドで飲み屋でたくさんの音楽に出会う。その音楽を耳にした時のバビーの心の揺れと感動はひしひしと私にも伝わってきた。

それにしても、30年前の映画とは思えない。親による子どもへの虐待オンパレード:家に閉じ込める、行動の自由と教育機会を奪う、暴力、近親相姦レイプ、不潔な家屋。一方で母親は息子の身体をシャワーで洗い、髭をそり、食事を与える。お母さんは仕事の為に外出していたのかなあ。一度息子を外に出したら絶対に帰ってこないという不安がママには大きかったのだろうか。夫がいつ帰ってきてもすぐに息子を見せてあげられるようにしたかったんだろうか。繭みたいに母子で固まってしまうのはよくない、というのは簡単だけれど、母親にとって何才になっても息子は可愛いのだろうし、ひどい仕打ち受けても母親から離れられなくなるのは共依存だろう。

「こりゃ、変だ!外へ!」とバビーが決断してよかった!きっかけは「父、帰る」。顔さえ知らないその男はバビーにとってはもはや他人だ。人間は親から受けたしつけや遺伝子など逃れられない部分も有るが、大人になるためには他人が必要だ。他者との出会いで人間は成長し成熟する。何でもかんでも親のせいにするのでなくて、一歩外へ!

talisman
Mさんのコメント
2023年11月23日

30年前の作品なのですか。知りませんでした。
バンド仲間やエンジェルと一緒の時のバビーは楽しそうでしたね。
なぜか心引かれる作品でした。

M
カールⅢ世さんのコメント
2023年11月20日

こんばんは😃 ちょっと書きかえました。バンドマンたちは金欠だったからてっきりバビーを売って懸賞金貰うのかと思ったら違いました。ナイスガイたち。アウトロー版仕事の流儀なんでしょうね。時間がありましたら、YOUTUBEでAC/DCの Whole Lotta Rosie 見てみてください。爆乳がみられますよ。

カールⅢ世