ほかげのレビュー・感想・評価
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塚本さんはこれを取りたかったのか。子どもと大人の関係性が日本を象徴...
塚本さんはこれを取りたかったのか。子どもと大人の関係性が日本を象徴しているところはすごい。戦後、食べていくことと実存の問題が一緒に描かれているところが他にない。
面白かった
何が起きるのか、何を考えているのか、見ているうちに、スクリーンへの集中力が自然と研ぎ澄まされていき、主演3人の動きや表情に釘付けになる。見ている自分もその場にいて体感しているような映画。前半の密室感から後半、森山未來のシーンへの転換がとても良かった。これは映画館で見るしかない映画だと思う。
見ている間、物足りなさなど全くない。しかしいつも思ってしまうのだが、もしも、もう少し制作予算をかけたらどんな映像が生まれたのだろうか。今回も見終わった後で若干頭をよぎってしまった。
塚本監督には頭が下がる
このようなスポンサーが付きにくい反戦映画を自費で捻出して造る塚本晋也には感銘を受けます。名優と言われる役者たちも喜んで参加する塚本組。趣里など朝ドラ主役と被る時期に真逆の役柄で出演するんだから凄いとしか言いようがない。ただ、個人的な意見なのだが、好きかと聞かれたら好きじゃないんです。今まで塚本作品はかなり観ていて凄いと思っていた。しかし好きではないということに初めて気づきました。
趣里、森山未来の芝居は震えるレベル。子役の塚尾桜雅の眼差しはカンヌをとった誰も知らないの時の柳楽優弥を彷彿させる。
塚本監督の情念、名優達の演技、素晴らしい。
映画も音楽も恋愛も嗜好の問題があると今更気がつきました。
戦争による後遺症を切り取った感じで観ているのが辛くなる作品。 本年度ベスト。
趣里さん目当て。
何の情報も入れずに鑑賞。
序盤から良く解らない展開に戸惑う(笑)
だけど銃を使うシーンで本作は戦争により大切な人を失ったり心に傷を負った人達がもがきながら生きている姿を表現している作品と理解。
ロシアのプーチンに観せて感想を聞きたくなる。
体を売って生活する趣里さん演じる女性。
なぜか子供と青年と一緒に生活する展開。
理解出来なかったけど、彼女が失ったものを埋めようとしていた感じ。
情緒不安定な感じの演技が素晴らしかった。
子供も必死に生きて行く姿が辛い。
子役の子が目で演じる姿に圧倒される。
森山未來さんが怪しい役。
彼も苦しんでいたのかと思うけど、子供の目の前でやっちゃダメだろ(笑)
ラストで子供が働く姿に少しだけ光が見えた感じでした( ´∀`)
監督の芸術性も健在なり
2回も観た。
監督の平和への祈りを感じる映画。
「野火」の続編のような。
そして監督の持つ稀有な芸術性ももちろん今回も健在。
怖いし汚いのに美しかった。
ラストシーン。人混みに紛れて去っていく少年の後ろ姿に
監督の切なる願いがこもっているように感じて・・・涙。
痛ましき腕
塚本晋也監督の「ほかげ」
「腕」の映画だった。タイトルクレジットで思い出したのは岡本太郎の「痛ましき腕」。
森山未來の腕の演技。死んでいる腕の演技。
焼け跡の見せ方(遠景)も素晴らしい。
昼と夜のコントラストが激しく、暗闇の中の人物はおホラー映画の幽霊のように恐ろしい。
重いが、鑑賞後に気落ちするわけではない。
「映画」を観た。
塚本晋也監督はいつも「映画」を魅せてくれる。
塚本晋也監督の映画は全部観ているわけではないのだけど、うまく言えないけど「身体」の人なんだなと思った。
戦争孤児の瞳が訴えていたこと
非常に重い内容の作品だった。
戦争孤児の少年と元教師の復員兵と3人での擬似家族を成し、新たな生活のスタートを切るのかと思いきや、全く違う方向へ移って行く。
