ほかげのレビュー・感想・評価
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戦争が終わっても人々の戦いは続く
終戦直後の闇市を舞台に戦争に翻弄された人々の姿を描いヒューマンドラマ。半焼けの居酒屋で暮らす女と片腕が動かない男、そして戦争孤児の子供が必死に生き伸びる姿を見事に描いている。特に印象的なのが孤児を演じた子役の表情が素晴らしく引き込まれた。戦争が終わっても人々の戦いは続くことを改めて実感しました。
2024-11
面白かった
塚本監督には頭が下がる
戦争による後遺症を切り取った感じで観ているのが辛くなる作品。 本年度ベスト。
趣里さん目当て。
何の情報も入れずに鑑賞。
序盤から良く解らない展開に戸惑う(笑)
だけど銃を使うシーンで本作は戦争により大切な人を失ったり心に傷を負った人達がもがきながら生きている姿を表現している作品と理解。
ロシアのプーチンに観せて感想を聞きたくなる。
体を売って生活する趣里さん演じる女性。
なぜか子供と青年と一緒に生活する展開。
理解出来なかったけど、彼女が失ったものを埋めようとしていた感じ。
情緒不安定な感じの演技が素晴らしかった。
子供も必死に生きて行く姿が辛い。
子役の子が目で演じる姿に圧倒される。
森山未來さんが怪しい役。
彼も苦しんでいたのかと思うけど、子供の目の前でやっちゃダメだろ(笑)
ラストで子供が働く姿に少しだけ光が見えた感じでした( ´∀`)
監督の芸術性も健在なり
2回も観た。
監督の平和への祈りを感じる映画。
「野火」の続編のような。
そして監督の持つ稀有な芸術性ももちろん今回も健在。
怖いし汚いのに美しかった。
ラストシーン。人混みに紛れて去っていく少年の後ろ姿に
監督の切なる願いがこもっているように感じて・・・涙。
痛ましき腕
戦争孤児の瞳が訴えていたこと
戦争と後遺症
坊やの眼差し
坊やの眼力がすごい。
自分に優しくしてくれた女を守ろうとする強い眼差し、
テキ屋の心の動きを敏感に感じ取り、憐れみだったり、疑いだったり、
彼の復讐相手への怒りだったりの眼差し、
復員兵に、また教科書を手にし立ち上がってくれと、思いを込めたような眼差し、
最後、雑踏の中で、強く生きていくという決意の眼差し...。
趣里さんも朝ドラより良いと思ったし、森山未來さんは安定の惹きでしたし、
復員兵の河野宏紀さんも、純粋さからくる狂気というか
精神衰弱な様がとても怖かったです。
しかし、飛び抜けて、あの坊やが本当に素晴らしくて、
今回の作品の全てのように感じました。
大人の俳優たちを完全に食っていたかと。
戦争孤児、復員兵、戦争で子どもと旦那を亡くした女と…
戦後の日本で、戦争のせいで人生や精神が身体が狂ってしまった人たち、
観ていてシンドかったです。
でも、知っておかなくてはいけないことであって、
だから、戦争なんて絶対にダメだと強く思えるし、観て良かったと思いました。
救いがないのに
戦争が奪った日常と愛情
”『ゴジラ-1.0』とはまた異なった視点で終戦直後の日本を描いた一作
「ほかげ」のタイトルが現れるまでの描写が非常に秀逸で、終戦直後の日本における、不穏と絶望、人ならざる者と化したような人の哀しみを、小料理屋の荒んだ様子と主人公の女性(趣里)の佇まいだけで一気に描いて見せます。
どうしても塚本監督の『野火』(2014)とのつながりを感じずにはいられない復員兵(河野宏紀)の、もはや心が死んでしまった有様は、『ゴジラ-1.0』の敷島(神木隆之介)がその鬱屈を割と素直に表現していたことと比較して、内にため込んで狂気の域にまで煮えたぎった苦しみに押しつぶされた末路であって、もはや人ではないのではないかと思ってしまうほどに屈みこんだ姿には得も言えぬ凄味があります。そんな復員兵を、ガラス越しのぼんやりとした光に映し出されるシルエットだけで表現してしまうすごさ。
小料理屋の内部だけで展開する、現実と幽界が溶け込んだ感のある前半部は、その先行きの見えなさと恐ろしいまでに執拗な生活描写に引き込まれますが、語り手の視点が変わる中盤以降は、物語の筋をなぞるような展開にやや傾きがち。ではあるけど、『野火』から続く「戦後の捉えなおし」という課題に一定の決着を付けた、塚本監督の語り手としての誠実さが伝わってきました。
今年後半は『ゴジラ-1.0』、『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』、そして本作と、偶然にも「あの戦争は何だったのか」を問い直す作品群が登場しましたが、本作はその語りのリレーの一つの到達点となっています。決して楽しい気分になる映画ではないけど、これはぜひ劇場で観たい一作。
視点が古くて申し訳ないが…
NHK朝ドラ「ブギウギ」ヒロインとして大活躍中の趣里。僕もドラマは見ている。彼女の演技力その他は評価している。
本作、この映画がブギウギ出演決定より前に撮られたのかどうかは知らないが、塚本監督含めて、彼女にいろいろ気を使った末にできた映画なのか…という感想を持った。
終戦後の、日本の各地であったような話である。
女は、家も夫も失い、生きるために体を売る。
男は、戦場で上官の非道の末にけがを負い復員するが、強い怨念を抱き続ける。
そうした設定は悪くない。趣里、復員兵の森山未來の芝居の熱量は十分あったし、ある意味主役ともいえるかっぱらいの少年を演じた子役の存在もよかった。
しかし…である。
趣里の両親が芸能界の超ビッグネームだからか? それとももろもろうるさいコンプライアンスという時代に忖度したのか?
本来なら、趣里が「体当たり」の演技をしてもいいところなのに、「出し惜しみ」しているのはいかがなものか。
利重剛の情けないのに、性欲は十分ある男のやらかしぶりに、応えていないのだ、趣里が。
今の時代、「裸」はテレビからすっかり消えてしまったし、映画でも女優の裸は必要性があったとしても避ける傾向にある…と見るべきなのか。
本人がやりたいと思っても、周りが「それはなくてもいいや」という方に流れたのか…。
内情はまったく分からないが、そうした、女優としての「体当たり」ぶりがなかった点で、この映画全体の熱気が落ちているのである。
昭和人間の視点からの感想である。
【パンフレットについて】
過去の映画評でも、時々パンフレットについて触れているが、本作は映画への評かもイマイチで、劇場売店でパンフレットの中身を確かめたら、写真とつまらない解説ばかりで、時代背景や作品のねらいを含めての踏み込んだ内容もなかったので買わなかった。1000円の価値はまったくなし。
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