「ミニシアターへのエール」青春ジャック 止められるか、俺たちを2 山の手ロックさんの映画レビュー(感想・評価)
ミニシアターへのエール
若松孝二が名古屋に作ったミニシアター・シネマスコーレの顛末と、井上淳一監督の若松プロ入社当時の自伝を絡ませて描いている。
時代設定が、映画に目覚めた頃とドンピシャなので、作中に出てくる映画関係の小ネタの数々にニヤニヤしてしまう。若松孝二を初めて意識したのも「水のないプール」だった。
当時の製作現場の男社会振りがよくわかるが、映画に生きる若松孝二の憎めなさや愛嬌といったものも感じられた。
ストーリーの中では、芋生悠演じる金本の存在が秀逸。モデルはいるのだろうか。確かに当時の日本映画では、今では信じられないくらい、女性の監督がいなかった。外国人登録の指紋押捺制度も問題になっていた。
演出面では、ところどころ低予算・自主映画っぽいところもあるが、それも若松プロ作品らしい感じか。
ラスト、若松孝二からの遺言のような形で、ミニシアターへのエールが語られる。あの頃あったミニシアターは随分なくなった。シネマスコーレが今でも続いているのは凄いこと。
これからも観客として足を運び続けようと、北国のミニシアターで改めて決意した。
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