ヒンターラントのレビュー・感想・評価
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陰と鬱
宣伝文にグリーンバックで撮影したぞー!ってなぜか自信満々だったのが妙に気になり鑑賞。本当にブルーバックと室内のセットのみで撮影されており、アマプラの謎の低予算映画(例:セミマゲドン)と同じくらい緊張感のないものに仕上がっていました。
戦争から帰ってきた主人公が敗戦になった祖国で苦悩し、そこで主人公が見知った人物が殺されるという事件が起きるといった感じのシナリオで進められていきました。
もうほんとブルーバック撮影という事前情報が大きすぎて、冒頭間もなく奥行きのない映像が出てきて呆気に取られました。登場人物が奥の方に移動しても全くそう見えず、横移動も本当にただ同じ場所を歩いてる風に見せているだけなのでなんだかモヤモヤしました。窮地に陥ってるはずのシーンでも、どうせ合成だよな…というのが勝ってしまいハラハラもドキドキもありませんでした。
まぁあのセットを全部実写で撮影するとなると場所の用意もセットの準備も大変だと思うので仕方ないとは思うんですが、全部それにされたら元も子もないよなぁと思ってしまいました。「王様戦隊キングオージャー」はスケールがデカすぎるので、これは合成がしっくりくるな〜と思いながら毎週見てるんですが、今作は頑張ればロケ地は用意できたのでは?というラインなのが引っかかる要因になっていたと個人的には思っています。
全体的に登場人物が面倒くさいのに印象に残らないキャラが多かったのも退屈さに拍車をかけていて、何故この行動をするんだろう?ってくらい動機が無く急に行動していたりするので、置いてけぼりにされていました。モブキャラも無駄に多いので情報整理にも戸惑いました。
殺人犯の殺し方はちょっと面倒ですが捻りがあって個性が際立っていたのは良かったかなと思いました。これがシンプルに刺すとか撃つとかだけならアクション性が必要になると思うので、殺し方が特徴的なのはシリアルキラーの特性と合致するので、いいね〜と観ながら思っていました。殺し方は良いので、もっと残忍な死体を見せてくれたらもうちょっと評価が上がったかなと思いました。
終盤は駆け足気味なのも残念で、特に奥さんが持っていたガスがどうなったのかが全く描写されないのもモヤモヤします。あれで数千人死ぬかもとかいうデカいものなのに、それ放置するんだ‥って感じになりました。
映像に全体的に気を取られて物語のあっさりさに乗れず、ギリギリの集中力でなんとか完走できたなという印象でした。このタイプはアマプラに早めにやってきそうなので、その時にもう一回見てみようかなーくらいの作品にとどまりました。
鑑賞日 9/20
鑑賞時間 15:00〜16:45
座席 B-3
暗くて歪んだ背景は、悪夢のよう
ロシアの捕虜収容所からの帰還兵(元刑事)が残虐な殺人事件の捜査を手伝うが被害者に共通点があり犯人にも目星がついて…。というストーリー。既視感がある展開で、目新しいものではない。
見所はその背景。どれも真っ直ぐではなく遠近感もおかしい。見てるだけで不安になる。理不尽に扱われる主人公の心象風景なのか。
ところで、妻が渡された爆弾の箱、どうなったんですか。銃が空だったようにアレもフェイクですか?説明なかったよ。フェイクだったら、復讐にならないじゃないか
美しくも悪夢のような映像
勝手にホラー映画だと思ってましたが
上質なミステリーでございました。
とてもお好みでございます💛(笑)
風景(背景)が全編ブルーバック撮影によるもので
戦争で傷つき闇落ちや禍々しさ、歪みを
美しい悪夢のような映像で描かれていて
すぐに心奪われました。
次々と発見される元戦友たちの惨たらしい姿
「19」これらが何を意味するのか
(もっと遺体を見せろや🤣と思ったがw)
正直、この手の作品に色恋や情事は
必要ないと思えるので
ペルク(ムラタン・ムスル)と
博士(リブ・リサ・フリース)の時間よりも
他の人物構成に費やしてほしかったかな。
あと2~30分長くなっても問題ないので
終盤、事件が佳境に入ってからのドタバタを
丁寧に描いてくれたならと少し残念
ラスト、ペルクがやっとその場に向かうとき
やっと現実に戻ってきた、生還したと
思えるようなブルーバックからの切替も
ベタだけど好き。
あまり話題になっていないようですが
ぜひ劇場で観て欲しい作品。
正しく歪んだ現実世界
カメラか建物か、あるいはその両方が常に傾いている。
窓はハの字に付き、床も壁も家具も垂直平行を保たず、パースは歪み、緑がかった色調が幻惑感を増長する。
パッと見のポスターの雰囲気は、公開中の『ホーンテッドマンション』や『ドラキュラ』のよう。
そんな非現実的な画面で描かれるのは、哀しい現実。
歴史に疎い自分は、どこまで事実に則しているのか分からない。
しかし、捕虜の扱いや変わり果てた祖国、帰還兵への風当たりなどは的外れではないのだろう。
また、“19”に関してもかなりの手間がかかるものの実現不可でもない塩梅。
むしろ、それを達成させる犯人の執念が際立つ絶妙な数字だったように思う。
ただ、映像に慣れてきた後半は話の地味さからやや退屈に感じる。(死体のショッキングさも2人目がピーク)
情報がすべて後出しなので、ミステリではなくサスペンスだし。
博士とのラブシーンとか余計なことやらずに、人物を深堀りするか流れをスムーズにすれば…
あるいは、もっと幻想的な方向に振り切ってもよかったかもしれない。
セヴェリンとの意外なコンビや、結局“分かってない”発言を繰り返してしまう博士の配置は好み。
ラストシーンのみ、全編を貫いてきた映像の“違和感”を消す演出もベタながら良い。
そして、ドイツ語表記が英語に変わっていくエンドロールも、作品の雰囲気と相俟って素晴しかった。
いつだってトロッコ問題に答えなんてない。
映像だけではない良作
全編ブルーバック撮影となっており、美しいながらも行場のない帰還兵の重苦しい心情を表したような映像が続く。
また、登場人物の持ち物や設定が後半で伏線として活用されている等、映像だけではなくストーリー展開も十分に練られている。
終盤のシーンで主人公の妻が持っている爆弾が入った箱が話の展開のなかでなかったことにされている。ライフルに弾が入っていなかったことや、犯人の動機、キャラクター設定などから推測すると、爆弾は主人公を追いつめるためのブラフだったということだろうか。
本編とは関係はないが、エンドロールのドイツ語が英語に切り替わる演出は面白いと思った。
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