ナポレオンのレビュー・感想・評価
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衰えを感じさせないスコット監督の見事な歴史スペクタクル
字幕版を鑑賞。今年 86 歳になるリドリー・スコット監督の最新作である。スコット監督の代表作には、「エイリアン」や「ブレード・ランナー」に代表される SF ものと、「グラディエーター」「最後の決闘裁判」などの歴史ものがある。「エイリアン」シリーズでスコット監督が撮った第一作こそ大傑作だったが、この作品の出来の良さは脚本家のダン・オバノンの力量によるもので、オバノン没後の「プロメテウス」と「エイリアン・コヴェナント」では物語の世界観を潰しかねない展開を見せて、目も当てられない惨状を呈するに至った。その一方で、歴史ものには一切駄作がなく、極めて洗練された美意識が画面の隅にまで徹底していて、かつての「十戒」や「ベン・ハー」級の名作を世に送り出して来ている。
本作も、まさに歴史的な瞬間を観客に目撃させているかのような画面作りは非常に見事である。ヴェルサイユ宮殿などを使ったロケーション撮影は有無を言わせぬ圧倒的なリアリティを見せている。戦闘場面も息を呑むほどの出来上がりで、両軍の行動や顛末が良くわかる。戦場を俯瞰した画面の壮大さもさることながら、兵士レベルでの視点でも徹底したリアルな画面作りが行われていた。
物語はナポレオンが頭角を現して以降の生涯をなぞりながら、本人の内部の悩みや葛藤を描くのに力を入れている。身長が 168cm と小柄だったナポレオンを 175cm のホアキン・フェニックスが演じているのだが、ダンスシーンなどでは女性の方が大きく見えるような撮り方を工夫しているのも配慮が感じられた。歴史上の偉人には小柄の人が多く、モーツァルトやベートーヴェンやワーグナーも 170cm 未満で、西洋人の中では平均以下である。
ただ、少し説明不足のところも気になった。序盤のトゥーロン攻囲戦の見せ方は実に見事だったが、ロシア戦やワーテルロー戦で何故負けたのかの描写は不十分だと思った。ロシア戦でロシア側が仕掛けた焦土作戦は非常に良く描かれていたものの、大多数の死者を出した撤退戦がほぼ省略されており、ワーテルロー戦ではプロイセン軍の到着のみが敗因のようになっていたが、ナポレオンが中央突破にこだわり過ぎたのが原因である。また、ジョセフィーヌの浮気が新聞沙汰になっていたのは、ナポレオンがジョセフィーヌ宛に書いた手紙を乗せたフランス軍艦がイギリス軍に拿捕されて読まれてしまったからであるが、その描写はなかった。
ジョセフィーヌは、夫の留守に若い将校を連れ込んで浮気に耽っているばかりのように描かれていたが、宮廷の庭にバラ園を作って 250 種ものバラを育成したほか、バラの専門家に命じて新種の開発にも功績を残し、そのお陰で 200 種もの新種が生まれているのである。また、写真がなかった時代のため、画家のピエール=ジョゼフ・ルドゥテに詳細な絵を描かせた功績も忘れ難い。せめて庭のバラに囲まれた姿を撮って欲しかった。
ナポレオンの功績には現代にまで残っているものがあり、欧米では通りを挟んで番地の末尾が奇数と偶数に分けているのだが、これを始めたのはナポレオンである。また、法の前の平等、私的所有権の不可侵、個人の自由、信仰の自由などを基本原則としているナポレオン法典は、現代フランスの法律にほぼそのまま受け継がれているのだが、こうした事績が省略されているのはやむを得ないことだと思う。
それにしても、ナポレオンが起こした一連の戦争で戦死したフランス兵は 300 万人にも及んでおり、青壮年男性を中心とする生産年齢人口の低下によって、国力でイギリスやドイツ、のちにはアメリカにも抜かれる要因となった。まさに「一将功成りて万骨枯る」という典型であった。ちなみに、今年ナポレオンが着用していた帽子の一つがオークションに出されて、3億円ほどで落札されている。
音楽はハイドンやモーツァルトなど、同時代の作品を選曲してあって時代の空気を感じさせていたほか、オリジナルの楽曲も非常に見事であった。特にエンドロールで流れる曲はメドレー風になっていて聴き応えがあった。スコット監督の演出は実に冴えていて衰えを一切感じさせなかった。次回作も非常に楽しみである。
(映像5+脚本5+役者5+音楽4+演出5)×4= 96 点。
彼は英雄?それとも侵略者?【55点】
最近、多作なリドリー
ジョセフィーヌ
演技は申し分ないが
英雄?悪魔?ただの人
シナリオが素晴らしい。ナポレオンの伝記ではなく人として描いている。
戦闘も迫力ありIMAXで鑑賞したかいが合った。
しかし、出世していく過程をナポレオンに詳しくないとよく分からず、いきなりエジプト遠征など???
