「千とヘレナの神軍師」ナポレオン 梨剥く侍さんの映画レビュー(感想・評価)
千とヘレナの神軍師
「ナポレオン」と言えば、あのキューブリックが映画化を切望したが、資金難から断念せざるを得なかったタイトルだ。今般リドリー・スコットが映画化したというので、どのようなものになったのかと見に行ってみた。
ジョセフィーヌとのぐちゃぐちゃした関係の顛末は正直あまり興味が持てなかったが、アウステルリッツやワーテルローの戦闘シーンの大迫力には度肝を抜かれた。CGとかも使用しているのだろうが、ロングショットで戦場を俯瞰で捉えた壮大なロケーションにわくわくする。邦画の「関ケ原」などには欠けていたものだ。一応満を持してIMAXで鑑賞したのは間違いなかった。
劇中フランス人が全員英語をしゃべっているので、ナポレオンと英国人のウェリントン公が通訳なしで対話するという珍妙なシーンが出現する。ロシア人などそれ以外の国の発言には英語字幕が入るのに。フランス本国での評価も知りたいところだ。
49歳のホアキン・フェニックスがトゥーロン攻囲戦当時24歳のナポレオンを演じるのもちょっと無理がある。若い役者が中年まで演じるのと中年の役者が若者を演じるのでは、後者の方がハードルが高そうだ(「ワーテルロー」では当時45歳のロッド・スタイガーがナポレオンを演じているが、こちらはワーテルローの戦い前後のみを描いた映画なので違和感はない)。
当然人件費や衣装代、オープンセットもろもろ膨大な制作費がかかっているのだろうけど、それはかつてキューブリックが構想した時の費用と比較してどうなのか。今さら繰り言にはなるが、無理してでも調達できるものなら、撮らせてあげたかったとも思う。
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