あの少年(坊や)の瞳がクルクルと動き、世情と大人に揉みくちゃにされながらも、必死に「生」を掴み取ろうとしていた。
戦争と後遺症
暴力が暴力を生むという悪循環。
戦争後遺症を正面切って取り上げている。
現代の戦争でも、地球の反対側からドローン操作で敵を殺した兵士のPTSDは、戦地で敵兵を殺した兵士と同等かそれ以上の深さになるという話もある。
80年前と戦争の形が変わってもこのことは恐らく変わらない。
いちばん衝撃だったのは、PTSDに苦しむ復員兵より、拳銃の発射より、躊躇なく酒瓶を振り下ろせる子供の暴力だった。
戦争がなにを変えてしまうかを描き出している。
坊やの眼差し
坊やの眼力がすごい。
自分に優しくしてくれた女を守ろうとする強い眼差し、
テキ屋の心の動きを敏感に感じ取り、憐れみだったり、疑いだったり、
彼の復讐相手への怒りだったりの眼差し、
復員兵に、また教科書を手にし立ち上がってくれと、思いを込めたような眼差し、
最後、雑踏の中で、強く生きていくという決意の眼差し...。
趣里さんも朝ドラより良いと思ったし、森山未來さんは安定の惹きでしたし、
復員兵の河野宏紀さんも、純粋さからくる狂気というか
精神衰弱な様がとても怖かったです。
しかし、飛び抜けて、あの坊やが本当に素晴らしくて、
今回の作品の全てのように感じました。
大人の俳優たちを完全に食っていたかと。
戦争孤児、復員兵、戦争で子どもと旦那を亡くした女と…
戦後の日本で、戦争のせいで人生や精神が身体が狂ってしまった人たち、
観ていてシンドかったです。
でも、知っておかなくてはいけないことであって、
だから、戦争なんて絶対にダメだと強く思えるし、観て良かったと思いました。
救いがないのに
以前「野火」を見て衝撃を受け、機会があれば塚本晋也監督の作品を見たいと思っていました。予想どおり常に破局の予感を覚えながらの鑑賞となりました。徹頭徹尾救いのない話ですが、見終えたときになぜか救いというかカタルシスを感じました。
戦争が奪った日常と愛情
前半の居酒屋での仄かな幸せも、後半の得体の知れない道中も、ほんの少しのバランスですぐにも崩れそうな不安感が付き纏う。そんなか細い今をみんなが生きていたのか。
戦争を知らない世代だからこそ、少年の五感を通じて戦争の跡を感じた。
”『ゴジラ-1.0』とはまた異なった視点で終戦直後の日本を描いた一作
「ほかげ」のタイトルが現れるまでの描写が非常に秀逸で、終戦直後の日本における、不穏と絶望、人ならざる者と化したような人の哀しみを、小料理屋の荒んだ様子と主人公の女性(趣里)の佇まいだけで一気に描いて見せます。
どうしても塚本監督の『野火』(2014)とのつながりを感じずにはいられない復員兵(河野宏紀)の、もはや心が死んでしまった有様は、『ゴジラ-1.0』の敷島(神木隆之介)がその鬱屈を割と素直に表現していたことと比較して、内にため込んで狂気の域にまで煮えたぎった苦しみに押しつぶされた末路であって、もはや人ではないのではないかと思ってしまうほどに屈みこんだ姿には得も言えぬ凄味があります。そんな復員兵を、ガラス越しのぼんやりとした光に映し出されるシルエットだけで表現してしまうすごさ。
小料理屋の内部だけで展開する、現実と幽界が溶け込んだ感のある前半部は、その先行きの見えなさと恐ろしいまでに執拗な生活描写に引き込まれますが、語り手の視点が変わる中盤以降は、物語の筋をなぞるような展開にやや傾きがち。ではあるけど、『野火』から続く「戦後の捉えなおし」という課題に一定の決着を付けた、塚本監督の語り手としての誠実さが伝わってきました。