ラストの反乱も誰と戦っている?(理由)などもう少し分かりやすくしてほしかった。
女性遍歴など面白く、二時間強の時間もあっという間にだった。
「国家」概念があの時代に明確にあったフランスとイギリス
ドイツもイタリアも一つの国としてまとまってなかった頃から国家意識があったフランス🇫🇷にイギリス🇬🇧。分厚いコートに軍服、着てるだけですごく重そうでそれで馬に乗る。もう体格、骨格のレベルでアジアと異なる。考えも異なる。取引、退却、落としどころ含めて政治・外交能力はいやでも磨かれる。百戦錬磨の人々たくさん。そんなヨーロッパが歴史を経てEU(問題は山積でも)を作ったっていうのは並大抵のことでないことが目の前に突きつけられた。
色んな絵画で見たことあるシーンを映像で見ることができてかなり興奮した。タレーランが出ていて感動した。吉田健一がタレーランのことをよくエッセイに書いていてでもどんな感じかよくわからなかった。今もよくわかってないが、洗練された貴族でやり手の政治家ということはわかったと思う。フィクション交えながらの構成、飽きることなくとても面白かった。
ナポレオンは戦いの天才で英雄でカリスマでフランス愛に燃える男。そして恋をし筆まめで甘え嫉妬に燃えよく泣くマザコン男。ホアキン適役!可愛いとさえ思った。ジョゼフィーヌ役はヴァネッサ・カービィ以外居ません!と言えるほどぴったりだった。
サウンド・デザインが良く音楽も歌も映像を邪魔せずしっくりと随伴していた。そして映像は戦闘、寝室、食事どのシーンも素晴らしかった。映画館でご覧になることをお勧めします!
おまけ
戴冠式のシーンはインパクト大だった。ローマ教皇から戴冠されるというのが慣わしだったのに、自分で自分の頭に王冠を乗せたナポレオン!その時の教会内のどよめきは、そうか、こういう方法があったのかー!でもあったんだと思う。世俗権力は教会権力トップの言いなりにならないということでよろしく!という最初の画期的一歩だったんだ。フランス革命の理念に則って革命後大混乱の後始末をしたナポレオン。映画見終わって思い出しつつ反芻。
フランスは、だから政教分離なんだ。ドイツの超カトリックの町、ライン川沿いのマインツに微妙に中間緩衝地域を作ってプロテスタントのでっかい教会作れたのもナポレオンのおかげ。「ヨーロッパといったらそれはフランス」の意味がやっとわかり始めてきた。ナポレオンが成し遂げた他のこと(ナポレオン法典とか?)にも俄然興味がわいてきました。ありがとう、映画!
ジョゼフィーヌの印象だけは多少ある(笑)
ジョセフィーヌ
Don’t expect action on war too much.
This is a good movie, but don’t expect war action too much. It is more story teller type of movie. However it harmonize between story and action that make us forget time to pass.
In kuala lumpur, Malaysia.
It is interesting in that Napoleon invaded into Russia with a reason that Russia betrayed Napoleon in the movie. But truly Russian thought they were invaded by Napoleon’s ambition.
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