「圧巻の映像と人間ナポレオン」ナポレオン 空猫さんの映画レビュー(感想・評価)
圧巻の映像と人間ナポレオン
ナポレオンの生涯を描くとしたら仕方ないのかな、と思うくらいの駆け足の展開でした。
大河ドラマ並みに時間がかかるだろうに、158分にまとめてきたのは編集の力技ですかね。
それを埋める一助に物語の語り方が詩的になっていたのが印象的で、どこかシェイクスピア作品を彷彿させられ、時代は違いますがヨーロッパ史を見るにはよい雰囲気でした。特に議会のシーンとかですね。
(英語だからかな?皮肉にもそんな効果が)
ナポレオンの人生すごろくを知ってる前提で描かれるので、逆に知らない人にとっては不親切かもしれないなと感じました。
彼の年表が頭に入っていたならば、それはもう美しくて克明で迫真の作品で、間違いない、評価しないわけにはいかないだろうという感じ。
戦争シーンは兵法を丁寧に描くあたり、21世紀最新版の近代戦争映画に仕上がっているのではないでしょうか。
しかしトゥーロンの戦いでは「そんなに火薬あったの?」とつっこんでしまいましたが、どうなんでしょう?笑
あったのかな。
ジョセフィーヌとの愛を軸にストーリーを構成している点については、もっと出会いのシーンをわかりやすく、観客の心に残るだけのものを描いても良かったのではないかなと個人的には思います。これは好みの問題。
ホアキンフェニックスだと歳をとり過ぎだろう、とそこは不安視していましたが、杞憂でした。彼の演技をもってしてそこにいたのは青年から成長を重ねるナポレオンでした。
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作品を離れるために蛇足になるかもしれませんが、偶然佐藤賢一さんの小説「ナポレオン」を読んだ後に鑑賞したため、映画もとても通りやすく見ることができました。
映画のクレジットの最後に登場した(翻訳)監修の松嶌先生の解説もありましたので、未読で興味ある方には情報提供まで。