今年後半は『ゴジラ-1.0』、『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』、そして本作と、偶然にも「あの戦争は何だったのか」を問い直す作品群が登場しましたが、本作はその語りのリレーの一つの到達点となっています。決して楽しい気分になる映画ではないけど、これはぜひ劇場で観たい一作。
視点が古くて申し訳ないが…
NHK朝ドラ「ブギウギ」ヒロインとして大活躍中の趣里。僕もドラマは見ている。彼女の演技力その他は評価している。
本作、この映画がブギウギ出演決定より前に撮られたのかどうかは知らないが、塚本監督含めて、彼女にいろいろ気を使った末にできた映画なのか…という感想を持った。
終戦後の、日本の各地であったような話である。
女は、家も夫も失い、生きるために体を売る。
男は、戦場で上官の非道の末にけがを負い復員するが、強い怨念を抱き続ける。
そうした設定は悪くない。趣里、復員兵の森山未來の芝居の熱量は十分あったし、ある意味主役ともいえるかっぱらいの少年を演じた子役の存在もよかった。
しかし…である。
趣里の両親が芸能界の超ビッグネームだからか? それとももろもろうるさいコンプライアンスという時代に忖度したのか?
本来なら、趣里が「体当たり」の演技をしてもいいところなのに、「出し惜しみ」しているのはいかがなものか。
利重剛の情けないのに、性欲は十分ある男のやらかしぶりに、応えていないのだ、趣里が。
今の時代、「裸」はテレビからすっかり消えてしまったし、映画でも女優の裸は必要性があったとしても避ける傾向にある…と見るべきなのか。
本人がやりたいと思っても、周りが「それはなくてもいいや」という方に流れたのか…。
内情はまったく分からないが、そうした、女優としての「体当たり」ぶりがなかった点で、この映画全体の熱気が落ちているのである。
昭和人間の視点からの感想である。
【パンフレットについて】
過去の映画評でも、時々パンフレットについて触れているが、本作は映画への評かもイマイチで、劇場売店でパンフレットの中身を確かめたら、写真とつまらない解説ばかりで、時代背景や作品のねらいを含めての踏み込んだ内容もなかったので買わなかった。1000円の価値はまったくなし。
低予算ながら素晴らしい出来映え
終戦直後の焦土の中、闇市を舞台に孤独な女性と孤児とが出会う。そして復員兵が町に溢れる混沌とした中、ストーリーが展開していく。
それぞれの役者たちの演技が光り、それにダイナミズムを加える際立った演出と撮影。戦争の理不尽さ、その闇を描き切っており、深く胸に突き刺さる作品。
趣里、森山未來、河野宏紀など、それぞれの役者たちの演技の凄さを感じるとともに、少年役の塚尾桜雅の鬼気迫る演技、その眼差しに打ちのめされる。
エンドロールまで圧倒されっ放しの作品。撮影まで手がける塚本晋也監督の才能に満ちた作品。制作費はかけずとも、素晴らしい作品は作れるという証。
伸ばされる腕
戦火の影響を強く感じさせる燃えるような色の部屋は、女性の内面世界ともとれました。
女性の眼差しや佇まいからひしひしと伝わる絶望感。
拳銃を求める男にも、明るさの裏から絶望感が垣間見えます。
女性役の趣里、男役の森山未來、絶望や希望を切実に体現する迫力の演技がとても素晴らしかったです。
客の男の戦地の過酷さを想像させる体つきや不穏さ、少年の真っ直ぐな眼差し、俳優陣の演技は皆良かったと思います。
絶望や希望、不穏さが滲み出てくるような映像や音楽も良かったです。
何かを掴もうとするかのように伸ばされる腕、女性の中に広がる光景など、とても印象的でした。
戦争がもたらす心の傷を見せつけながらも、やはり少年の未来、現実の次世代の子供たちの未来に対する希望の想いも強く響いてくる、素晴らしい作品だと思います。
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