「人間の尊厳の意味を問う傑作」月 エロくそチキン2さんの映画レビュー(感想・評価)
人間の尊厳の意味を問う傑作
試写会で観た「愛にイナズマ」に続き石井裕也監督の作品が続く。対極にある2本だがともに傑作。
一昨年に相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で起きた殺傷事件。入所者19人が殺害され、職員を含む27人が負傷した。
今作はこの事件をモチーフにした辺見庸さんの小説を映画化したもの。
介護に苦しむ人々を救わんとする映画「ロストケア」と類似のテーマ。
呼吸をしていれば、心臓が動いていれば人間として守られなくてはならない、それこそが人権であるという現在の考え方。
そのことによる歪みは余りにも大きい。
人間としての尊厳を守るためにも、新たな加害者を産まないためにも、システムを確立することが望まれる。
救いは宮沢りえさんとオダギリジョーさんの夫婦だった。
ラスト、りえさんの言葉に嗚咽をもらした。
「俺、生きててよかった」と心の中で叫んだ。
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