「厳しい現実と向き合うことの過酷さ。」月 りょんりょんさんの映画レビュー(感想・評価)
厳しい現実と向き合うことの過酷さ。
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この映画は相模原障がい者施設での事件を題材にしており、犯人である”さとくん”の主張(優生思想)は誰しもが少なからず心のどこかに持っているような気がした。しかし、その主張はいくら綺麗事と言われようとやっぱり認めるわけにはいかないということをこの映画からは強く感じた。
”さとくん”も初めからそのような思想を持っていた訳ではなく、なぜそのような思想を持つに至ったのかということが細かく描かれていた。労働内容の過酷さは勿論、労働に見合わない低い賃金の問題、同僚からのイジメなどそういった様々に絡み合う厳しい現実から逃れるために事件を起こしたという背景がある気がした。どういった背景があるにせよ、犯行自体は身勝手極まりなく、到底理解できるものではない。厳しい現実を生きる人にとって現実と向き合うというのは残酷なほどに過酷なのもまた事実である。誰しも厳しい現実と対峙せざるを得ないときが来ると思うが、そういった時にどういう態度を選ぶのかという普遍的なテーマを扱っている映画だと思った。障がい者施設で働かれている方々には尊敬の念を強く持った。また、この世に生きる全ての人にどうか幸あれ。
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