「嘘だらけの世界の中で、誤った真実に染まる時・・・」月 ratienさんの映画レビュー(感想・評価)
嘘だらけの世界の中で、誤った真実に染まる時・・・
実際に起こった犯罪を基に作られた作品、結構見ます。こんな事言うと、危ない人に思われるかもしれないけど、好きなんだからしょうがない。
まぁ、あくまでエンターテイメントとして楽しんでいるんですが、本作品は予想をはるかに超えてました。 何度も見たいって思う作品じゃないけど、面白かった。そして、考えさせられます。ズッシ〜〜ンって感じで、胸が苦しくなって、思いっ切り疲れました。
森の奥にある重度障がい者の施設で働くこととなった元人気作家の堂島洋子(宮沢りえ)。さとくん(磯村勇斗)や陽子(二階堂ふみ)という同僚と出会い、様々な障がいを持つ人達に触れる事で、自分の中の何かが変わっていくのを感じる。
しかし、それに併せ、この重度障がい者施設には、表に出てこない暗部があった・・・
宮沢さんを始めとする豪華で芸達者な役者陣に圧倒されます。
ちょっとしか出てきませんが高畑さんの一言に泣かされました。
【ネタバレ】
とにかく、磯村さんの壊れっぷりが凄まじい。元々、彼が殺人鬼?を演じるって事で、ホラー感覚で見始めたんだけど、とんでもない誤算でした。確かに血塗れにはなりますが、直接的な描写はなかったんじゃないかな。だから尚更、そこに行き着くまでの過程が恐ろしい。
最初から、ちょっと変わった雰囲気を漂わせてはいたんだけど、軟禁されていた障がい者を見た途端、キレちゃった。
話が出来ないという事は、心が無いということで、ヒトとして認められない。ヒトでない者は生きている資格がないから、この世から消してしまおう・・・
この考えに固執されていく。
精神科で治療を受けたみたいだけど、思想が変わることはない。自分は正しいと思い込んでいる。
周りにおかしな人ばかりいると、普通でいる自分を変だと感じてしまうこともあるらしい。
障がい者に対しては、自分も恐怖を感じることがある。身の周りにいるわけではないが、同じ電車に乗る時など近づかないようにしてしまう。やはり、何を考えているのか解らないのは、自分の思いも伝わらないと感じてしまい、何をされるかわからないという偏見を持ってしまう。
だからって、即排除とまではいかないが、違う目で見てしまうという事は否定できない・・・
そんな自分を恥じながらも、どうしようもない虚無感に落ち込んだ一本でした。