劇場公開日 2023年11月25日

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「視点が古くて申し訳ないが…」ほかげ 町谷東光さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0視点が古くて申し訳ないが…

2023年12月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

寝られる

NHK朝ドラ「ブギウギ」ヒロインとして大活躍中の趣里。僕もドラマは見ている。彼女の演技力その他は評価している。
本作、この映画がブギウギ出演決定より前に撮られたのかどうかは知らないが、塚本監督含めて、彼女にいろいろ気を使った末にできた映画なのか…という感想を持った。
終戦後の、日本の各地であったような話である。
女は、家も夫も失い、生きるために体を売る。
男は、戦場で上官の非道の末にけがを負い復員するが、強い怨念を抱き続ける。
そうした設定は悪くない。趣里、復員兵の森山未來の芝居の熱量は十分あったし、ある意味主役ともいえるかっぱらいの少年を演じた子役の存在もよかった。

しかし…である。
趣里の両親が芸能界の超ビッグネームだからか? それとももろもろうるさいコンプライアンスという時代に忖度したのか?
本来なら、趣里が「体当たり」の演技をしてもいいところなのに、「出し惜しみ」しているのはいかがなものか。
利重剛の情けないのに、性欲は十分ある男のやらかしぶりに、応えていないのだ、趣里が。

今の時代、「裸」はテレビからすっかり消えてしまったし、映画でも女優の裸は必要性があったとしても避ける傾向にある…と見るべきなのか。
本人がやりたいと思っても、周りが「それはなくてもいいや」という方に流れたのか…。

内情はまったく分からないが、そうした、女優としての「体当たり」ぶりがなかった点で、この映画全体の熱気が落ちているのである。

昭和人間の視点からの感想である。

【パンフレットについて】
過去の映画評でも、時々パンフレットについて触れているが、本作は映画への評かもイマイチで、劇場売店でパンフレットの中身を確かめたら、写真とつまらない解説ばかりで、時代背景や作品のねらいを含めての踏み込んだ内容もなかったので買わなかった。1000円の価値はまったくなし。

町谷東光