「現在の世界におけるデファクトスタンダードな解釈になってる??」ナポレオン yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
現在の世界におけるデファクトスタンダードな解釈になってる??
今年400本目(合計1,050本目/今月(2023年12月度)1本目)。
(参考)前期214本目(合計865本目/今月(2023年6月度まで))
本作品ですが、高校世界史をみっちりやった層とそうでない層とで理解がはっきり分かれ、前者の層の中にはかなり混乱する描写もあるので、評価が割れる(荒れるとは異なる)ような気がします。
本作品もまた「首」と同じようにストーリーというストーリーを積極的に見出すことができず、高校世界史をみっちり学習してもしていなくてもナポレオンの戦績自体は有名な話なので、ストーリーを見出しにくい本作品でも一定の理解はできるし、本作品に限っていえば映像美を語るところなのだろうと思うし、その意味ではimaxやドルビーなどで見るのを強く推奨しているのだと思います。
一方で高校世界史をみっちりやった層はかなり混乱して「ぬけぬけになった紙芝居を見ている?」ような状況(フィルムでも飛んでいるのかと思うくらいヘンテコ)な部分があり、そこがどうなんだろう…と思ったくらいです。それがタイトルにある、「日本だけでなく、お隣韓国や中国、あるいはヨーロッパ共通など「世界の今の標準的な教え方に沿っている」のかな」と思ったくらいです。
妙にマニアックなことが出てくるかと思えば明確に出てこない語もあり、何となく変というか解釈上混乱しそうな気がします。
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(減点0.5/史実上出るべき戦闘の描写がないため、史実の理解に支障をきたす)
少なくとも「トラファルガーの海戦」「ライプチヒの戦い」の描写がないのはかなり違和感です。映画の描き方だと、ボロディノの戦いで「ロシアに」とらわれたまま一度島流しにされた、というように解釈されても仕方がないように思います(かつ、それがないのに、超マイナーなエジプト遠征(ピラミッドの戦いほか)が出るなど時間の使い方が変)。またトラファルガーの海戦の描写も明示的にはないため(ちらっと出る程度)、なぜフランス軍がイギリスに敵対したのか(→大陸封鎖令(ベルリン勅令)のお話)がわからず大混乱を招くような気がします。
(減点0.1/「ワーテルローの戦い」の表記について)
これは、日本においてはリアル高校生の教科書表記に準拠したものと思いますが、実はこの映画、なぜかしら全て英語です(フランス国内でフランス語が話されているシーンはおろか、フランス語が出てこない。エンディングロールでちらっと出る程度)。つまり「フランス映画であるべきなのになぜか英語による放映」です。その理解において「ワーテルローの戦い」はフランス表記なので(英語表記では「ウォータローの戦い」等)、ここはまぁ「細かいところ」ではありますが、そもそも論として「なんで全部英語なの??」というところが本当に謎です(この当時のフランス語がある程度現代フランス語と異なる点は常識扱いで、そこを論じる映画でもない以上、若干の言語解釈の揺れは度外視してフランス語にしないのもヘンテコで、そこから発生する問題)。
※ この「英仏の表記の違い」により発生しうる高校世界史の範囲で登場するものといえば、「(仏)アザンクールの戦い/(英)エジンコートの戦い」(1415/百年戦争の中期から末期にかけてで、ここから英仏の関係が逆転して最終的にフランスが勝てた)があります。
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