「「あれは戦地のことだから」ー 「これで戦争が終わった」」ほかげ talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
「あれは戦地のことだから」ー 「これで戦争が終わった」
上野駅の銀座線地下鉄改札口へ緩やかにくだる通路は今はとてもきれいだ。その緩やかなスロープは雨露しのげて暖かいからか、昔、沢山の男の人達や子どもが通路の端に座っていた。もわっとした匂いがした。私はまだとても子どもだったけれど大人の男の人達は兵隊さんの格好であったり包帯して足が半分ない人も居たから、それが戦争と関係あることはわかっていた。今もそこを通ると匂いと共にその人達が見える気がする。皆、辛くて痛くて怒りと恐怖と飢えにまみれていたんだろうか、それとも希望が見えてきた頃だったんだろうか。
登場人物は誰もが口数少ない。だから森本未来の最後の言葉は饒舌で、正確に戦地でのことを覚えていて、それだけに如何に怒りと悲しみから解き放たれていなかったかが強く伝わった。
塚本監督の映画を見たのは今回が初めて。映像と音響が良かった。今度は「野火」を見よう。
おまけ
趣里は成長していい俳優になっていってると思った。初めて見たのは、舞台「クライムス・オブ・ザ・ハート」地人会新社(2015)。趣里はガリガリといっていいほどスリムで、三人姉妹の(大変なことをしでかした)末娘役をキュートに(いっぱいいっぱいで)演じていた。次がTVドラマ「ブラック・ペアン」(2018)の看護師役。クールで有能でよく眠る猫みたいな役。ここまでの趣里の顔は同じ感じ。そして今回の映画。大切な家族を失い孤独の中、坊やに会えて光が見えて、最後の希望を坊やに託した女をよく演じていたと思う。声、そして目。柔らかで深みのある大人の顔になっていた。朝ドラ見てないので、ブギウギのまとめを年末に見たい。
コメントありがとうございます。
同感です。
同感しながらも、うったえてくるものを観て感じることが火影のように消え入りそうな希望をつなげていくなにかになるかも…と、思いたいところです。
私も野火を観てみようと思っています。
野火は必見ですね。かなりショック受けますよ。趣里さんは2、3年前水谷さんとキャンディーズのランちゃんの子だとわかってから注目してましたが、今作でその実力の凄さを実感しました。ブギウギは毎週録りためて観ております。あの喜劇愛妻物語の足立紳監督の作品ですし。